星と天界の音楽と(星のソムリエのブログ)

ベロフ、『前奏曲集』待望の再々録音!
 1970、1994/95年に引き続き、三回目となる『ドビュッシー全集』を高音質として有名なLYRINXから、今回も得意の「前奏曲集」から開始しています。

 「開始しました」と紹介してから、すでに七年の歳月が経ってしまいましたが、残念なことに続編の情報が入ってきません。盟友ジャン=フィリップ・コラールの方が元気で、EMIと契約をしていた時代以上にレコーディング情報が入ってきます。

 さて、ベロフの最新レコーディングは2012年に行われたもので、私が最近読んだ『ピアニストが語る! 音符ではなく、音楽を! 』の中で、ベロフ本人が「(いい音で)録音しなおしたい」と語っていたのを読んでいた時は、「すでに」ちゃくちゃくと進んでいたんですね。インタビュー時、まだ計画段階だったのかもしれませんが、日本に翻訳された本が出版された時には、レコーディングが実現していたんですね。

 そして嬉しいことに、今回のレコーディングがSACDのマルチでも収録されていること。ドビュッシーのピアノ曲をSACDで探していた私にとって、二重の喜び!(笑) 今回のリリースは3月の来日記念盤として国内盤も出るのでしょうか? まぁ、私は輸入盤で購入しますが…  このディスク、曲目を見ると前奏曲全曲が揃っているのですが、SACDのDSDサラウンドで聴くと、なんと「22曲」という表示になってしまうのです。ステレオで聴く分には問題ないのですが「SACDのサラウンド(MULTI)」で設定すると曲数が減ってしまうのです。
  クレジットを見てみると、DSDサラウンドには前奏曲第2巻の第10曲目と第11曲目が省いている旨が記載されていました。

 アルバムには以下のように、レーベルからお知らせとしての情報がクレジットされています 。

"Due to limited capacity of the DSD layer. we have been obliged to omit two preludes from Book II, Canope and Tierces altermees.fromthe DSD surround version. However, these pieces are both included on this disc, in PCM stereo(CD standard)and in DSD stereo. The complete DSD surround file will be avaliable later for download on lyrinx.com"

 どうも技術的な問題らしく、SACDのDSD層の収録時間(capacity)の問題のようなのです。オマケでついているような日本語解説には、この部分の情報は一切記載されていません。おそらく、そうしたフォーマットでは聴いていないのでしょう。まぁ、通常のステレオとして聴く分には、全く問題なしです。

 また、SACDのサラウンドには演奏終了後、観客と思われる拍手が収録されています。この拍手もなくていいんじゃないの?という程度のまばらな拍手。ちょっと寂しい。
(2025/02/23更新)




ドビュッシーのピアノ曲愛聴盤(ミシェル・ベロフ、おまけにジャン=フィリップ・コラール)

『前奏曲集 全集』


前奏曲全集
ピアノ;ミシェル・ベロフ
(1970年録音)


 衝撃のデビューアルバム(だったそうです)。私がこのアルバムを手にしたのは、中学の時で、2枚組という重量に加え、その頃から“全集”という言葉に惹かれていたため、冨田勲のシンセサイザーに収録されている曲のうち、前奏曲集に収められている曲全てが収録されている、というところでこのアルバムを選びました。これがベロフとの長いつきあいのきっかけとなったわけです(笑)。
 購入当時は、1枚目の第1巻ばかりを聴いていましたが、ドビュッシーの夜の音楽の雰囲気は、ピアニストたちが好む第2巻で、最近では第2巻を良く聴くようになってしまいました。右手の故障から復活する際に選ばれたのが、再び前奏曲集で、音も良くなっていますが、こちらの演奏も、今だ色褪せぬ輝きを持っています。

 来日の際、チャチャっとサインをいただきました。
(2025/02/23更新)




『練習曲集』


練習曲全集
ピアノ;ミシェル・ベロフ
(1970年録音)



 【前奏曲集】のあとに続けてレコーディングされました。そのため、初CD化は前奏曲集とカップリング。ここでのベロフのタッチは、それまでの名ピアニストたちがかもし出すフランスのエスプリと異にし、若々しくシャープなリズムを主軸とした演奏を繰り広げています。
(2025/02/23更新)




『版画』


・映像第1集
・映像第2集
・版画
・ピアノのために
ピアノ;ミシェル・ベロフ
(1971年録音)


 
 レコードデビューして間もない若いベロフに、ドビュッシーのピアノ作品全集を託したEMIスタッフの眼力は高かった。しかし、音が貧弱。これはベロフの演奏がというのではなく、レコーディングの問題でしょう。
 この後、次のアルバムまでは時間が空いてしまいますが、このアルバムに収録されたのは、ドビュッシーの絵画趣味が見事花開いた選曲になっています。
(2025/02/23更新)




『喜びの島』


・喜びの島
・マスク(仮面)
・版画
・映像第1集
・映像第2集

ピアノ;ジャン=フィリップ・コラール
(1977年録音)


 
 いまだに単体では国内未CD化ですが、ラヴェルのピアノ曲全集(EMI France盤)にさりげなくCD化されています。EMI時代は「トーシバから録(やれ)って言われるから」全集が多いらしいのですが、こと、ドビュッシーに関しては後輩のベロフの存在もあって、この一枚のみで発展することはありませんでした。選曲が微妙で、ベロフが録らなかった喜びの島、マスクを含んでいるのは、おそらくレーベル側の思惑だったのではないでしょうか? (月の光などのポピュラーは、ベロフに録らせたかったのでしょうねぇ)補完的な雰囲気が漂う、微妙な位置にあるような気がします。

コンビによるシリーズの延長として、1982年にドビュッシーの4手の作品集が録られました。

(2025/05/10更新)




『月の光』


・子供の領分
・ベルガマスク組曲
・2つのアラベスク
・レントよりも遅く
・小さな黒人
ピアノ;ミシェル・ベロフ
(1980年録音)


 
 ポピュラーな選曲です。ベロフにとってはドビュッシーのソロアルバムは9年ぶりの録音でした。その間、ジャン=フィリップ・コラールのアルバムに、『白と黒で』を録音しています。EMIの音はどうも芯のないような細い音で、せっかくのベロフのタッチを100%捉えているとは言い難いようです。まだ10年前のデビューアルバムの方が音は良く聞こえます。

(追記)
2006年にEMI classic決定版1300で再発されました。
(2025/02/23更新)





『ドビュッシー・ソロ・作品全集』


ピアノソロ全集
ピアノ;ミシェル・ベロフ
(1970~1980年録音)


 
 EMI音源のボックスセット。上記4枚のアルバムすべてと、(たぶん初CD化の)コラールとの連弾【白と黒】の別音源がはじめて収録されました。やや遅れてコラールのラヴェル全集もボックスセット化され、ドビュッシーファン、ベロフファン、ラヴェルファン、コラールファンは大喜びです。

それにしてもこの低価格には驚かされました。
(2025/02/23更新)




『ドビュッシー4手のためのピアノ曲集』


・小組曲
・交響曲ロ短調
・6つの古代の墓碑銘
・白と黒で
・民謡の主題によるスコットランド行進曲
・リンダラハ

ピアノ;ミシェル・ベロフ & ジャン=フィリップ・コラール
(1982年録音)


ジャケットへのサインは別々にいただきました。
先行はコラール先輩、ラヴェル没後50年の際に。
ベロフは1998年の復活で。


 
 先輩にあたるジャン=フィリップ・コラールとの2台、もしくは4手のための作品集で、息のあったアンサンブルが楽しめます。この2年前にはコラールのラヴェルピアノ全集にてラヴェルの同種の作品集をレコーディングしています。やはりドビュッシー、ラヴェルは彼らの演奏がいいですね。ただし、EMIは音貧弱…

(追記)
 EMIクラシックス・ベスト100の2007/2008シリーズで、24bitのりマスター処理が施されました。しかし、ジャケットが音と同様ピンとこない写真に差し替えられ、購入する気力が失せました。図書館でいいや…
(TOCE-14103)

(追記2)
 EMIの音源がエラート(ワーナー)から順次再リリースされ、お馴染みの赤ロゴ(EMI)が市場から姿を消すことになりました。ジャケットはオリジナルに戻され、ファースト・プレスや、海外オリジナル・ジャケットが復活してるのは嬉しいところですが、まだ緑ロゴには慣れていませんが、このアルバムのロゴは「赤エラート」です。
(2025/05/10更新)







・ボードレールの5つの詩
・みやびやかな宴 第1集
・忘れられた小唄

ソプラノ;バーバラ・ヘンドリックス
ピアノ;ミシェル・ベロフ


 
  バーバラ・ヘンドリックスをソリストに迎え、ベロフにとっては唯一の歌曲集です。清らかなヘンドリックスの歌声をサポートするベロフ。ここでもドビュッシーの持つピアノ世界が楽しめます。私はこれまで、あまりリーダー作品を聞くことは無かったのですが、ドビュッシー、ベロフ、とくればいやがうえにも聴きたくなってしまいます。

(追記)
2006年にEMI classic決定版1300で再発されました。
(2025/05/10更新)



負傷後の復活劇もドビュッシーで開始。



・前奏曲集第1巻
・子供の領分

ピアノ;ミシェル・ベロフ
(1994/1995年録音)


 
 このレコーディングから約10年ほど前に、右手の故障からピアノ活動を断念し、指揮活動に転向したベロフですが、アルゲリッチなどの励ましもあり、再びピアニストとして復活しました。しかもデビュー時に取り上げたお得意のドビュッシーです。最初のアルバムがアナウンスされた時点で、5枚組みの全集になるといわれていたため、非常に楽しみなシリーズとなりました。
 EMI時代のレコードと比べると、指揮活動を行っていた経験からか、表現に幅が出たような感じがします。音の録り方も、中域から低域に掛けての広がりが、EMIには無かったスケール感を増しています。その音のせいか、シャープな切れというものは感じませんが、透明感と音の膨らみのあるピアノとあいまって、20年以上前の演奏をはるかに凌いでいると思います。

(2025/05/10更新)






・前奏曲集第2巻
・レントより遅く
・英雄の子守唄

ピアノ;ミシェル・ベロフ
(1994/1995年録音)


 
 二度目の全集(前回は中途半端?)に取り組んでいましたが、前奏曲集をまとめず分配し、第一巻、第二巻と分け、カップリングに気を使っているようです。ベロフにとっては初めてのレコーディングとなる【6つの古代碑銘】など、先輩のコラールとレコーディングした版と聞き比べる楽しみが増えました。

(2025/05/10更新)






・版画
・映像第1集
・映像第2集
・忘れられた映像
・喜びの島
・マスク(仮面)

ピアノ;ミシェル・ベロフ
(1996/1997年録音)

 
 このアルバムにも、ベロフにとっては初のレポートリーとなった【忘れられた映像】が収録されました。1971年のアルバムとほぼ同じ選曲です。

(2025/05/10更新)






・ベルガマスク組曲
・2つのアラベスク
・ボヘミア風(ジプシーの踊り)
・バラード(スラブ風バラード)
・夢
・ロマンティックなワルツ
・夜想曲
・マズルカ
・舞曲(スティリー風タランテラ)
・ピアノのために

ピアノ;ミシェル・ベロフ
(1994/1996年録音)

 
 それまでは組曲やまとまった作品集をメインに取り上げてきましたが、このアルバムではどれにも属すことのない魅力的な小品集としてまとめています。ポピュラーどころが並んでいるので、ドビュッシーをこれから聴き始めようとする方にはお薦めかもしれません。

音楽の教科書にも登場する“月の光”は、このアルバムの【ベルガマスク組曲】に含まれます。

(2025/05/10更新)






・12の練習曲
・見つけだされた練習曲
・エレジー
・アルバムのページ
ピアノ;ミシェル・ベロフ
(1996/1997年録音)

 
 ピアノ全集の最後を飾ったのは、ドビュッシーの最後のまとまったピアノ作品集となった【練習曲集】です。また、すべての曲が1915年に作曲されています。

(2025/05/10更新)






COCQ-84347/51

ピアノ;ミシェル・ベロフ
(1994/1995年録音)


 
 ベロフがDENONにレコーディングした5枚のアルバムが全集としてまとめられたもの。単純にまとめただけの企画ですので、すでにお持ちの方には廉価盤としての価値があるでしょうか?

  ジャケットはフランス盤の【前奏曲集】に使用された真顔のベロフです。笑顔は前奏曲集第1巻に使用されてます。


(2025/05/10更新)





1996年3月16日プログラム(紀尾井ホール) 版画(ドビュッシー)
映像第1集(ドビュッシー)
映像第2集(ドビュッシー)
前奏曲集第1巻より(ドビュッシー)
・雪の上の足跡
・西風の見たもの
・亜麻色の乙女
・さえぎられたセレナード
・パックの踊り
練習曲集第2集(ドビュッシー)

1998年10月27日プログラム(紀尾井ホール) 子供の領分(ドビュッシー)
仮面(ドビュッシー)
高雅にして感傷的なワルツ(ラヴェル)※
2つのアラベスク(ドビュッシー)
夢(ドビュッシー)
喜びの島(ドビュッシー)
『みどり児イエスにそそぐ20の眼差し』より(メシアン)
・みどり児イエスの口づけ
・御子の御子を見る眼差し
・愛と教会の眼差し
※当初のプログラムでは同じラヴェルの『鏡』の予定でした。





NHKスーパーピアノレッスン―フランス音楽の光彩

 2006年の4月からNHKの『スーパーピアノレッスン』にて、ベロフが講師として登場し、ファンとしては見逃せない番組でした。番組の終わりには、放送日の課題曲をエンディングで演奏してくれます。  番組では、プライベートな質問などに答えるシーンがあり、好きな映画がチャップリンの『街の灯』という意外なコメントがあって驚かされました。「私の趣味と同じ!」などと、弾けない代わりにミーハー的な目で眺めています。  課題曲は以下の通り。

 ドビュッシー:(亜麻色の髪のおとめ/月の光/グラドゥス・アド・パルナッスム博士/雪が踊っている/小さい羊飼い/ゴリウォーグのケークウォーク/沈める寺/花火) ラヴェル:(水の戯れ/スカルボ/道化師の朝の歌) フォーレ:(舟歌 第4番変イ長調 作品44) サティー:(金の粉) メシアン:(聖母の最初の聖体拝受)


 番組タイトル【フランス音楽の光彩】にもあるように、得意のドビュッシーをはじめ、フランスのエスプリを感じさせる内容になっています。私はドビュッシー以外、聴いたことが無いので、サティ、ラヴェル、フォーレなどは、非常に興味深く見させてもらいました。




簡単なプロフィール

1950年5月9日、フランスのポージェ県エピナル生まれ。
パリ音楽院で、ピエール・サンカン、イヴォンヌ・ロリオに師事。
1959年、ナンシーのコンセルヴァトアールに入学
1960年、母が父に贈ったクリスマスプレゼント、メシアンの【みどり児イエズスに注ぐ20のまなざし】の楽譜とレコードに夢中になる。
1961年、暗譜で【…20のまなざし】、バルトークの【ブルガリアのリズム】を作曲者オリヴィエ・メシアンの前で披露。 1966年、メシアンの奨めでピエール・カンサンの弟子となり、パリのコンセルヴァトアールに入学。 1967年、第1回メシアン国際コンクールで優勝。若干17歳!
1970年、パリのシャンゼリゼ劇場で【みどり児イエズスに注ぐ20のまなざし】を演奏して話題となる。
1970年、ドビュッシーの【前奏曲集】を録音、1980年に掛けて全集を完成。
1972年、初来日
1980年代中頃に右手の故障。

 この後しばらくピアノを離れ指揮活動に専念。友人のマルタ・アルゲリッチからクラウデ ィオ・アバド指揮ロンドン交響楽団のセッションに招かれ、ラヴェルの【左手のためのピアノ協奏曲】のソリストを務めるよう説得される

「ミシェル、あなたが弾きなさいよ!」

これが、後の復活劇の引き金となる。

1989年、パリ国立音楽院教授
1994年、二度目のドビュッシーピアノ作品全集のレコーディングを開始1997年に完成。
1994年、フライブルク音楽大学教授
1995年、ロンドンにてブーレーズ・フェスティバルにマウリツィオ・ポリーニの代役で登場。右手故障後、久々の演奏会。

1996年、1998年来日(行きましたっ!)

ドビュッシーの世界もう一人のドビュッシー弾き、フィリップ・カッサール

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