日本人がまとめたギリシア神話集
ギリシア神話と言えば、西洋文化の源ともいわれるだけあって、神話の書籍もホメロス、ヘシオドス、アポロドーロス、オウィディウス、ブルフィンチなどなど多くの作家の邦訳で読むことができます。私の記憶では、最初に手にしたギリシア神話は、藤井旭の『星座ガイドブック』でした。そしてフェリックス・ギランの本。だんだん物足りなくなってきて、どっしりとした呉茂一(新装版)にたどり着きました。
 日本人が編んだギリシア神話で、まず最初に手を出すべき本ではないでしょうか?要領よくまとめあげられたこの作品は、年に初版が出版され、そののちも新装版として出版される以外、特に目立った変更も改編もなくギリシア神話ファンをたのしませてくれます。

 

 紹介の写真で見ると、体裁の大きな本のように見えてしまいますが、文庫サイズです。

 目次に「月と星の神話四つ」があり、星のソムリエ的には最初にページをめくってしまいました。

・セレーネ(月)とエンデミオン
・カストルとポルックス兄弟
・伝馬ペガサスとベレロフォン
・オリオンとさそりとプレアデス

 カストル、ポルックスの解説で「その近くに、母のレダは白鳥座の星になっている」いうくだりがあります。「近く」といえるのかどうか、実際の両星座は冬の星座(ふたご座)と夏の星座(はくちょう座)と、正反対程離れています。

 

 

 『ギリシア・ローマ神話』と、合わさったタイトルの書籍はたくさんありますが、『ローマ神話』だけに絞った著作はめずらしいかもしれません。

 

 串田孫一の『ギリシア神話』。ラジオ『音楽の絵本』で親しんでいただけあって、この本を見つけた時は喜んですぐに手にしました。それまで比較的難しい邦訳などで読んでいましたが、これは非常に簡潔に、読みやすい言葉でつづられています。

 

 本作の著者である村田治氏は2006年に闘病生活を終え、アキレウスを始めとするギリシア神話に登場した英雄の元へ旅立っていきました。西洋古典学者としての最後の作品がここで紹介する『トロイア戦争全史』です。遺稿という形で遺族が明星大学教授青山照男氏に、そして出版部に託されたそうです。そして2008年9月10日に出版され日の目を見たのです。 ここではイリアスを中心としながらも、「なぜ」「どうして」という戦争に発展する経過が様々な作品を引用(出典元あり)してまったく新しい「トロイア戦争」を読むことができます。先に紹介した『トロイアの歌』同様、イリアスの難しさをここでは感じることがありません。むしろ、後述する阿刀田氏の作品に近い読みやすさがあります。しかし阿刀田氏の小説と違うのは、原典に忠実に村田節になっていること。“原典が読める人でも何冊も読まなければ知ることのできない戦争の原因から終末までを順次述べ、この戦争にまつわるあらゆる話題、エピソードを物語年代の順に記述し、トロイア戦争について知りたければこの一冊で充分だと言えるような本を作りたい”という情熱の元に編まれた一冊です。

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