星と天界の音楽と(星のソムリエのブログ)

 多くの作曲家があれど、ドビュッシーほど後世にあたえた影響の大きな作曲家はいなかったのではないでしょうか? ただ、モーツァルトやベートーヴェンと言った神聖とか楽聖などと讃えられ、目標とされた作曲家が、何名かいるのはわかっていますが、彼、すなわちドビュッシーほど「私はドビュッシーの影響を受けました」と、音楽(音色)が独特の作曲家はいない、と思っています。とくにエポックメイキングとなった♪牧神の午後への前奏曲や、最後のソナタとして異色作である♪ハープとフルート、ヴィオラのソナタなどがそれです。

 2012年は、ドビュッシー生誕150周年に当たり、コンサートに、レコード(CDね)にと結構な賑わいを見せてくれました。ドビュッシーの作品集があちこちで聴かれた1年でしたが、ドビュッシーへのオマージュとして、様々な作曲家が「ドビュッシーに寄せた」作品ばかりを集めたアルバムも数枚リリースされています。他の作曲家たちでも、こうしたアルバムはあまりないかもしれません。

 また、2018年は没後100年ということで、同じく様々なイベントがありました。私はピアノ、オペラ(ペレアスとメリザンド)、管弦楽(映像、牧神の午後への前奏曲)、室内楽のコンサートでドビュッシーの楽曲に触れることができました。


「ドビュッシーの墓 Tombeau de Claude Debussy」(1920)

01. 遥かなる嘆き(Paul Dukas/1865-1935)
02. ミューズたちのもてなし「ドビュッシーの思い出に」(Albert Roussel/1869-1937)
03. クロード・ドビュッシー(Gian Francesco Malipiero/1882-0973)
04.ドビュッシーへのオマージュ(無題)(Eugene Goossens/1893-1962)
05. ハンガリー農民の歌による即興曲(無題)(Bela Bartok/1881-1945)
06. そしてパンは月光を浴びた麦畑のなかに横たわる(Florent Schmitt/1870-1958)
07. ドビュッシーの墓碑銘(木管のための交響曲の断章)(Igor Stravinsky/1882-1971)
/ Andrey Kasparov; piano

08. ヴァイオリンとチェロのアレグロ(Maurice Ravel/1875-1937)
/ Desiree Ruhstrat; violin, David Cunliffe; cello

09. ドビュッシーの墓碑銘のための讃歌(Manuel de Falla/1876-1946)
/ Timothy Olbrych; guitar

10. 私にとってあの谷々は…(Erik Satie/1866-1925)
/ Lisa Coston; mezzo-soprano, Andrey Kasparov; piano

「フォーレを讃えて Hommage à Gabriel Fauré」(1922)

11.フォーレの名による子守歌(Maurice Ravel/1875-1937)
Pavel Ilyashov, violin

12. フォーレを讃えて(George Enescu/1881-1955)
13. フォーレを讃えて(Louis Aubert/1887-1968)
14. フォーレを讃えて(Florent Schmitt/1870-1958)
Andrey Kasparov, piano

15. フォーレを讃えて(Charles Koechlin/1867-1950)
Oksana Lutsyshyn & Andrey Kasparov, piano

16. フォーレを讃えて(Paul Ladmirault/1877-1944)
Oksana Lutsyshyn, piano

17. フォーレを讃えて (Jean Roger-Ducasse/1873-1954)
Oksana Lutsyshyn & Andrey Kasparov, piano


 ドビュッシーの墓と題された曲集は、それぞれに曲目を冠した作曲家もいれば、出版に際して無題のまま提供した(グーセンズ、バルトーク)作曲家もいました。のちに独立して楽譜を出版した際、それらには今日伝わる曲名がつけられました。このアルバムに併録されている「フォーレを讃えて」は、この曲集が出版された当時、まだ存命だったので、「讃えて」というわけです。
個人的には、フォーレはおまけみたいなものですが、メインの「ドビュッシーの墓」が出版時と同じ編成でレコーディングされて、まとめて聴けるのがうれしい企画でした。ただ、今まで聴けなかったわけではなく、バラバラでなら聴くことや、ピアノに編曲された形(ファリャ)でした。



01. 遥かなる嘆き(Paul Dukas/1865-1935)
02. ミューズたちのもてなし「ドビュッシーの思い出に」(Albert Roussel/1869-1937)
03. ミラージュ Op.70-1 ドビュッシーの思い出に(Florent Schmitt/1870-1958)
04. ドビュッシーの墓碑銘(Igor Stravinsky/1882-1971)
05. クロード・ドビュッシー(Gian Francesco Malipiero/1882-0973)
06. ドビュッシーへのオマージュ(無題)(Eugene Goossens/1893-1962)
07. ドビュッシーの墓碑銘のための讃歌(Manuel de Falla/1876-1946)
08. ハンガリー農民の歌による即興曲 Op.74 第7番(Bela Bartok/1881-1945)
09. 第1番「牧神」(Erik Satie/1866-1925)
10. 水の戯れ(Maurice Ravel/1875-1937)


11. 「映像第2集」I. 葉ずえを渡る鐘の音
12. 「映像第2集」II. そして月は廃寺にかかる
13. 「映像第2集」III. 金色の魚
14. スケッチブックから
15. マスク
16. 喜びの島
Randall Love, piano


 1907年製のブリュトナーで、前半はドビュッシーへのオマージュ作品を、後半にドビュッシーの作品を聴くことができます。ドビュッシーの作品に関しては、なんだか中途半端な選曲の印象がありますが、使用ピアノが作られた1907年に注目すると、なかなか凝った選曲であることが浮かび上がってきます。「映像第2集」がまさに作曲された年だからです。



01. 英雄の子守歌
02. レント(Gian Francesco Malipiero/1882-0973)
03.「12の練習曲集」より 五本の指のための
04.「12の練習曲集」より 三度のための
05.「12の練習曲集」より 四度のための
06. 牧神の遥かなる嘆き(Paul Dukas/1865-1935)
07.「12の練習曲集」より 六度のための
08.「12の練習曲集」より オクターブのための
09.「12の練習曲集」より 八本の指のための
10. ハンガリー農民の歌による即興曲 Op.74 第1番、第2番(Bela Bartok/1881-1945)
11. アルバムのページ「負傷者の服のための小品」
12. エレジー
13. ミューズたちのもてなし「ドビュッシーの思い出に」(Albert Roussel/1869-1937)
14.「12の練習曲集」より 半音階のための
15.「12の練習曲集」より 装飾音のための
16.「12の練習曲集」より 反復音のための
17. ドビュッシーの墓碑銘のための讃歌(Manuel de Falla/1876-1946)
18.「12の練習曲集」より 対比的な響きのための
19.「12の練習曲集」より アルペジオのための
20.「12の練習曲集」より 和音のための
21. ドビュッシーの墓碑銘(Igor Stravinsky/1882-1971)
22. 燃える炭火に照らされた夕べ
Jan Michiels, piano

 2007年に、と2台のピアノ(1873年製と1875年製のスタインウェイ)で異色作デビューを果たした Jan Michielsによる『ドビュッシーへのトンボー』。

  これはドビュッシーの死後にあまれた10編からなるピアノ作品集で、10名の作曲家たちによるドビュッシーへの思い出に捧げられています。これらの曲を合間に挟みつつ、晩年のドビュッシーが1912年に作曲した『練習曲集』を全曲演奏しています。使用楽器は、前回のドビュッシーのアルバムで演奏していたピアノではなく1872年製によるエラール。

  今後が楽しみなピアニストです(アラン・プランスが中途半端だっただけに、Michielsには全作品を異なるピアノで弾ききってほしいと思います。

ラストに「♪燃える炭火に照らされた夕べ」が収録されているのは嬉しいです。




01. 「映像第1集」I. 水の反映
02. 「映像第1集」II. ラモーを讃えて
03. 「映像第1集」III. 運動
04. 「映像第2集」I. 葉ずえを渡る鐘の音
05. 「映像第2集」II. そして月は廃寺にかかる
06. 「映像第2集」III. 金色の魚
07. 「版画」I. パゴダ
08. 「版画」II. グラナダの夕暮れ
09. 「版画」III. 雨の庭
10. アラベスク第1番
11. ドビュッシー=パスティーシュ(Carlo Grante)
12. ドビュッシー風に(Alfredo Cassella/1883-1947)
13. 遥かなる嘆き(Paul Dukas/1865-1935)
14. 牧神の映像(Sebastián Piana/1903-1994)
Carlo Grante, piano

 1924年製のベーゼンドルファー・インペリアルで、その持ち主はかつて(というか今も)ベートーヴェンのピアノソナタを、作曲された時代に制作されたピアノ・フォルテで弾き分けるというマニアックで歴史的なレコーディングを行ったパウル・バドゥラ=スコダです。
 前半にドビュッシーの作品を、そして後半にドビュッシーを讃えた作品を並べています(ピアニストもいろいろ工夫を凝らして、今までにリリースされたアルバムを参考にしているのかもしれませんね)。ドビュッシーパステーシュは、ピアニストでもあるカルロ・グランテの作曲です。



 




01. 森の情景(Mel Bonis/ 1858-1937)
02. ハープ三重奏《ドビュッシーへのオマージュ》 (Henri Lazarof/ 1932–2013)
03. 3つのインヴェンション《ドビュッシーへのオマージュ》 (Odön Partos/ 1907-1977)
04. ドビュッシー:ハープとフルート、ヴィオラのソナタ

ハープ:ラシェル・タリトマン
フルート:ミヒ・キム
ヴィオラ:ピエール=アンリ・シュエレブ

 ドビュッシーのソナタに触発された作品集。ラストにはその元になったドビュッシー。同窓生でもあるメル・ボニ(1858-1937)は女性作曲家。ドビュッシーと同じ編成の『森の情観』1927年のこの作品には、私の星の友、夜想曲が含まれています。全編を漂う3つの楽器によるドビュッシーへの思い。


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