星と天界の音楽と(星のソムリエのブログ)

~『ギリシア神話』の美術~
 ギリシア神話からインスピレーションを受けた芸術家は、世界中にどれほどいるのでしょうか?ここでは、神話に近い時代に制作された、今では美術工芸品と呼ばれるような作品を紹介してくれる本に注目してみたいと思います。

 遠く、ギリシアの地へ、そして遠く彼らの記憶への旅が、確実に目の前に広がってくれるガイドを担ってくれるのではないでしょうか?

 

美術の中の裸婦
  集英社の美術図鑑のシリーズで、『美術のなかの裸婦』の最初の4巻までがギリシア神話に関わりのある日作品が多数収録されています。ページをめくるたびにドビュッシーになったような気分です。というわけで、あまりにも大型で重たいアルバムなので、大きさの比較として良く聞いているドビュッシー関連のCDを並べてみました。

 

大系世界の美術『ギリシア美術』
 ギリシアの美術を4つの時代に分けて、それぞれの特徴を見せてくれます。

第1章:幾何学様式時代
第2章:アルカイク時代
第3章:クラシック時代
第4章:ヘレニズム時代

 

世界の文化史蹟『ギリシアの神殿』
 世界の文化史蹟の中の『ギリシアの神殿』。ここには神殿の全景を始め、その中の装飾品としての神々の姿や、特にお気に入りである神託のシーンの再現などを見ることができ、今まで文章でしか知ることがなかった情景などが具体的な姿として目の前に現れてくれます。

 

  トロイア戦争に特化した作品を集めた本。




~絵画をたのしむ~
 ギリシア神話の影響は、後々の世に多大な影響を与えてくれました。時代に併せて読みやすく語りかけてくれる文章だったり、あるいは心に訴えかけてくる音楽だったり。当然、目に見えない神々を視覚化したかいがだったり。そうした芸術において、もっともギリシア神話らしい作品と言えば絵画の世界かもしれません。

 古くは詩人たちの神々の容姿を歌った表現にインスピレーションを受けた画家が、壺やキャンバスにその姿を描がき、私たちが詩人、画家の目を通してギリシア神話を楽しませてくれるのです。
 絵画を手掛かりにギリシア神話を探ろうとすると、エピソードの数以上に(それだけ画家の腕をかきたてる魅力を持っているに他なりませんね)作品が描かれているので、途方に暮れてしまいます(笑)。

 お気に入りの画家の画集や、時々開かれる美術展などに足を運べば、ギリシア神話に必ずと言っていいほど巡り会えそうですが、手っ取り早くエピソードごとに、と考えるならば、ここで紹介するガイドブックが良い道しるべになってくれるでしょう。

 ちなみに私のお気に入りは、女神や女性を美しく描くウィリアム・アドルフ・ブグロー(1825-1905)、ギュスターヴ・モロー(1826-1898)、ジョン・ウィリアム・ウォーターハウス(1849-1917)ら近代の画家たち。あるいは、このページの背景にもなっている古代ギリシアのツボ絵など、レプリカでもいいから部屋に置いておきたいなぁと思います。
  星座になっているコップ座のような陶器(クラーテル)に描かれたギリシア神話を題材とした絵画。それを日本人カメラマンが、世界で初めての試みとしてスリットカメラを用いて撮影した写真集です。実物を見る以外、本に掲載されている陶器に描かれた絵の裏側を見ることは不可能ですが、ここではスリットカメラを走らせる(貴重な壺は鎮座させたまま)ことで、物語として描かれていることの多い陶器の絵を一枚の写真の上に移し込むことに成功しています。私は、写真にも興味があるので、この方法(に着眼した発想)には舌を巻いてしまいました。

 収録された陶器は全部で47。神々や英雄、そして動物たちが時には断片しか残っていないような陶器に描かれていますが、当時を偲ぶには充分な雰囲気を持っています。

 

 

 多くの画家がギリシア神話をテーマに名作を残してくれていますが、この一冊が、その絵画の世界への入口となってくれることは間違いありません。テーマとなっている物語を、ひとつひとつの作品から読みとるには、いささか無理がありますが、ひととおりギリシア神話を読んでいれば、これがどのシーンを描いていたかがわかるはずです。

 この本をギリシア神話の入口として手にすることは避けた方が良いと思いますが、すべてがカラーで掲載されているので、物語を読み始めるきっかけとなるかもしれません。本書の後編には、神話とは一切関係のない作品が紹介されていますが、絵画作品は、ここに掲載されていない主題も数多く描かれていますので、III以降の主題は外してもらって神話のみにしてもらえると嬉しいなぁ。

 なお、カラーページばかりなので、A5ソフトカバーとはいえ、重たいです。

 

 有名どころを集めた写真集&キャラクターの概要を知ることができます。非常にコンパクトにまとめられ、かつカラーで掲載されているので見ごたえが十分にあります。いつも思うのですが、このテの「立派で大きな」画集を出版してほしいですね。特に見開き(ページをまたがる)のは、著作権の問題もあるのでしょうが、いつも閉口させられます。

 

  「すぐわかるシリーズ」として、2006年に出版された作品の改訂版。先の画集(?)と同じくサイズが小さくコンパクトが売り。でも、もっと大きい方が見やすいなぁ、と思うのは私だけではないでしょう。

 

  河出書房から出版されたギリシア神話絵画の世界。天文書を専門とする出版社だからというわけではないですが、このテの書籍は早かったような気がします。このあと、膨大な物語を保持するギリシア神話だけあって、「英雄編」も編まれることになりますが、そちらはのちに新装版も出ています。しかし、神々編は、いまだに初版のまま。

 

  右が2011年の新装版。左は2002年の初版。

 

  ギリシア神話、ローマ神話に登場するキャラクターを100人登場させ、それらの家系図でたどる絵画集。

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