星と天界の音楽と(星のソムリエのブログ)

天体の調和(1589)
『天体の調和』


演奏:ウエルガス・アンサンブル
指揮:パウル・ファン・ネーヴェル



『天体の調和』


演奏:モード・アンティコ
指揮:フェデリコ・マリア・サルデッリ

 この曲は1589年5月2日、メディチ家当主フェルディナンド1世とクリスティーナの結婚式のために上演されました。下のアルバムはモード・アンティコのライヴ時の一コマのようですが、CDジャケットが天空を指差しているシーンでしょうか? 当時は星空と人間界がつながっていたと思わせるジャケットです。


オープニング
クリストファーノ・マルヴェッツィ(1547-1597)
インテルメディオI:天体の調和

ルカ・マレンツィオ(1553-1599)
インテルメディオII:ミューズとピエリデスの歌試合
インテルメディオIII:アポロとピュートーンの戦い

ジュリオ・カッチーニ(c.1550-1618)
クリストファーノ・マルヴェッツィ(1547-1597)
ジョヴァンニ・デ・バルディ(1534-1612)
インテルメディオIV:天の悪魔は幸せな時代の到来を予言する

クリストファーノ・マルヴェッツィ(1547-1597)
ヤコボ・ペーリ(1561-1633)
インテルメディオV:アリオーネとイルカ

クリストファーノ・マルヴェッツィ(1547-1597)
エミリオ・デ・カヴァリエーリ(1550-1602)
インテルメディオVI:ユピテルと神々の会議

 こういった曲って、比較的世界初録音で終わってしまうことがあるのに、国内盤をはじめ複数のレコーディングが存在しています。

  この「天体の調和」ラ・ペッレグリーナの6つのインテルメディオはそれぞれが、いつくかの部分からなっており、それ自体としての統一性が形成され、新婚の夫婦になぞられたギリシア神話からの物語を持っている。台本は3つの文学作品を原典としているが、特にオウィディウスの『変身物語』がアイディアの大部分を提供している。天球の音楽を持つ第1インテルメディオはプラトンに依拠しており、リュトゥムスと調和によってもたらされた喜びを賛美する第6インテルメディオモ同様である。


調和のとれた天球(1622)
クアリャーティ:
『調和のとれた天球』


演奏:ローマ・バロッカ・アンサンブル
指揮:ロレンツォ・トッツィ

 1622年、ローマで催された、ニッコロ・ルドヴィージ(教皇グレゴリウス15世の甥、後にピオンビーノ公国の君主)とイザベッラ・ジェズアルドの結婚式を祝うための音楽


惑星の調和(1723)
カルダーラ:
『惑星の調和』

演奏:ラ・チェトラ
指揮:アンドレア・マルコン

 この曲も宇宙を題材にした作品です。作曲の動機となっているのは1723年11月19日、ハプスブルク家の神聖ローマ帝国皇帝カール6世(1685-1740)の皇后でマリア・テレジアの母でもあるエリーザベト(1691-1750)の命名日を祝うため。国王からの依頼とあっては、作曲家にしてみればもろ手を挙げて称えるに越したことはなく、何より素晴らしいかと歌い上げるためには、神々を持ち出すに限る。ならばローマ神話の神々を登場させるのが手っ取り早く、当時の宇宙観を神々の住む世界に下ろしてきた感じ。天に住みたもう神々、つまりマーキュリー(ヘルメス)、ヴィーナス(アフロディテ)、マーズ(アレス)、ジュピター(ゼウス)、サターン(クロノス)たちは、我々は素晴らしいが、エリザベートは我々よりもっと素晴らしい、と神々に歌わせてしまう。終始そんな内容。これ以上ない題材ですね。ボヘミアで上演された祝典劇。このラ・チェトラのレコーディングはおよそ300年ぶりに上演されたのを記念して収録されたとか。

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