ウィンダム・ヒルの掲示板

emancipation / Max Goldston -2009-
Produced by Will Ackerman.
Engineer, Mixing Mastered by Corin Nelsen.
Recorded at Imaginary Road Studios, Windham Country,Vermont.

 

Album cover painting;
'La Chica con Guitarra' by Tom Proro.

   

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01. Rebecca Lee
Max Goldston ; Guitar

02. Sorrowful Joy
Max Goldston ; Guitar

03. Sam's Lament
Max Goldston ; Guitar

04. Song For Louisa
Max Goldston ; Guitar

05. Emancipation
Max Goldston ; Guitar

06. Katrina
Max Goldston ; Guitar

07. Whistlin'
Max Goldston ; Guitar

08. Pitfall
Max Goldston ; Guitar

09. Lily Gabrielle
Max Goldston ; Guitar

10. Dirge
Max Goldston ; Guitar

Max Goldston uses Martin guitars and Martin Strings.

 

 
 1曲目の音を聴いたときに思い浮かんだのはトム・ペティの弾き語りによる小品。そして、とても懐かしい音と香がしました。なんだか子守歌でも聴いているような、優しく素朴なギターの音とメロディにホッとします。きっとそれはフィンガーピッキングのサウンドだからでしょう。
 数曲でピックを使用していますが、その演奏も実にまろやかな色をしています。何よりウィンダム・ヒル初期の雰囲気と響きが漂っています。全編がアメリカン・フォーク・ソングといった雰囲気を持っていて、特にMax本人のダブル・トラックによるデュエットでは、メロディがヴォーカルラインさながらに、ギターで歌わせているあたりが「song」というイメージを感じを強く感じさせてくれるのかもしれません。


 全曲が牧歌的な印象を与えてくれるのは、ギターという木で作られてた楽器の持つ特有の音色であり、響きのお陰ですが、Maxのプレイは一部を除きフィンガー・ピッキングという演奏によるところが大きいのです。
 その演奏や曲、ギターの魅力を最大限に引き出しているのは、当然Maxの人柄なのは言うまでもありませんが、それを見事に伝えてくれたImaginary Road Studiosの功績も大きいので、ここでは声を大にして書き記したいと思います。


 Maxのホームページを見ると、スタジオのポートレイトを見ることができます。そこには雪景色のシーズンに訪れた時の様子を窺うことができますが、これは2008年1月にMaxがスタジオを訪れたときのもの。
 白く染まった季節であっても、春を感じさせるぬくもりのある音楽が作られたのは、作曲家が自然から受け取ったメッセージを、その時々で思い綴るからこそであり、ここでは、そうした季節にレコーディングされたことが大きく影響しているに違いありません。素朴で牧歌的な曲が多く聴いていてほのぼのとしてきます。そしてギターが木で作られた楽器というのを強く意識させてくれるのです。

 このアルバムではウィル・アッカーマンがプロデュースをしていません。彼の右腕Corin Nelsenが録音とミックスダウンなどに関わっているだけで、録音に関しては、スタジオ内の音をそのままパッケージしています。
 もともとImaginary Road Studiosはアコースティック・サウンドに適した音響が整っているので、音を作らなくてもそのままダイレクトで録っても生々しい演奏が伝わってくるからです。それからこのアルバムの特徴である、Maxのソロによる演奏なので、アッカーマンがプロダクション(誰と共演させるかといった裏方)をしなかったからでしょう。

Maxは1980年代はデュオ、グループ活動などを行ってきましたが、1996年以降からソロアーティストに転向しました。彼の音楽的影響はJ.J.ケールとマイケル・ヘッジスからと語っていますが、それを強く感じるのは、8曲目で何も知らずに聴いていると、まるでマイケルがゲスト参加してデュエットしているような感じがします。

そしてアルバムには以下の一文がクレジットされ締めくくられています。

"Dedicated to my parents Bob and Marguerite the ultimate true artists of all time!"


 最近、アーティスト本人から直接CDを購入するというのが私の最近のマイ・ブームになっています。ここ数ヶ月でアッカーマンがプロデュース、もしくはスタジオでレコーディングされたアルバムが新譜としてリリースされるのを待てる状態になったので、アンテナを張りめぐらしているのですが、3月初めにリンクを貼っていたMax Goldstonのニューアルバムがリリースされたというニュースを本人のサイトで入手。さっそくメールで何回かやりとりをして無事に手元に届きました。


 今回はサインをしてくれるだけでもありがたいことなのに「レビューをアップしたら教えて欲しい」という条件付きCDを頂いてしまいました。更にMaxは日本を特別な場所だと言ってくれました。20年来「合気道(Aikido)をたしなんでいるんだそうです。(2009/03/18)

 Maxがハワイの友人に頼んでこのページの英訳を手にしたそうです。そしてそのレビューを読んで「自分自身について大いに学ぶことができた」と感想を送ってくれました。これは私にとっても非常に嬉しいメールでした。
 また、MaxのHPで紹介されているImaginary Road Studioのポートレイトは、ミックスダウンではなく2008年の1月で、その時にウィル・アッカーマンと会ったと教えてもらったので、そこの箇所を書き直しました。(2009/04/10)

-Discography-

WESTERN AGE(2005)


emancipation(2009)




Will Ackerman

Windham Hill(ウィンダム・ヒル)Imaginary Road Studios(イマジナリー・ロード)

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