星と天界の音楽と(星のソムリエのブログ)

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 ピアノ作品を専門でレコーディングとリリースを続けるレーベルGRAND PIANO。カタログを見渡せば、数多くの夜想曲を見いだすことができます。アルバムの中にたった1曲だけ潜んでいたり、組曲としてまとめてレコーディングされたり。これまで有名どころの作曲家の夜想曲は比較的耳にすることはありましたが、このレーベルで紹介してくれる作曲家は、初めて耳にする人ばかりで、夜想曲というジャンルが、物凄い拡がりをみせて作曲家の琴線に触れていることを思い知らされます。

 

ヴァレンティン・シルヴェストロフ(Valentin Silvestrov, 1937-)

 ウクライナの作曲家。

シルヴェストロフ:ピアノ作品集 / Elisaveta Blumina


GRAND PIANO: GP669

『素朴な音楽』(1954-55/93)
第1番:ワルツ
第2番:夜想曲
第3番:おとぎ話
第4番:牧歌
第5番:夜想曲
第6番:前奏曲
第7番:ワルツ
 7曲からなるピアノ曲集『素朴な音楽』に収録。世界初録音という《Naive Music》は、メーカーによれば

「素朴な音楽…Naive Music」は古典的な和声とシューベルトにも似た清明な旋律で書かれていますが、このメロディに聞き惚れていると、ふと隣に横たわる“深い闇”と“沈黙の世界”に気が付く瞬間が訪れるはず

とのこと。




ギュスターヴ・サマズイユ(Gustave Samazeuilh, 1877-1967)

 ショーソン、デュカスの弟子であり、また生涯に渡ってラヴェルと親交を持ったというギュスターヴ・サマズイユ。彼は作曲家としてよりも評論家、文筆家として名高く、当時のフランス内外で新聞や雑誌に数多く批評を寄稿していました。またワーグナー、シューマン、シューベルト、リストなどの作品をフランスに紹介し、若きメシアンを擁護したことでも知られています。(メーカーより)
  調べてみたら、牧神の午後への前奏曲(ドビュッシー)、古風なメヌエット(ラヴェル)、ファリャ、そしてデュカスの作品の編曲を数多く手がけているようです。

サマズイユ:ピアノ作品全集 / Oliver Chauzu


GRAND PIANO: GP669

夜想曲
 ここに収録された夜想曲の他に「沖合いの月の光」といった印象派的な絵画を思わせる小品も収録されています。

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ミリイ・バラキレフ(Mily Balakirev, 1837-1910)

 ロシア5人組の一人。

バラキレフ ピアノ全集2 / Nicholas Wlker


GRAND PIANO: GP713

夜想曲 第1番 変ロ短調
夜想曲 第2番 ロ短調
夜想曲 第3番 ニ短調
夜想曲 嬰ト短調
 ロシア5人組(ミリイ・バラキレフ ツェーザリ・キュイ モデスト・ムソルグスキー アレクサンドル・ボロディン ニコライ・リムスキー=コルサコフ)の中では、もっとも多くの夜想曲を残してくれました。ついでリムスキー。有名なのはボロディンの弦楽四重奏曲でしょうか。

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バンジャマン・ゴダール(Benjamin Godard, 1849-1895)

 19世紀フランスで活躍したバンジャマン・ゴダール(1849-1895)は、ワーグナーに傾倒していたということでしたが、ここで聞かれる夜想曲は「フランス人の作曲家」というイメージに近い作風の作品が多いようです。

ゴダールピアノ全集2 / Eliane Reyes


GRAND PIANO: GP684

夜想曲 第1番 Op.68
夜想曲 第2番 Op.90
夜想曲 第3番 Op.139
夜想曲 第4番 Op.150
 ここに収録された4曲の他に、ピティナのサイトには『旋律的練習曲 Op.149』の第2曲に「イタリアのノクターン」があるとのこと。

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サルキス・バルフダリアン(Sarkis Barkhudarian, 1887-1973)

 パルムグレンは「グリーグ以来の北欧ピアノ音楽の至宝とされています。それを裏付けるかのように、この作曲家の作品のほとんどがピアノ曲であり、他に男声合唱のための作品が目立ちます(シベリウスの影響でしょうか)。

バルフダリアン:ピアノ作品集


GRAND PIANO: GP775

夜想曲 変イ長調 Op.12(1892年出版)
 アルメニアとジョージア(旧グルジア)で活躍した作曲家バルフダリアンは、ピアノのためのたくさんの小品を書いたことで知られています。曲はどれも民族音楽の影響を受けており、カラフルで躍動的です。(メーカーによる)ピアノのための小品 第2集 (1915-1923)の第8番に夜想曲が入っています。

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コンスタンティン・アンティポフ(Konstantin Antipov, 1858-1936)

 パルムグレンは「グリーグ以来の北欧ピアノ音楽の至宝とされています。それを裏付けるかのように、この作曲家の作品のほとんどがピアノ曲であり、他に男声合唱のための作品が目立ちます(シベリウスの影響でしょうか)。

ロシア王朝のピアノ音楽


GRAND PIANO: GP858

夜想曲 変イ長調 Op.12(1892年出版)
 このアルバムには、ロシアに連綿と連なる音楽家の家系に生まれた作曲家たちの作品が収録されています。コンスタンティン・リャードフ(1820-1871)、アナトーリ・リャードフ(1855-1914)、アレクサンドル・リャードフ(1808-1871)、コンスタンティン・アンティポフ(1858-1936)、イヴァン・ポマザンスキー(1848-1918) 、エフゲニー・ポマザンスキー(1883-1948) 。メーカーによる。

  このうち夜想曲が収録されているのはアンティポフ一人。タイトルからそそられるのはもう1曲、リャードフの断片として残された「夜明け」でしょうか。

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アルメイダ・プラド (Almeida Prado, 1943-2010)

 ブラジルの作曲家。天象が趣味なのか、『カルタス・セレステス』など、天体に関する数多くのピアノ曲を残しています。

アルメイダ・プラド / Aleyson Scopel


GRAND PIANO: GP890

夜想曲
第1番〜第14番
 そんなプラドは、全14曲にも及ぶ『夜想曲集』を残しています。作曲は1985〜1991年にかけて。そんな夜想曲を『カルタス・セレステス』全曲をレコーディングしたアレイソン・スコペルが取り上げてくれました。作風は現代音楽という範疇にあらず、フォーレに近い作風と言えば良いでしょうか? 天文好きな趣味に講じて、夜想曲の中にも星のきらめきを思わせるようなピースが数曲あります。

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セリム・パルムグレン(Selim Palmgren, 1878-1951)

 パルムグレンは「グリーグ以来の北欧ピアノ音楽の至宝とされています。それを裏付けるかのように、この作曲家の作品のほとんどがピアノ曲であり、他に男声合唱のための作品が目立ちます(シベリウスの影響でしょうか)。

パルムグレン ピアノ全集4 / Jouni Somero


GRAND PIANO: GP907

3つの夜想的情景 Op.72
I. 星はまたたく
II. 夜の歌
III. あけぼの
 舘野泉氏のフィンランドを特集したピアノピースに収録され、「これぞ星の輝きが音を出してメロディを奏でている!」と思った「星はまたたく(あるいはきらめく)」。この曲自体は『3つの夜想的情景 Op.72』の第1曲が正式な居所(笑)。単独で取り上げられるケースが多いのですが、3曲とも夜想曲の性格をもった静かな曲です。ピアニストのJouni Someroは非常にゆっくりと進めて行き、これまで私が抱いていた情景をことごとく打ち破って行きました(笑)

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ステファン・エルマス(Stephan Elmas, 1867-1937)

 幼い頃からピアノの腕を発揮し、リストを得意としていたそうです。そして念願かなって晩年のリストと出会い修行を積んだというエルマス。そんな彼が筆を7曲まで進めた夜想曲。そこにはリストのピアにスティックな作風と言うよりは、ショパンに近いロマンティックな雰囲気が漂っています。

エルマス ピアノ全集1 / Mikael Ayrapetyan


GRAND PIANO: GP914

夜想曲
第1番〜第7番
 このアルバムには舟唄やバラードも収められていますが、目玉はなんといっても7曲に及ぶ夜想曲群。このジャンルはショパンやフォーレに伝染した意外にも、多くの作曲家のインスピレーションを生み出したと知ることができます。



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