『コスモス』ではクラシックの他に、ヴァンゲリスや冨田勲を始めとするシンセサイザー音楽を何曲か使用しています。ここでは前記2人以外の、ワンテイクで使われたアルバムをご紹介します。意外やロック系(特にプログレ系が多いのは特筆すべきか)の曲が使われたりしていたり、番組の中のちょっとした小物にロックミュージシャンの名前や写真などが登場していましたが、みなさん、お気付きになられたでしょうか?たとえば「ビートルズ再結成」という見出しが書かれた新聞やジーン・シモンズのポートレイトなどが、小物として使われていました(たまたま映ってしまったのかも)。
レスポールとの遭遇 / ロイ・ブキャナン

01. The Opening...Miles From Earth
02. Turn To Stone
03. Fly...Night Bird
04. 1841 Shuffle
05. Down By The River
06. Supernova
07. You're Not Alone

 エピソード5の【赤い星のブルース】のオープニングに悲しげなブルースを奏でるのは、ロイ・ブキャナン『レスポールとの遭遇』の“Fly...Night Bird”です。番組のサントラにも収録されているのですが、よほど担当者が好きなのでしょうか(笑)。いわゆる番組では一発屋なのですが、番組タイトルの“ブルース”と関連しているのではないでしょうか? 当初は【赤い星の神秘】というタイトルでしたが、原題【BLUES FOR A RED PLANET】により近い邦題になりました。

 ロイ・ブキャナンはローリング・ストーンズのブライアン・ジョーンズが脱退した後任として、また、ジョン・レノンのバンドに誘われたりと、「世界最高の無名ギタリスト」の名を欲しいまま(本人はそう思ってないでしょう)にした、偉大なるブルースギタリストで多くのファンがいます。この曲が収録されているアルバムは、皮肉にも宇宙をイメージしたジャケットになっていますが、ロイの本質は、そういった世界(宇宙)とは無縁の、人間味溢れる人間くさいブルース畑のアーティスト。この曲は第5話ただし、ロイ・ブキャナンといえば、イコール、テレキャスターという構図があるぐらいなのに、なんとこのアルバムからはレス・ポールに持ち替えています。ファンからはジャケットセンス共々、こきおろされてしまいました。

軌跡 / ジャン・ミシェル・ジャール

01.Equinoxe, Part1(軌跡パート1)
02.Equinoxe, Part2(軌跡パート2)
03.Equinoxe, Part3(軌跡パート3)
04.Equinoxe, Part4(軌跡パート4)
05.Equinoxe, Part5(軌跡パート5)
06.Equinoxe, Part6(軌跡パート6)
07.Equinoxe, Part7(軌跡パート7)
08.Equinoxe, Part8(軌跡パート8)

 このアルバムの愛聴盤はMFSLのディスクです。アナログの持つ中音から低音に掛けてのバランスが良く、この手の電子音楽にありがちな高音の伸びばかりが目立つ音質ではなく、かえって暖かみのある音です。邦題は『軌跡』

 このアルバムからPart 4のみ、第8話の【時間と空間の旅】にて使用されています。なんとセーガン博士がワームホールの中に飛び込むシーンで。何やら縁起もしている、ちょっとユーモラスなシーンです。

 世界的に有名なシンセサイザー奏者として、1970年代はギリシアのヴァンゲリス、そしてフランスのジャン・ミッシェル・ジャールは特に人気アーティストでした(日本では冨田勲と喜多朗)。彼は映画音楽の巨匠、モ−リス・ジャールの息子として知られていますが、ヴァンゲリスのアナログ的なアプローチとは対照的に、無機的な宇宙をイメージさせる音楽を得意としています。曲目を見てもわかるとおり、タイトルからは想像しづらいイメージが支配しています。【EQUINOXE】とは春分とか秋分とかの天文学上の分点のこと。アルバムタイトルは【軌跡】という邦題が付けられ、8曲に付けられたタイトルも同じ。

自らワームホールへと飛び込む!
おせっかい / Pink Floyd(1971)

01.One of These Days(吹けよ風、呼べよ嵐)
02.Pillow of Winds(ピロウ・オブ・ウィンズ)
03.Fearless(フィアレス)
04.San Tropez(サン・トロペ)
05.Seamus(シーマスのブルース)
06.Echoes(エコーズ)

 ジャケットにはアーティスト名もアルバムタイトルも明記されておらず、しかも一体何が写っているの?というアルバムです。実は見開きジャケットで、開いてみて初めて耳のアップだということがわかります。愛聴盤はジャンと同じくMFSLのディスクです。耳あたりの良い音、アナログ的。

 エピソード9【星の誕生と死】ではなんと英国の、というよりもプログレ、いやいや、ロック界、もとい、音楽界の巨匠であるピンクフロイドの“One of These Days”が使われています。私たち日本人にとって、この曲のイメージといったら、真っ先に全日本プロレス所属のアブドーラ・ザ・ブッチャーの入場曲を思い出す人も多いはずです。ピンクフロイドの方でも、まさか悪役レスラーのテーマ曲として(シングルリリースまでしている)使われているとは思わなかったのではないでしょうか。
 それはともかく、セーガン博士が地下鉱山の中に入って、ガイガーカウンターを使って微かに反応するガンマー線を説明するシーンで使われています(
34m00sごろから)。ロジャー・ウォーターズが刻むベースに、デビッド・ギルモアの不気味なまでのギターソロ。なんともおどろおどろしい曲調に、視聴者も恐ろしい内容へと引きずられていくようです。
博士は地下鉱山へ
アグネタ・ニルソン/エルドン (1976)

01.Perspective I (Ou Comment Procede Le Nihilisme Actif)
(遠近法1-いかに能動的ニヒリズムを行動すべきか)
02.Perspective II(遠近法2)
03.Perspective II (Baader-Meinhof Blues)
(遠近法3-バーダー-マインホフブルース)
04.Bassong(バッソン)
05.Perspective IV(遠近法4)
 コスモスでは様々なシーンが衝撃的でしたが、その一つに「コズミック・カレンダー」がありました。宇宙150億年を地球の1年に当てはめてみるというもの。

1年=150億年
1ヶ月=12億5千万年
1日=4千万年
1秒=500年

そこで流れるエルドンの無機質な音(音楽)

夜想曲 / レ・オルメ(1974)

01.(コントラップンティ)
02. (すっぱい果実)
03. (グライダー)
04. (インド)
0
5. (天使たちの創造者)
06. Notturno(夜想曲)
07. (5月)

 

 イタリアのプログレバンド、レ・オルメ7枚目のアルバム。この曲は残念ながらDVD版から外されてしまいましたがヴァンゲリスの『天国と地獄』に続けてエラトステネスの紹介のシーンです。彼はパピルスから興味深い記述を知ります。二地点の影の長さの違い。場面は神殿の影や井戸の中に太陽が写り込む、なんともまどろんだようなシーンです。

 「まどろんだ」と表現したのも、まさにコスモスでのシーンからの連想になるわけですが、音楽的にはノットウルノ、つまりは邦題にある「夜想曲(ノクターン)」になるわけです。しかしMTVと同じ効果で、最初に見た映像の印象が強くなってしまうので、どうも「夜想曲」の感じがしません。 

 ちなみにDVD版のこのシーンはヴァンゲリスの『イグナチオ』パート1に差し替えられています。


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