ウィンダム・ヒルの掲示板
Photo by Toshiharu Minagawa.


WH-1010
ART OF THE ACOUSTIC
STEEL STRING GUITAR 6 &12 / Robbie Basho
Produced by William Ackerman

Side A ;
01.The Grail and the Lotus
02.Cathedrals Et Fleur De Lis
03.Pasha II
04.A Study for Steel String
05.Ackerman Special
06.Apres Midi American

Side B ;
01.Variations On Grieg
02.Scottish Rites
03.Pavan India
04.Variations on Ezumi
05.Variations on Clair De Lune

Windham Hill Records, 1979



 ウィンダム・ヒルから2作目となるこのアルバムでは、ガット弦によるクラシカルなギターピースが収録され、時間をさかのぼって聴いている私には、アッカーマンのルーツを聴くような思いで、いくら音源が古くても、新たな発見や、新鮮な気持ちに浸れることのできる一枚です。

 ガット弦を使っているので、ギターの音色で聞き分けることは容易ですが、タッチや雰囲気など、まさにアッカーマン的。言い換えれば、どれだけアッカーマンが影響を受けていたんだろう、と言うことになるのではないでしょうか?
 曲によっては、アルバムタイトル通り6弦と12弦ギターを使い分けていますが、12弦の音色はチェンバロはクラウザンのような鍵盤楽器を彷彿とさせます。そのため、意識せずに音楽をかけ流していると、バロックの曲を聴いているような気分になることもしばしばです(ヴィヴァルディの曲もあったり A-4)。
 また、クラシックギターとしては、過去にも(といってもこの1979年の年で言えば後にリリース、ということになりますが)レーベルに一枚だけ足跡を残したDavid Qualey(WH1011)とも違い、オリジナリティあふれた作品集です。

 時々奏でられる奏法や音色の中に、時々「ハッ」とするほどアッカーマン的に聞こえることがあります。特に1stや2ndを聴いているような錯覚になることもあり、作曲や演奏の面で多大な影響を受けていたんだなぁと思う瞬間がありました。そして、それを見事に吸収し、自分のスタイルを気付きあげたアッカーマンの、アーティストとしての才能も見事だし、そのレコーディング現場に立ち会った(アッカーマンがプロデュース)彼の胸の内は、計り知れないほど興奮していたに違いありません。

 1曲目では鈴の音が効果的に使われていますが、Pasha IIではロビーの歌声が堪能できます。彼の風貌といい、そのギタースタイルといい(なんかメキシカ〜ン)、ここで聴かれるロビーのヴォーカルは、今、私の知っているレーベルスタイルの、どこにも当てはまることのない異空間です。その彼のヴォーカルは、のちにブームを巻き起こすレーベルのスタイルとは、やや異にし、正直言うと、ちょっと戸惑ってしまいました。

 また、レーベルでは、いち早くドビュッシーの“月の光”を取り上げ、何より嬉しく思います。また、グリーグの「ペールギュント」では、おなじみの“朝”のバリエーション。楽器の性質上、いかにもクラシックのアーティストがアレンジしたような雰囲気を持っています。他にもこのアルバムには、英国の作曲家ヴォーン・ウィリアムズ、バロックのヴィヴァルディなど、選曲にユニークな一面を持っています。

 ちなみに発音しづらいBashoですが、本名はダニエル・ロビンソン・ジュニア。孤児だった彼は、ダニエル・ロビンソンに引き取られ、ジュニアと名づけられました。あるとき、山でトランス状態に陥り、自分が松尾芭蕉である(いわゆる生まれ変わり?)と理解し、以後Bashoと名乗るようになりました。読み方によっては「ベイショ」とも読めますが、ベイショと呼ばれることに対して、かなり不満だったというエピソードが残されています。

 残念ながらCD化されていませんが、【WINDHAM HILL SAMPLER1981】や、1986年の【WINDHAM HILL : THE FIRST TEN YEARS】で聴くことが出来ます。ただし、両アルバム共に選曲されたのが“Variations on Clair De Lune”のみで、寂しい限り。

〜Discography〜
Windham Hill;
WH-1005 VISIONS OF THE COUNTRY(1979)
WH-1011 ART OF THE ACOUSTIC STTEL STRING GUITAR 6 &12(1979)