星と天界の音楽と(星のソムリエのブログ)


 

 「スカルラッティ」と言えば、音楽史的には息子のドメニコ・スカルラッティ(1685-1757)の方が知名度が高いようです。ここでは、その父親。私がスカルラッティ家を聞くようになったのは、父の宗教曲から。

  彼(アレッサンドロ)は、ベル・カントを中心にしたアリアを確立。歌劇におけるナポリ楽派の創始者。またイタリア風序曲の形式の確立によって、のちの交響曲の歴史の出発点に立つ作曲家。歌劇、教会音楽、独唱曲のほか、器楽作品も残す。(『クラシック音楽作品名辞典』より)
 

Alessandro Scarlatti
LA FOLIA



 
   




☆ カンタータ『愛する胸に飛び込んで』☆
(Correa Nel Seno Amato)
01. Sinfonia And Balletto
02. Recitative: Correa Nel Seno Amato
03. Aria: Ombre Opache Che Il Chiarore
04. Recitative: Curilla, Anima Mia
05. Ritornello And Aria: Fresche Brine Che Pitose
06. Recitative: Piante Insensate E Fide
07. Aria: Idolo Amato, Tormento Del Core
08. Recitative: Ma Voi, Occhi Dolenti, Ditemi
09. Aria: Onde Belle, Che Pietose Questi Prati Rinfrescate
10. Recitative: Curilla, Anima Mia
11. Accompagnato: Volea Piu Dir Daliso

Lynne Dawson; Soprano
The Purcell Quartet
Catherine Mackintosh, Elizabeth Wallfisch ; Violin
Richard Boothby; Viola da Gamba / Harpsichord; Robert Woolley


☆『ラ・フォリア』による変奏曲 ☆
(Variations On 'La Folia')

Harpsichord; Robert Woolley

☆カンタータ 『すでに風に引かれて』☆
(Gia Lusingato Appieno)
13. Sinfonia
14. Recitative: Gia Lusingato Appieno
15. Aria: Cara Sposa, Io Non Niego
16. Recitative: Cada, Cada Su L'Empie Schiere Il Duol
17. Aria: Sento L'Aura Che Fedele
18. Recitative: Al Trono, Al Trono Si Noi Nella Prole
19. Aria: Se V'e Mai Chi Fissi Il Ciglio
20. Recitative: Disse, Disse E Bacio La Sposa

Lynne Dawson; Soprano
The Purcell Quartet
Catherine Mackintosh, Elizabeth Wallfisch ; Violin
Richard Boothby; Viola da Gamba / Harpsichord; Robert Woolley

 

『クラシック音楽作品名辞典』に名前こそ掲載されているものの、このアルバムに収録されているカンタータまでは紹介されていません。リン・ドーソンの歌声が好きで探し当てた一枚。カンタータを挟んで2曲目にはハープシコードのソロが入りますが、何とこの曲がアルバムタイトルになってます。

 このアレッサンドロ・スカルラッティは、息子のドメニコの名声にかき消された感があります(先の辞典でもその差は歴然)。 この一枚はアレッサンドロの作品だけが収録されています。しかも私好みの編成に近い作品集。伴奏楽器の数が少ないほど、メロディラインやハーモニーの構成が聞き取れるし、その織りなすハーモニーが声楽と絡んでいろいろと想像をかき立ててくれるので、ピアノ伴奏の声楽よりも星空のお供に良く持ち出しています。

 このアルバムで伴奏を務める楽団名はカルテットと名乗っていますが、バロック形式の編成なのでヴァイオリン二挺と通奏低音のガンバ、チェンバロ。パーセルという、まんまバロックの大作曲家の名前を冠にしているぐらいなので、バロックがメインのグループ。しかし、このアレッサンドロは辞典に交響曲の出発点になることが書かれていましたが、史上初の弦楽四重奏曲を作曲したことでも知られているので、いずれまた。
 そんな編成なので、ヴォーカルの澄んだ響きが聞き物となっていて、これまたお気に入りのリン・ドーソンのソプラノとのハーモニーが美しいのです(歌の内容まではわかりません…)。

 カンタータに挟まれるようにして収録されているのは、有名な『ラ・フォリア』の旋律を元にした変奏曲。ここではパーセル・カルテットのチェンバリストロ、バート・ウーリーがソロを聴かせます。似たようなカンタータの間に置いてくれることで、「あ、ここから曲がかわったのか」というお知らせ的な存在(笑)。

 



Alessandro Scarlatti
STABAT MATER



 
   




Giovanni Battista Pergoesi, 1710 - 1736
☆ スターバト・マテール☆
(Stabat Mater)

Alessandro Scarlatti, 1660 - 1725
☆ スターバト・マテール☆
(Stabat Mater)

Gemma Bertagnolli; Soprano / Sara Mingardo; Contralto

- Concerto Italiano -
Francesca Vicari, Mauro Lopes,Ferreira; Violin
Ettore Belli; Viola
Luigi Piovano; Cello
Luca Cola; Contrabbasso
Andrea Damiani; Arciliuto
Rinaldo Alessandrini; Organ


 私が所持しているアレッサンドロのもう一枚は宗教音楽。『スターバト・マテール』はカップリングされているペルゴレージで有名なテキストですが、 もともとは彼を求めて購入した一枚(このアルバムが発売された当時に、レコード賞を各種受賞していたことから話題になっていました。そんな宣伝文句につられて購入した記憶も…)。そこにアレッサンドロが収録されていました。それまではスカルラッティが親子で作曲家ということを知らず、同一人物だと思っていましたが、実は息子の影に押されてあまり日の目を見ない父親だということを知ったのは、随分後になってからのこと(笑)。

 スカルラッティのこの曲は、ペルゴレージと同じ編成(女声2のデュオ)だからか、同じ演目のアルバムがかなりの数存在しているようです。まぁ、それはともかく、個人的にはあいかわらず宗教曲というジャンルの垣根を取っ払い、美しい声楽曲、当時を偲びつつ時代を感じさせる音楽様式に触れながら眺める星空のBGMとして活躍しています。特に澄んだ歌声が星々の間から聞こえてくると想像するだけでも至福の時間(笑)。スカルラッティの方は、あまり有名でないだけに旋律を気にすることなくサラッと聞き流せるのがいいです。ペルゴレージの方はなんとなく深刻な感じがするのと、映画『アマデウス』のシーンが回想されてしまい…






Alessandro Scarlatti(1660-1725)

 
~1660年代生まれの作曲家~
Michele Mascitti(1663/4-1760)

Francois Couperin(1668-1733)
 
 この時代の音楽はバロック音楽の繁栄期。そして天文学の世界では望遠鏡の発達による観測が本格化し、ニュートンらの登場により、万物への力学的解釈が始まるようになってきます。

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