Photo by Toshiharu Minagawa.


WH-1045
A WINTER'S SOLSTICE / Windham Hill Artists

Produced by William Ackerman and Dawn Atkinson.

01.Jese,Joy Of Man's Desiring / David Qualey
02.Engravings II / Ira Stein & Russel Walder
03.New England Morning / William Ackerman
04.High Plains(Christmas On The High Line) / Philip Aaberg
05.Nollaig / Billy Oskay & Michael O'Domhnaill
06.Greensleeves / Liz Story
07.Bach Bouree / Darol Anger & Mike Marshall
08.Northumbrian Lullabye / Malcolm Dalglish
09.Petite Aubade / Shadowfax
10.A Tale Of Two Cities / Mark Isham

Windham Hill Records, 1985


 遅い夏が終わり、秋から冬にかけてのシーズンがやってくると、まず最初にこのアルバムをとりだします。そして、ジャケットに映し出された景色の中に身を置いて、ここに収められている音楽に耳を傾けながら、次にやってくる季節を待ちこがれます。
 1985年に幕を開けたこのシリーズは、レーベル25周年に7枚目のコレクションを最後に幕を閉じることになりますが、繰り返し訪れる季節が二度と同じでないように、このアルバムも年によって違う表情を見せて(聴かせて)くれます。ウィンダム・ヒル初のコンセプトアルバムです(サントラに【COUNTRY】やピアノサンプラーがありますが、レーベルとしてテーマを持ったコンセプトアルバムはこれが最初になります)

今回はでレビューしたコメントに加筆・補正しました。*はトラディショナル



01.Jese,Joy Of Man's Desiring / David Qualey*
David Qualey ; Guitar
Produced by David Qualey.
 オープニングを飾るDavid Qualeyのガット弦による明るい音色は、あたかも新雪によって化粧を施した白いキャンバスを思わせてくれます。言い換えるとリスナーに自由な想像を思い起こさせてくれると言ったらよいでしょうか。
 George Winstonの【DECEMBER】には、David Qualeyが1979年にアレンジしたこの曲のピアノヴァージョンが収録され、そのアルバムにインスピレーションを受けたDawn Atkinsonがこの【A WINTER'S SOLSTICE】を編むことを思いついたといいます。それを思えば、この曲が、どの曲にもまして、オープニングを飾るにふさわしい音色なのです。
 オリジナルはJ.Sバッハの“主よ、人の望みの喜びよ”。このシリーズでも何度も取り上げられることになる音楽の父バッハがオープニングと言うのも心ニクイ演出かもしれません。


02. Engravings II / Ira Stein & Russel Walder
Ira Stein ; Piano / Russel Walder ; Oboe
Produced by William Ackerman & Dawn Atkinson.
 オーボエとピアノによるデュオで、明け方の凛とした情景が目に浮かんでくるような透明感が美しい曲です。遠くに鳴り響く鐘の音も、冬の寒さに凍りついた空気に冴え渡り、印象的な効果を上げています。Ira Steinのオリジナル。この曲のオリジナルは、彼らの2ndアルバム『TRANSIT』に収録されていますが、そちらは二人の共作。


03. New England Morning0/ William Ackerman
William Ackerman ; Guitars / Joan Jeanrenaud ; Cello
Produced by William Ackerman & Dawn Atkinson.
 アッカーマン名義になっていますが、ここでは女流チェリストのJoan Jeanrenaudとのコラボレーション。アッカーマンの描く冬の描写はどことなく、自然の厳しい寒さを感じせずにはいられない音色を“パッヘルベルのカノン”に乗せ、その後に続くJoanのチェロの旋律が寒さの中に宿る温もりを感じさせてくれます。二人の共作


04. High Plains(Christmas On The High Line) / Philip Aaberg
Philip Aaberg ; Piano
Produced by Dawn Atkinson.
 このアルバム中で、次の“Nollaig”と共に大好きな曲です。オープニングはもみの木にも似たシンプルな旋律で始まり、彼のデビューアルバムに収録されているオリジナル曲の“High Plains”へと繋がります。高原に降り積もった新雪。冬の情景。雪は静かに沈黙と静寂の世界へと染めて、新雪が北風に舞いキラキラと陽光をきらめかせるようなパッセージがとても新鮮です。


05. Nollaig / Billy Oskay & Michael O'Domhnaill
Billy Oskay ; Violin, Whistle / Michael O'Domhnaill ; Piano, Guitars
Produced by Billy Oskay & Michael O'Domhnaill.

 1stアルバムのタイトルがそのままグループ名へと発展する前夜の曲で、ピアノに導かれてギターとフルート、そしてピアノ、ヴァイオリンというアンサンブルへと展開してゆきます。たった二人だけによる多重録音とは思えません。特にフルートとヴァイオリンのユニゾンに、マイケルのヴォイスが被さり、非常に印象的なメロディを奏でています。ギターのカッティングによる伴奏も印象的。中間部の盛り上がり過ぎのメロディアスな流れには、思わず目頭が熱くなってしまいます。



06. Greensleeves / Liz Story*
Liz Story ; Piano
Produced by Steven Miller.

 私にとっては英国の作曲家、ラルフ・ヴォーン=ウィリアムズの“グリーンスリーヴスによる幻想曲”が好きなのですが、このピアノのためにアレンジされた曲も捨てがたい存在となりました。残響が多いリズのピアノは、冬の寒々とした情景を思い起こさせてくれるようです。



07. Bach Bouree / Darol Anger & Mike Marshall*
Darol Anger ; Violin / Mike Marshall ; Mandlin
Produced by Darol Anger & Mike Marshall.

 ヴァイオリンとマンドリンという組み合わせによるデュオで、彼らのデビューアルバム『CHIAROSCURO』に収録されている曲を、このアルバムへも併録しています。この曲のオリジナルはJ.Sバッハのフランス組曲です。ここでは二挺とも指で弾いています。雰囲気はDavid Qualeyと似て清々しい冬の清々しい気分にさせてくれるのではないでしょうか。



08. Northumbrian Lullabye / Malcolm Dalglish
Malcolm Dalglish ; Dalsimer
Produced by Malcolm Dalglish.

 チェンバロに似た音色のハンマーダルシマーという打楽器。私はこの楽器の存在も演奏を聴くのは初めてでしたが、このアルバムに収録されたことにより魅了されてしまいました。このシリーズは、そういった未経験のアーティストや楽器に触れると言う意味でも魅力的なシリーズです。



09. Petite Aubade / Shadowfax
Chuck Greenberg ; Winds / G.E.Stinson ; Guitars
Produced by Chuck Greenberg,G.E.Stinson.

 『ウィンターコレクション』に収録されたすべての曲の中で、もっとも古い演奏。言い換えると歴史のあるアーティストによる演奏を聴くことになります。オリジナルは1976年にリリースされ、ウィンダム・ヒルからも1985年にLost Lake Lebelから再販された『WATERCOURSE WAY』に収録されています。ギターとリリコン、リコーダー、フルートを二人で(メンバーは4人ですが、この曲に関しては)多重録音し、中世の雰囲気をかもし出してくれています。タイトルは“小さい朝”という意味となり、私にとってバロックといえば、『朝のバロック』(NHK)であり、冬の朝はまだ真っ暗で、この曲を聴くとその頃を思い出してしまいます。



10. A Tale Of Two Cities / Mark Isham
Mark Isham ; Synthesizer
Produced by Mark Isham.

 この曲も、このアルバムのために書かれたわけではありませんが、締めくくりにふさわしい雰囲気を持っています。マークはトランペット奏者でもあるので、エンディングでは高らかに鳴り響くバロック調の音色が清々しく、神々しく聞こえてきます。