『コスモス』では、ヴァンゲリス以外にもシンセサイザーアーティストの作品が幾つか使用されています。日本人には嬉しいことに、(ただし本職は作曲家なのでシンセサイザーアーティストと表現するのはどうかと思いますが)冨田勲の演奏が使用されています。特に彼の5枚目のアルバムである『宇宙幻想』に収録されている、オリジナルがバッハの“ソラリスの海”は度々登場します。『THE MUSIC OF COSMOS』にも版権の問題もなく収録されています。残念なのは、1980年の最初に放映されたシーンでは、“答えのない質問”(第3話『宇宙の調和』)や、彼のオリジナル作品である“銀河鉄道の夜”(第2話『宇宙の音楽』)から「鳥捕りのおじさん」が使用されていたのですが、DVD化されたときに差し替えられてしまいました。
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答えのない質問(アイヴズ)

ソラリスの海(バッハ)

冨田勲/宇宙幻想

01.スペース・ファンタジー(R.シュトラウス,ワーグナー)
02.パシフィック231(オネゲル)
03.答えのない質問(アイヴズ)
04.スター・ウォーズのテーマ(ジョン・ウィリアムス)
05.アランフェス(ロドリーゴ)
06.ソルヴェーグの歌(グリーグ)
07.ホラ・スタッカート(ディニーク/ハイフェッツ)
08.ソラリスの海(バッハ)

 タイトルといい、内容といい、実にスペーシーな1枚です。1977年の発売当初、こんなにも広がりのある音楽は電子音楽(当時はまだシンセサイザーという名称はポピュラーではなかった)でしかできない、などと思えるぐらいに、星を眺めるときには、必ずといっていいほど傍らで流していました。
 このアルバムからは、バッハの三声のインヴェンションをモチーフとして、冨田がソ連映画【ソラリスの海】をイメージしてアレンジ(曲のタイトルがソラリスの海は、そのため)した「ソラリスの海」と、「答えのない質問」が使用されています。
 せっかくなのでエピソード2のエンディングで使われていた冨田勲オリジナルの『銀河鉄道の夜』から「鳥採りのおじさん」を紹介します。現時点では、アナログ盤の『冨田勲の世界』でしか聴くことはできませんが、冨田初期の作品としてファンから人気のある楽曲です。鳥採りのおじさんが吹く口笛のパートが、想像の宇宙船が銀河に向かっていくシーンで使われていました。
“冨田勲の世界”と銘打って、2004年にオリジナル紙ジャケットとして再登場しています。米国盤のジャケットも封入されていますが、日本盤は『COSMOS』米国盤は『KOSMOS』となっています。(ジャケットも全然違います)
 最後に、冨田勲とカール・セーガンのかかわりのあるエピソードを。
これは2003年に出版された自叙伝『音の雲』で語られていますが、一部抜粋します(
水色字)。
冨田とセーガンがTBSの座談会が縁で、後にニューヨークで再会した際
「実はあなたのシンセサイザーのアルバムからボイジャーに一曲載せようと思って、あなたのRCAレコード担当ディレクターのトーマス・シェパード氏にお願いしたら断られましたよ」(冨田勲著『音の雲』NHK出版より。以下「」内は同様)と、意外な話をもちかけられました。冨田はセーガンにどうして断られたかを尋ねると「宇宙人がきちんと印税を払ってくれる保証がないから」という理由で。ディレクターにその件を尋ねると「ボイジャーに載せるだけならいいんです。彼は同じレコードを彼のプロダクションで何枚も複製して地球人のために売ろうとしているので。その分の使用料は払って欲しいと言ったんです」冨田は納得せざるを得なかったようですが、セーガンはそれまでの宇宙開発に関わる事業で、利益にならないようなことにも奉仕していたので、それぐらいは目をつむってあげてもよいのではないかと思ったそうです。

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