星と天界の音楽と(星のソムリエのブログ)

交響曲第3番ハ短調
 なんと演奏時間でギネスブックに登録されてしまった交響曲。確かにこの曲はマーラーの作品の中では最も長く、第一楽章だけで、ハイドンやモーツァルトの交響曲が1曲終わってしまうほどの長大さを誇っています。弟子のブルーノ・ワルターがマーラーの避暑地を訪れた際、「君はもうこの景色を見る必要はないのだよ。私が全て音楽に詰め込んだから」と言った説話が残る曲です。私がマーラーにのめり込んでいった1980年代、集めていたロンドン(デッカ)のカタログに『夏の朝の夢』という副題がつけられていました。現在ではそんなタイトルをつける習慣は無いようですが、マーラーが初演の際に全て外してしまった曲の解説につけられたタイトルは、難解で長大なこの曲を理解する上で、私的には非常に役に立ちました。約90分。
アルト;クリスタ・ルードヴィッヒ
ニューヨーク・コラール・アーティスツ
ブルックリン少年合唱団
ニューヨーク・フィルハーモニー管弦楽団
指揮;レナード・バーンスタイン
Recoeded on Oct 1987.
メゾ・ソプラノ;アンネ・ソフィー・フォン・オッター
ウィーン楽友協会合唱団
ウィーン少年合唱団
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
指揮;ピエール・ブーレーズ
Recoeded on Oct 2001.
 ともかくこの曲のオープニングのホルンの咆哮を聴いて欲しい!こんなにもわかりやすいメロディはないと思います。これと良く似た曲としてシューベルトの交響曲第9番ハ長調『ザ・グレート』があります。こちらもホルン・ソロで始まるシンフォニー。この出だしがガツンと来るのはマーラーらしいことこの上ない。

 

レナード・バーンスタイン/ニューヨークフィルハーモニア管弦楽団(1961)
 マーラーの交響曲全集を初めて完成させたバーンスタインの最初の録音。
♪交響曲第3番のツボ「オープニングと歌曲、そしてエンディング」♪
マーサ・リプトン(アルト)
 スコラ・カントルム女声合唱団、トランスフィギュレーション教会少年合唱団
 





ゲオルグ・ショルティ/ロンドン交響楽団(1968)
 シカゴを振った演奏と比べると、第2番同様ゴリゴリの音で、全くショルティらしい演奏。力尽くめの演奏も、ここまで吹っ切れると快感っ!としか言えません。それを捉えたレコーディング技術も立派(笑)。
♪交響曲第3番のツボ「オープニングと歌曲、そしてエンディング」♪
ヘレン・ワッツ(アルト)
アンブロジアン・シンガーズ、ワンズワース少年合唱団
 




クラウディオ・アバド/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団(1980)
 羽シリーズのリアル体験がこの第3番から。第4番以来のウィーン・フィルとのマーラー。デジタル黎明期の録音とはいえ、ピンと張りつめたような緊張感までもが伝わってくるような優秀録音だと思います。アルトの圧迫が凄い。僅かな歌声にも関わらず、存在感はウィーン・フィルをしのぐ感じ。その後の少年合唱との絡みも素晴らしい。


♪交響曲第3番のツボ「オープニングと歌曲、そしてエンディング」♪
ジェシー・ノーマン(アルト)
ウィーン国立歌劇場合唱団、ウィーン少年合唱団
 



 

ゲオルグ・ショルティ/シカゴ交響楽団(1982)
 シカゴ交響楽団の音楽監督に就任してから、それまでロンドン交響楽団とレコーディングしていた曲のみ、再レコーディングしてくれました。第1弾は第2番で、第3番はそれに続く。このあと1番、4番へと。この曲にあっては、私個人としては第1位に推薦したいレコード。揺るぎのない突進力は音楽を越えてしまった感があります(笑)。


♪交響曲第3番のツボ「オープニングと歌曲、そしてエンディング」♪
ヘルガ・デルネシュ(アルト)
シカゴ交響楽団女声合唱団、グリン・エレン少年合唱団
 



 

ベルナルト・ハイティンク/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団(1990)
 ベルナルト・ハイティングがシリーズとしていたBPOとのマーラー。この頃はセッションよりライヴの方が珍しい時代で、当然のこの長良、このレコードはセッションによる。だから音が良く、オーディオファンなら、耳をそばだてて楽団の雑音なんかにも注意を払いそうな良音。弱音なんかも音像に埋もれることなく聴き取ることができそう。大曲の割には、ハイティンクの棒さばきはさらにサラッとしているのか、体力を失うことなく聴き通せるのは嬉しい。


♪交響曲第3番のツボ「オープニングと歌曲、そしてエンディング」♪
ヤルト・ヴァン・ネス(アルト)
エルンスト・ゼンフ合唱団、テルツ少年合唱団
 



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|2022年1月28日更新|