星と天界の音楽と(星のソムリエのブログ)

 おうし座の肩先に輝くプレアデス星団(和名をすばる、むつらぼし、はごいたぼし)。世界各地の民族はそれぞれの伝説を伝えています。その中でも有名なのは、やはりギリシア神話の伝説ではないでしょうか

 プレアデス姉妹は森の中で狩人オリオンに見初められて逃げ回り、ヘラに助けを求めました。女神は姉妹の姿を美しい鳩に変えてくれたので、空に逃げることができました。しかし、その姿があまりにも美しく輝いてかったため、空に羽ばたく鳩を見たゼウスが星に変えてしまいました。その後、オリオンも死に、アルテミスの願いで星座にあげられてしまったので、今でもプレアデスはオリオンから逃れるように西へ西へと移動していると言われています。オリオンが蠍を逃れて西へ西へと動いていく様子と相まって、古代人たちが星空に向けた観察眼の良さが伝わるエピソードといえるのではないでしょうか。

プレアデスを見つめるオリオン
Photo by tupichan 2017

 


「プレイアデス(Pleiades)は、牡牛座の肩あたりに位置する7つほどの星からなる小さな星団で、和名は「すばる」。この星たちに知なんで7つの音を使った7曲からなる舞曲集を編むことにしたのは、どこかの誰かが「音階の12の音を均等に使う」などと言い出したおかげで泥沼にはまりこんだ20世紀の「現代音楽」への精一杯の反抗。来るべき21世紀にはもうこの悪夢を伝えたくない、という切なる(そして、ちょっと過激な)「星への願い」も込められている」
- - - 吉松隆

 この舞曲集は全体がプレアデス星団にちなんでいますが、唯一、補遺として書かれたピアノ・フォリオ「消えたプレイアードによせて」という小品のみが、プレアデス星団と直接関わりのあるタイトルとなっています。それ以外、全9集ある曲集のうち、星団にちなんだ、もしくはギリシア神話にちなんでいると思われるタイトルは以下の通りです。

『プレイアデス舞曲集IV』
II. 静かなる雨の雅歌
III. 西に向かう舞曲
V. 遠くの牧歌
VI. 東に向かう舞曲

『プレイアデス舞曲集VI』
VI. 冬のパストラル

『プレイアデス舞曲集IX』
IV. 星降る夜の子守歌

 やはり全体をして『プレアデス』を思いながら聴く方が、想像力をかき立てられます。そして補遺として書かれた『ピアノフォリオ …消えたプレイアードによせて』は、具体的なタイ
トルとして興味が惹かれるのではないでしょうか?

 私がこの曲集を手にした時にはすでに田部京子さんのレコーディングによるアルバムが2枚リリースされていました。 ここで紹介している小品は『プレイアデス舞曲集2』に収録されていて、ピアニストの田部京子さんに献呈されています。

 このショパン風の、雄大な感じの曲調は「恥じて姿をくらませた」という雰囲気からは遠く感じます。


「消えたプレイヤード、メローペに近づくヴィーナス(金星)」
Photo by tupichan 2020

 映画『ツレがうつになりまして』の原作者細川貂々氏が選曲したアルバム『ツレうつクラシック』の1曲目にも収録されています。



4つの小さな夢のうた
春:5月の夢の歌
夏:8月のゆがんだワルツ
秋:11月の夢の歌
冬:子守歌
3つのワルツ
緑のワルツ
虹色の薔薇のワルツ
  ベルベット・ワルツ
消えたプレイヤードによせて
プレイアデス舞曲集VI
小さな春への前奏曲
春の終わりのワルツ
夏のパストラル
けだるい夏へのロマンス
  秋の舟唄
  冬のパストラル
  ロンド...春ふたたび
プレイアデス舞曲集VII
途切れた淡い前奏曲
静止した夢のパヴァーヌ
数え直しのワルツ
流動的なインベンション
  遠い夢のロマンス
  柔らかな時の舞曲
  優しき風のロンド
プレイアデス舞曲集VIII
月のプレリュード
火のモデラート
水のアンダンテ
木のスケルツォ
  金のアダージョ
  土のアレグロ
  日のポストリュード
プレイアデス舞曲集IX
しなやかな前奏曲
水晶の小さなロマンス
穏やかな角度のワルツ
星降る夜の子守歌
  放物線をしたロマンス
  夢みるアラベスク
  フィナーレの風景
2つのロマンス
名前のロマンス
誕生日のロマンス


 おうし座の肩先に輝くプレアデス星団(和名をすばる、むつらぼし、はごいたぼし)。世界各地の民族はそれぞれの伝説を伝えています。その中でも有名なのは、やはりギリシア神話の伝説ではないでしょうか

 プレアデス姉妹は森の中で狩人オリオンに見初められて逃げ回り、ヘラに助けを求めました。女神は姉妹の姿を美しい鳩に変えてくれたので、空に逃げることができました。しかし、その姿があまりにも美しく輝いてかったため、空に羽ばたく鳩を見たゼウスが星に変えてしまいました。その後、オリオンも死に、アルテミスの願いで星座にあげられてしまったので、今でもプレアデスはオリオンから逃れるように西へ西へと移動していると言われています。オリオンが蠍を逃れて西へ西へと動いていく様子と相まって、古代人たちが星空に向けた観察眼の良さが伝わるエピソードといえるのではないでしょうか。

プレアデスを見つめるオリオン
Photo by tupichan 2017
 上の家系図を見ると、ゼウスが3人(マイア、エーレクトラ、タユゲテー)、ポセイドン(ケライノ、アルッキュオネ)、アレースがステロペーと関係を持っています。この3人はオリュンポスの神ですが、メロペーのみが人間のシーシュポスと結婚しました。彼女はそれを恥じて、一人彗星となって星空(星団)から姿を消したのです。

Photo by tupichan 1986

 

乗鞍コロナ観測所(国立天文台)ハッブル望遠鏡(NASA)

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