ウィンダム・ヒルの掲示板

雅子/ Masako -2012-
Produced by William Ackerman, Tom Eaton and Masako.
Engineer, Mixing: Tom Eaton.
Recorded at Imaginary Road Studios.
Recorded at Imaginary Road Studios(Dummerston, VT) and The Village Recorder(LA, CA)

All Compositions by Masako.
   
♪ ♪ ♪
01.Glastenbury, VT
Masako; Piano

02.Spring Snow
Masako; Piano
Eugene Friesen; Cello/ Jeff Haynes; Percussion

03.Secret Path To Point Reyes(Part 1)
Masako; Piano
Premik Russell Tubbs; Wind Synthesizer / Will Ackerman; Hopi Drum

04.Secret Path To Point Reyes(Part 2)
Masako; Piano

05.Ottauquechee River
Masako; Piano
Charlie Bisharat; Violin / Noah Wilding; Vocal / Tony Levin; Bass / Jeff Haynes; Percussion

06.Amazing Newt
Masako; Piano

07.A Tale Of Lonely Otter
Masako; Piano
Tony Levin; Bass / Eugene Friesen; Cello / Jeff Haynes; Percussion

08.Remembrance(Part 1)
Masako; Piano
Eugene Friesen; Cello / Tony Levin; Bass

09.Remembrance(Part 2)
Masako; Piano
Charlie Bisharat; Violin / Tony Levin; Bass / Jeff Haynes; Percussion

10.Moon And Stream
Masako; Piano

11.Greening
Masako; Piano / Tony Levin; Bass

12. Forgotten Moments
Masako; Piano / Jill Haley; English Horn



 もともと『GREEN MOUNTAINS & BEYOND』というタイトルで2012年2月リリース予定でしたが、ウィルの意向で、より東洋的な雰囲気を出すためにタイトルやジャケットを変更してリリースされました。アーティスト名であるMASAKOの日本語でズバリ『雅子』と。





 さて、本人のライナーによるとウィルが1980年にジョージ・ウィンストンの『AUTUMN』をプロデュースしたアルバムがリリースされ、それに衝撃を受けたMasakoさんですが、その頃からピアニストとして『AUTUMN』を強く意識していたそうです。そして、日本でもウィンダム・ヒルが静かなブームとなり(私もその頃から聴き始める)、レストランのギグではしばしば『AUTUMN』のリクエストを受けていました。その頃から、将来、ウィルと一緒にアルバムを作るという強い気持ちが芽生え、とうとうアメリカ、しかもスタジオのあるバーモントに移り住むことによって実現させてしまったのです。ウィンダム・ヒル、ひいてはウィルの一ファンである私としては、まるで自分のことのように嬉しく思ってしまいます(多くのレーベル・ファンも同じ気持ちではないでしょうか?)

 ここに収録されている音楽は、ジョージのピアニズムはもとより、同期のフィリップ・アーバーグの広大さやブルージーな感触、リズ・ストーリーのジャズのテイストが隠し味として味わえます。日本で過ごした感性が広いアメリカの大地や空気といった大自然を吸収し、西洋人からは決して生み出されることはないような、誰もが懐かしく感じてしまう日本的なメロディを見つけることができるでしょう。
そしてまた、渡米したからこそ、日本のような狭い国、狭い視野の中からは決して産み落とされることがなったであろう、アメリカの大地を感じさせる曲も演奏されています(この手の曲は想像していなかったので驚きました)。アメリカは広い国であり自由な国だ。その「自由」には聴き手も送り手にも平等に与えられ、共に共存していく。そこに流行り廃れはない。良い音楽だけが育てられていき、次の世代へと受け継がれてゆく。ウィンダム・ヒル以前にも、彼らのようなスタイルは存在していたし、それをウィンダム・ヒルというフォーマットに乗せて広めたウィルの功績は大きい。音楽と、それに似合った風景(ジャケット)の組み合わせというシンプルなスタイル(彼らの姿勢でもある)ではあったけれど、それが彼らのスタイルとなり生き方になっていきました。そして日本では残念ながら「過去のブーム」的な扱いを受けていますが、生みの親となっている本国では、今も個性的なアーティストたちによって受け継がれています。そんなアーティストのひとりに、主役であるMasakoさんが登場したということは、日本のファンにとって朗報以外の何者でもありません。


Photo by Masako.

 ライナーノーツには彼女のコメントが曲ごとにつづられていますが、「Ottauquechee River」の流れる旋律やリズムはウィンダム・ヒルらしいアンサンブルが展開していく佳曲です。私が「驚いた」と感じたのはこの曲です。続く「Amazing Newt」なんかは、日本人じゃないと書けないような古の香りが漂っています。なんだか万葉集とか雅なイメージがあります(日本独特のマイナー調の童謡を思わせる)。タイトルこそ「イモリ」をイメージしていますが、バーモントの自然の豊かさがにじみ出ているようです。この対比がすばらしい。そしてウィルがもっとも影響を受けたという「白い音楽」を連想させずにはいられない「A Tale Of Lonely Otter
今回のアルバムには、ウィルのギターが入っていないのが残念でなりませんが、ぜひとも2ndアルバムでは、彼のギターとの共演を期待したいと思います。

 なお、このページの写真はMasakoさんから送くっていただいた「近所」の風景です。風のように音楽が自然に流れていそうな風景ですね。Masakoさん、ありがとうございました。


Photo by Masako


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