今号には前号に引き続き、木村清二さんと斉田博さんのお二人の、ハーシェルゆかりの地を訪ねるエッセイが掲載されています。ハーシェルを取り上げるなんて、さすが『星の手帖』と思います。他にも特集に寄せた斉田さんの「わが国を中心とした新星発見小史」や、連載を続けている「天文以外史」など、斉田ファンには嬉しい記事が連なる号でした。天文史に興味がある私には、さらに佐藤利男さんの「明治神宮外苑の樺太島日露国境天測標」や斉藤国治さんの「明治20年(1887)本邦初のコロナ観測」などが組まれているので、手に取る回数の多い一冊となっています。
さて、今となっては各号に掲載されているニッチな特集を目当てに手にすることの多い書籍となっていますが、リアル体験をしていた当時中学生の私にとって、まだまだムツカシイ相手でした。身の程知らずを感じつつも、藤井さんのエッセイの切れ端が「毎回」読めるということもあって、ファンの私には少々お高くても年間購読を始めてしました。まず真っ先に目を通すのは「特集」ではなく、巻末の「編集室だより」です。ここにきて「ほっ」とするのは、星に関係のない話題であっても、藤井さんの巧妙な語りがこの季刊誌のページの端々に詰まった「星の世界」の入口を私には低くしてくれるからです。今号の「編集室だより」では、一般新聞にも取り上げられた白河天体観測所所長チロが永眠という訃報が綴られていました。グラビアでは『星空への招待』会場に登場してくれたチロの最後の姿があります(合掌)