Photo by Toshiharu Minagawa.

AUTUMN / George Winston(WH-1012)
Produced by William Ackerman.

All songs written by
George Winston.

1980 Windham Hill Records.



 

- SEPTEMBER -
01. Colors/Dance
02. Woods
03. Love/Longing

- OCTOBER -
04. Road
05. Moon
06. Sea
07. Stars

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20th Anniversary Edition Bounus Track
08. Too Much Between Us

 
 この季節はどうしても、このアルバムがヘヴィ・ローテーションになってしまいます。ウィンダム・ヒルの、というよりも80年代を代表するアルバムと言っていい、ジョージ・ウィンストンのウィンダム・ヒルからのデビューアルバム。1980年6月19、20日にレコーディングは行われました。

 ご存じのようにジョージ・ウィンストンがもっとも音楽的な影響を受けたのは1960年代のポップ・インストゥルメンタルたち。多感な時期に親しんだだけあって、その愛着はもっとも強いようです。そして時代の区切りとなった1969年前後に聴いたドアーズの音楽、そしてファッツ・ウォーラーのストライド・ピアノ。特にウォーラーの影響は多大で、1972年にウィンダム・ヒルのはしりとも言えるタコマでレコーディングした『SOLO PIANO』は彼に捧げたアルバムとなりました。その後、ピアニストとしての表現に行き詰まったジョージは演奏活動から離れてしまいます。
その後ハワイアン・スラックギターの音色に魅了され、その音色の中に、彼の故郷であるモンタナを強く感じるようになり、ギタリストとしての道を歩み始めました。その頃ボラ・セテというギタリストと出会い、彼をプロデュースしたテープを第一人者であるケオラ・ビーマーの元へ送りました。そして実際にハワイへ向かい、ジョージとケオラは意気投合しハワイアン・スラックギターについて語り合い、共演する。1979年のことです。
そしてタコマで活動していたときに、意識はしないまでも共にステージで共演したことのあるデ・グラッシやアッカーマン、ベイショなどのレコードを次々とリリースしていた小さなレコード会社ウィンダム・ヒルの存在を知り、ウィルに手紙を綴りました。ステージを見たウィルは「ジョージ、君は凄いよ、ギターのアルバムを作ろう」と、アルバム作りを持ちかけたウィルに対して、ジョージも返事を返したのは当然の成り行きでした「うん、作りたいよ」

 契約も済み、いよいよ明日スタジオ入りするという前の晩、アッカーマン宅に泊まっていたジョージが「休む前に1曲弾いてもいい?」と、ウィルの寝室に置いてあったピアノの前に座ります。「君はピアノも弾くの?」「うん、少しね」そこで奏でられた音楽が、いったいどれほどアッカーマンの心を打ったのかは想像に難しくありません。それは、CDという媒体でさえ、私たちはこのアルバムを聴くたびに心打たれるからです。
ウィルは「ジョージ、君はピアノのアルバムをレコーディングすべきだよ!」と アドヴァイスをしたのは、プロデューサーとして当然のことだったのでしょう。「いいや、僕はギターのアルバムを作りたいんだ」ジョージは譲りません。ケオラとのセッションの情熱をウィルにもぶつけました。2人の「ピアノ!」「いや、ギター!」という言い争いは、当日スタジオに行く車の中でも続き、結局は ウィルの粘り強い説得に応じ、ジョージは前の晩に弾いた曲をはじめとする「ピアノのアルバム」をレコーディングすることになったのです。

 ウィンダム・ヒルの中でも、ここまで季節をダイレクトに表現しているのは、おそらくジョージ・ウィンストンぐらいでしょう。2001年に、このアルバムのリリース20周年を記念して再リリースされた際、ボーナストラックに“Too Much Between Us”をレコーディングしていますが、このアルバムをレコーディングした当時の未発表曲を入れていたとしたら、もしかしたら他の曲同様、シンプルに(色づきはじめた)“Trees”とか(秋をもたらす)“Wind”などと、自然をスケッチしていたかもしれません。この新曲がレコーディングされた頃、ちょうど『PLAINS』や『REMEMBRANCE』といった“人の心”をスケッチをしていた時期だから“Too Much Between Us”だったのかもしれない、などと想像を自由に羽ばたかせて聴くのも一興です。

 2005年5月、10年ぶりにジョージのコンサートへ足を運びました。不覚にも遅刻だったため、冒頭の2曲を聴き損ねてしまったのです。しかし、遅れて会場入りした最初の曲は“Rain”。この曲がこんなにも瑞々しく鳴り響くのを聴くのは初めて。もしかすると、当日の東京が雨だったということより、ジョージが日本公演の直前におこなった会場が、彼の故郷であるモンタナだったということが大きく左右していたのでしょうか。ひょっとすると、モンタナも雨だったか。モンタナの大自然をたっぷり吸い込んで来てくれたのかもしれません。会場の空気までもがモンタナのそれになっていたようだった、というのは考えすぎでしょうか?

 
 
Anniversary Edition
AUTUMN(2001)
WINTER INTO SPRING(2002)
DECEMBER(2002)
VELVETEEN RABBIT(2003)
SUMMER(2005)