星と天界の音楽と(星のソムリエのブログ)

 カール・セーガンの科学番組『コスモス』で使用されていなければ、彼のアルバムを探し求めることはなかったのでしょうが、1980年ごろ(中学生のとき)、NHK総合ラジオで放送されていたSF(星新一や海外の作家の小説など)や、サスペンスもののドラマシリーズ(つのだじろう etc.)などのタイトルや、ドラマの中で使われていたので、なんとなく聞いたことのあるサウンドとして、耳に残っていました。

OXYGENE(幻想惑星)
01. Oxygene Part 1(起源)
02. Oxygene Part 2(鼓動)
03. Oxygene Part 3(衛星群の誕生)
04. Oxygene Part 4(躍動)
05. Oxygene Part 5(遠ざかる衛星群)
06. Oxygene Part 6(消えた幻想)
 1976年にリリースされた記念すべきジャン・ミッシェル・ジャールの1stアルバム。このジャケットのインパクトは強烈で子供ながらに、怖いのかSFなのかと、なかなか自由に音楽を聴けるような環境ではなかったから、どんな音楽が流れてくるのか想像するありませんでした。

  トミタやヴァンゲリスのサウンドは機械っぽさを感じさせない音楽でしたが、このジャールに関してはバリバリのシンセオンリーのようなサウンド(トミタサウンドも同じような感じですが、質感がまるで違う)。まさに宇宙の無機質さを想像させる音(実際には宇宙空間は真空なので音は存在しないのですが)を聞かせてくれ、ジャケット共々印象に残るものでした。
  1970年代はアポロ以降の宇宙時代に突入し、映画(2001年宇宙の旅、スターウォーズ、未知との遭遇 etc.)などに代表される「スペースもの」が大流行りでした。 そんな中に発表された冨田勲、ヴァンゲリス、そしてジャールの電子音楽は大人気でした。

  次作のアルバム(軌跡)の邦題に比べると、今作のアルバムタイトルや楽曲に付けられたそれぞれの曲名は、レコード会社の「プログレ魂」を感じさせて、とても嬉しく思ってしまいました。
  最初に手に入れたMFSL盤にはOxygene Part 1〜Part6としか記載されていないので、まさかこんなに宇宙っぽいタイトルがついているとは思っても見ませんでした。もしかしたらアルバムタイトルに「惑星」と命名したのは、冨田勲に対抗(あくまでもレコード会社間での営業が)していたのかもしれませんね。

 なお、『コスモス』に使用されているのは、このアルバムではなく1977年にリリースされた2ndアルバムの方からの楽曲です。

OXYGEN

EQUINOXE(軌跡)
01. Equinoxe Part 1(軌跡 パート1)
02. Equinoxe Part 2(軌跡 パート2)
03. Equinoxe Part 3(軌跡 パート3)
04. Equinoxe Part 4(軌跡 パート4)
05. Equinoxe Part 5(軌跡 パート5)
06. Equinoxe Part 6(軌跡 パート6)
07. Equinoxe Part 7(軌跡 パート7)
08. Equinoxe Part 8(軌跡 パート8)
 曲目が単一で、パートに分けられているだけなので、ちょっと物足りないのですが、A面4曲目、つまりパート4が先の『コスモス』でセーガン博士がワーム・ホールに飛び込むシーンで使用されました。また、B面1曲目は、この手のアルバムとしては珍しくシングルカットされています(♪ きらめくダイヤスター)。

 このアルバムは前作『幻想惑星』に引き続き、当時のシンセファンの欲求を満たしてくれる音、コンセプトとして、アルバムジャケット共々公正に語り伝えられる内容ではないでしょうか?

 アルバムタイトルである『EQUINOXE』に邦題として『軌跡』と命名されていますが、本来の意味は天文学でいうところの「昼夜平分点」のこと。簡単にいえば春分・秋分の意味。EQUINOXEという単語を分解してみるとわかりやすいかもしれません。EQUINOXのうち、NOXは「夜」のことで、EQUIは「等しい」という意味です。冨田勲氏も語っていましたが、宇宙の動きはコンピュータ的と考えると、ジャールのサウンドや、ミニマル的な繰り返しは、まさに天球の音楽的な意味合いを持っているように思います。

EQUINOXE

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