1970年にレコーディングされた『前奏曲集』から足掛け10年かけて完成した全集で、EMI CLASSICSから3枚組としてまとめられた廉価盤。この当時は、他に同郷の先輩、ジャン・フィリップ・コラールのラヴェル全集とあわせて、個人的にはホクホクな気持ちに浸れました(笑)。
さて廉価盤となると、クラシックの場合気になるのがジャケットとかの問題。今でならタワー・レコードの企画とかで、オリジナルジャケットの復刻(あるいは封入みたいな)を施してくれることもありますが、とかく海外は、そうしたことには無頓着なのか、安易な風景ジャケットでリリースするので興ざめすることがあります。
このベロフの全集は、同じ頃に『GREAT RECORDINGS OF THE CENTURY』と銘打ったARTシリーズというリマスター盤がリリースされていました。これは「あの」アビー・ロード・スタジオでリマスターを施したシリーズがありましたが、少なくともジャケットにオリジナル・ジャケット(小さくしてたけど)が使われていて、まだ「大事にされてるな」感が漂っていました。できることなら、そのカタログに加えて欲しかったと思います。もしかしたら、音は変わらないかもしれませんが、やはりレコードで育った世代ともなれば、ジャケットを眺めながら聴くというクセが残っているので、小さくなったジャケットでも、ずいぶん雰囲気が異なったんじゃないかと思います。
さて、この3枚組は、あくまでもソロ作品全集という位置づけなので、1978年にコラールとレコーディングした連弾のための作品が丸々入っていません。それとバーバラ・ヘンドリックスとの歌曲集も。今後、もしかしたらレーベルも変わったことだし、まとめてボックス化も考えられなくもありません。 |