ウィンダム・ヒルの掲示板

Photo by Toshiharu Minagawa.


WH-1046
JOGGING THE MEMORY / Malcolm Dalglish
Produced by Elliot Mazer,William Ackerman and
Malcom Dalglish.
All Composed by Malcom Dalglish.except *

01.Rivulets
02.Air Born*
03.Trouser Pockets
04.New Waltz
05.Pleiades
06.Spring Water At Jerry's Run
07.Pillars
08.St.Basil's Hymn*
09.Bell Pump
10.Jogging The Memory
11.Swimming Rocks

Windham Hill Records, 1985, 1986



 なんというジャケットセンスの良さ!まずそこに目が向いてしまいました。レコード針を降ろしたときに“音楽と風景が一つになった”という言葉を強く思い起こさせ、まさに水しぶきを連想させる音の万華鏡。たとえていうなら、ハスの葉の上をコロコロと転がり、まるで水滴が自分の意志でもってダンスを踊っているかのような一音一音の瑞々しさ。風景や情景を題材にすることの多いウィンダム・ヒルの中でも、きわめて珍しくマクロの世界をのぞき込んでいるようです。以前紹介したアイラ・スタインとラッセル・ウォルダーの『エレメンツ』と共通する点がありますが、こっちはもっと小さな水の世界を描いているようです。
 このウィンダム・ヒルからリリースされたアルバムは、このアルバムの一つ前、『THUNDERHEAD』の中からのリ・レコーディング(前作はGrey Larsenとのコラボ)したものが多く含まれていますが、“St.Basil's Hymn”は特に、ジョージ・ウィンストンが『DECEMBER』の中でも紹介しているとおり、同アルバムの“Minstreis”に多大なインスパイアを与えています。

 ハンマー・ダルシマーは一聴すると、チェンバロのような金属的な音に聞こえますが、種類は打楽器に属しています。実はこのダルシマーはのちにチェンバロやピアノへと変貌する歴史を持つというので、そういった音がするのは当然かもしれません。だからラストに収録されている曲などは、説明されない限り、誰もがピアノだと思うでしょう。限りなくピアノに近い音に聞こえます。
 この楽器は、台形の胴に数十本の弦を張り、それをハンマーで叩くというもので、紀元前9世紀頃の中近東が発祥地とされ、今では民族楽器、民族音楽の領域ではかなりメジャーな存在なようです。さすがはウィンダム・ヒルで、ここで紹介されなければ、私などは一生知らなかったんじゃないかと思います。なお、マルコルムはソロと平行してメタモラというグループでも活動し、ウィンダム・ヒルからは『MORNING WALK』というアルバムをリリースしています。

〜ソロ〜
June Appal ; BANISH MISFORTUNE (1977)
June Appal ; THE FIRST OF AUTUMN (1978)
Flying Fish FF70266 ; THUNDERHEAD (1982)
Music Master ; HYMNODY OF EARTH (1990)
以下のアルバムに曲を提供している。
A WINTER'S SOLSTICE / Northumbrian Lullabye (1985)
THE SHARP OF THE LAND / The Ice Bear (1986)
A WINTER'S SOLSTICE II / Come Life Shaker Life (1988)

〜メタモラ〜
Sugar Hill 1131 METAMORA(1985)
Sugar Hill ; THE GREAT ROAD(1987)
Windham Hill-1068 ; MORNING WALK(1988)
Ooolitic ; PLEASURE(1999)
以下のアルバムに曲を提供している。
A WINTER'S SOLSTICE II / This Rush of Wings (1988)


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