ショパンの夜想曲をモダンピアノでレコーディングしたアルバムのうち、所有しているアルバム、あるいは図書館などで借りて聴いた者を紹介します。星空の下ではあまり聴く機会のないアルバムたち…
 




同じポーランド出身、というだけで作曲者直伝とか、お国ものということで色目で見えてしまいますが、そんな情報が無くても、このピアニストの演奏はずっと基本であり続けるのではないでしょうか? しかもSACD化されてレコーディング時の空気までもがよみがえるようです。
  通常CDは1枚にまとめられていますが、SACDは第1番〜第10番第11番〜第19番 に分けられています(音に余裕を持たせているのでしょうか?)。
まぁ、2枚に分けることに異論はありませんが、1セットでリリースしてほしいものです…

ショパンのノクターンについては、コチラもどうぞ。





アレクシス・ワイセンベルク
ワイセンベルクの演奏はシャープでありメカニカルというイメージがついて回るのは、先ず最初に聴いたのがムソルグスキー(展覧会の絵)でありラヴェル(クープランの墓)であり、ストラヴィンスキー(ペトルーシュカ)でした。このロマンティックの代表選手とも言える『夜想曲』をどう演奏しているのかという興味もあって手を出してみましたが、期待通りのシャープさで、冬の凍てついた夜を思わせる夜想曲でした。




フー・ツォン
初めてショパンの夜想曲に触れたのがフー・ツォンのアルバム。1978年にレコーディングされ、帯にも付帯されているように日本では1980年にレコードアカデミーを受賞した名盤。当時は私の趣味に合わず、買ってみたものの、1回聴いてそのままになっていました。私がこのアルバムを手にしたきっかけは『クラシック名盤ガイド』で紹介され、なんでか目についたからでした。

ショパンのノクターンについては、コチラもどうぞ。





やはりノクターンといえばショパンなのでしょうか?圧倒的に多いレコードに、また一枚名盤が加わりそうです。2005年にリリースされたこのアルバムは、1960年にショパンコンクールで優勝した、マウリツィオ・ポリーニにして「ワルシャワのショパンコンクールに優勝して以来、ショパンの音楽は私の人生の一部になった」と語る彼のノクターン初全集です(たぶん)。

 他のピアニストとの違いは、通常全集と銘打っていると、21曲レコーディングされるのが最近の傾向ですが、ここでは遺作とさ れる第20番、第21番はレコーディングされていません。
幸いなことに、このニューアルバムも市内の図書館にて手にすることができました。

ショパンのノクターンについては、コチラもどうぞ。





この曲集をモダンピアノで演奏すると何とロマンティックに鳴り響くことでしょう。それともこのファッツィオーリの琥珀のような響きがそうさせるのでしょうか。

 チッコリーニのこのアルバムで、私は初めてファッチオーリの音色を体験しましたが、なんとコクのある輝き(響き)でしょうか!スタインウェイの無垢で透明な響きを、こと座のヴェガの輝きにたとえるならば、こちらは、うしかい座のアルクトゥルスの樺色にたとえても良いかもしれません。それほどこのイタリア製のピアノの音色には独特の香りがします。

 特にチッコリーニを白色が似合うサティで慣れ親しんできた私にとってはこの演奏には驚きでした。ただ、残念なことに、チッコリーニは亡くなる直前にメーカーと仲たがいをしてしまい「二度とこのピアノを弾くことはないだろう」と公言して、彼のファン、ファッツィオーリのファンをがっかりさせました。
(CASCAVELLE Vel 3064)

 

 

 夜想曲とは別に、ショパンが書いたピアノ協奏曲第1番に、彼が

“春の夜の美しい月光を浴びた瞑想”

と表現した美しい叙情楽章がありました。さっそく探し出して(笑)、彼のノクターンに混ぜて星を眺めるときに流しています。

 意外にもショパンは星の世界に興味を持っていたようで、1846年に発見された海王星の話題に触れて

“ルヴェリエ氏の新しい惑星の発見です。彼はその距離、軌道、質量、その他、あらゆることを(計算によって)発見しました。何という科学の勝利!数学によって、こんな発見ができるとは!”

と、感激していたそうです。天界に興味を持っていた(と思う)ショパン。彼も夜空に瞬く星の情景を見てそのインスピレーションを作曲に反映してのでしょう。“ピアノの詩人”と言われていただけあって、彼が表現したピアノ協奏曲の情景はまさにその通り、という曲想です。
 ここに紹介するのは、オーケストラの伴奏ではなく、室内楽編曲版、世界に先駆けて1997年に録音された白神典子のレコードを紹介しましょう。


 最初にこのディスク(図書館)で聴いた時は、これぞショパン!と思ったものでした。当時はまだ、この曲に慣れていなかったこともあり、また曲想がまだつかめない時だったので、シンプルな演奏で徐々に親しんでいったのです。編成はイグドラシル四重奏団にコントラバスがピアノをサポートしています。





 ショパンが協奏曲として仕上げる前に書いていたであろう伴奏なし。つまりピアノソロによるピアノ協奏曲。しかも、他人によって編曲されたのではないところがいいですね。その後、編成されることになるオーケストラが無くても、この時点で美しい楽曲に仕上がっていたことがわかります。私の好きな第1番第2楽章も、こうしてシンプルにピアノソロで聴くと、さらに星空への思いが視覚的に見えてくるようです。まさにショパンが頭の中で最初に構想したカタチ。シンプルな形で聴くピアノ協奏曲のなんと美しいことでしょう!ショパンを知る上では欠かすことのできない表現だと思います。





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