星と天界の音楽と(星のソムリエのブログ)
ジョヴァンニ・バッティスタ・ペルゴレージ(Giovanni Battista Pergolesi, 1710 - 1736)

 クラシック界の一発屋の一人に数え上げられることのあるペルゴレージ。『スターバト・マーテル』のテキストには多くの作曲家がそれぞれの旋律を作曲し、残しています。彼はその中の一人なのですが、どういうわけかスターバト・マーテル、イコール、ペルゴレージという図式が出来上がってしまいました。
 他の宗教曲もそうですが、私の場合は信仰心などない輩ですので、テキストの内容はほぼ理解していません。人の声の素晴らしさに目覚めさせてくれたジャンルで、ただそれだけのために聴いていると言っても過言ではありません。各曲に充てられたタイトルは、(オペラとかと同じく)テキストの冒頭の部分の歌い出し。

 
スターバト・マテール

Gemma Bertagnolli; Soprano
Sara Mingardo; Contralto
Concerto Italiano
Diretto da Rinaldo Alessandrini

Opus111 OPS 30 160

ジョヴァンニ・バッティスタ・ペルゴレージ(1736)
Stabat Mater dolorosa(悲しみの母)
Cujus animam gementem(呻き、悲しみ)
O quam tristis et afflicta(ああ、なんと悲しく)
Quae moerebat et dolebat(そして歎き、悲しんでいた)
Quis est homo qui non fleret(涙をこぼさないものがあるだろうか)
Vidit suum dulcem natum(愛しい御子が)
Eia Mater(さあ、御母よ)
Fac ut ardeat cor meum(私の心を燃やしてください)
Sancta Mater(聖なる母よ)
Fac ut portem Christi mortem(あなたと共にまことに涙を流し)
Inflammatus et accensus(怒りの火に燃やされることなきよう)
Quando corpus morietur(肉体が滅びる時には)
アレッサンドロ・スカルラッティ(1724)
Stabat Mater dolorosa(悲しみの母)
Cujus animam gementem(呻き、悲しみ)
O quam tristis et afflicta(ああ、なんと悲しく)
Quae moerebat et dolebat(そして歎き、悲しんでいた)
Quis est homo qui non fleret(涙をこぼさないものがあるだろうか)
Quis non posset contristari(悲しみを抱かないものがあるだろうか)
Pro peccatis suae gentis(その民の罪のために)
Vidit suum dulcem natum(愛しい御子が)
Pia Mater(慈悲深い御母は)
Sancta Mater(聖なる母よ)
Fac ut ardeat cor meum(私の心を燃やしてください)
Tui nati vulnerati(あなたの子が傷つけられ)
Juxta crucem tecum stare(十字架の傍らにあなたと共に立ち)
Virgo virginum praeclara(いと清き乙女のなかの乙女よ)
Fac ut portem Christi mortem(あなたと共にまことに涙を流し)
Inflammatus et accensus(怒りの火に燃やされることなきよう)
Fac me cruce custodiri(どうか私に十字架を)
Quando corpus morietur(肉体が滅びる時には)
 
 このアルバムでは、ペルゴレージの『スターバト・マテール』の他に、アレッサンドロ・スカルラッティの同曲がカップリングされています。ソプラノ、アルト独唱と弦楽器という編成が同じことから、というばかりでなく、どうやら作曲の古いスカルラッティの作品の「代わりになる」新作を期待して、若き作曲家に依頼したと言う経緯が音楽史の中に残されているからのようです。

 ペルゴレージの方は、映画『アマデウス』の中でサリエリのしかめっ面をバックに登場し、ずっと耳に残っていた旋律でした。確かそこでは少年合唱団の演奏だった記憶があります。しかしオリジナルは、ソプラノとアルトの重奏で、ここに収録された編成です。

 このアルバムは非常に音が良く、適度な残響が、どういうわけか敬虔な気持ちとヒンヤリとした(宗教曲は教会、と考えてしまいます)感触を生み、何やら襟元をただして聴いてしまいます。女声二人のハーモニーも、ソロとデュオともに大変美しく響きます。弦楽器が中央から左寄り、声楽は左寄りで、ソプラノ(左)、アルト(右)と、立ち位置が目の前に広がっているかのような音場です。