ウィンダム・ヒルの掲示板

WH-1060
ONE NIGHT IN VIENNA -1987-

Produced by Richard Schonherz, Peter Scott and Dawn Atkinson.
All compositions by Richard Schonherz, Peter Scott.
except where noted.

1987 Windham Hill Records.

01.Wishing Well
Richard Schonherz ; Piano, Synth / Peter Scott ; Guitar / Kenneth Nash ; Percussion

02.Windows Of The World
Richard Schonherz ; Piano, Synth / Peter Scott ; Guitar/ Paul McCandless ; Woodwind /
Rich Girad ; Fletress Bass / Kenneth Nash ; Percussion / Brian MacLeod ; Acoustic Drums

03.Carnival
Richard Schonherz ; Piano, Synth / Peter Scott ; Guitar
Rich Girad ; Fletress Bass/ Kenneth Nash ; Percussion / Brian MacLeod ; Acoustic Drums

04.Peace Of Mind
Richard Schonherz ; Piano, Synth, Voice / Peter Scott ; Guitar
Shido ; Fletress Bass / Kenneth Nash ; Percussion

05.One Night In Vienna
Richard Schonherz ; Piano, Synth / Peter Scott ; Guitar /
Shido ; Fletress Bass/ Kenneth Nash ; Percussion/ Paul McCandless ; Woodwind

06.Bayanagume
Richard Schonherz ; Piano, Synth / Peter Scott ; Guitar/
Kenneth Nash ; Percussion / Paul McCandless ; Woodwind

07.Cairo
Richard Schonherz ; Piano, Synth / Peter Scott ; Guitar /
Rich Girad ; Fletress Bass/ Kenneth Nash ; Percussion / Paul McCandless ; Woodwind

08.Sentimental Walk (Vladimir Cosma)
Richard Schonherz ; Piano, Synth / Peter Scott ; Guitar /
Kenneth Nash ; Percussion / Paul McCandless ; Woodwind



 1987年にリリースされたエレクトロニクスなアルバムで、1985年から始まったテーマ別のサンプラーに交じって、シンセサイザー(エレクトロニクスサウンド)のサンプル盤が企画されました。『麗』。アコースティック主体のレーベルだったので、最初は難色を示したクチでした。ただ、シンセサイザーと入っても、アコースティックとの共演というスタイルが目立ったので、やはりウィンダム・ヒルの持ち味を別の角度から当てた素晴らしい企画でした。当時、FMで聴いたウィルのインタビューの中に、こうしたエレクトロニクスに関しての言及があったので、遅かれ早かれ企画されたであろう一枚でした。

 オープニングのパーカッションの音色が、これまで触れてきた WHの、どのサウンドとも違うことが告げられ、じわじわと聴き手に迫りながら盛り上げられて行きます。一曲目のメロディラインを受け持っているのはスチールドラムとピアノ。ユニゾンで軽快なメロディを歌い、パーカッションが厚みを増して行く。当時、アッカーマンが「アコースティックに限らず、良い音楽」を求めて、辿った先に行き着いたひとつの答え、それが彼らに代表されるエレクトロニクスサウンドだったのです。
 いかにもウィンダム・ヒルといった雰囲気を持った「Peace of Mind」は、ショーンの声も聴くことができるクリスタルな透明感が美しく感じられる曲です。
 ショーン&スコットというユニット名にはなっていますが、サウンドのイニシアチヴを持っているのはショーンの方で、アルバム全体を見渡してみても、スコットのギターがあまり前面に出てくることがありません。アルバムタイトル曲では、中間部でギターソロが入りますが、ナイロンギターという音色がシンセサイザーの音と被さって、なかなか独立して聞こえることがありませんが、そうした狙いがあるのかもしれません。

 ウィンダム・ヒルの作り出す音楽が、「乾いたアメリカ」の大自然という視点に立ってみると、この2人の音楽は、まさにヨーロッパ的。官能美を備えた湿っぽさがあって、「Cairo」やオムニバスに引っ張りだこの「Sentimental Walk」などいやらしいぐらい。「Bayangume」のスチールドラムが、カリビアン的な雰囲気を誘っていますが、しっとりとした潤いは、やはりヨーロッパの日差しです。
 いつもは素朴な味わいの演奏ばかり耳にしていたから「Sentimental Walk」で関わるポール・マッキャンドレスのサックスソロには注意が必要です。時を刻むようなピアノコードが、はやる気持ちを抑えるかのような効果を持っています。ギターソロ、ピアノソロ、そしてマッキャンドレスのサックスと繋がる演奏はこのアルバムのハイライトといえるでしょう。


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