Photo by Toshiharu Minagawa.
|
||
|
初めてAlex de Grassiの演奏を聴いたのは、日本独自の選曲による『心の美術館(PEACE ; AN INVITATION TO WINHDAM HILL)』に入っている“Western”でした。他にハマッたアーティストと比べると、いささか手を出したのが遅く、同じギターでもアッカーマンの叙情性とも、ヘッジスのトリッキーな技巧とも違う独特の雰囲気が感じられたからです。それはアルバムジャケットの影響が左右したといっても良いかもしれません(私は良く“ジャケ買い”という衝動買いをするし、ウィンダム・ヒルはビジュアル面との結合的なところから入っていったから、特にジャケットにはこだわるようだ)。このアルバムのオリジナルは白地ではなく茶色が使われています。もっとも、白以外のジャケットは、以前このページでも紹介した『TIDELINE』の黒、『ELEMENTS』の青があるので、別に珍しいことではありません。ナイトノイズの『NIGHTNOISE』は灰色でした。面白いことに、それらのアルバムはいずれもデュオばかり。ソロアルバムとしては、これが初めてのことになります。そして写真も今までの風景とは違い人工物(といってもイス)が登場しました。それまで1stと2ndは日本ではまだ紹介されていなかったこと、3rdのジャケットも何か抽象画のようで、私が当時ウィンダム・ヒルに求めている「それ」とはズレているかもしれない、と思っていたことも、触手が伸びなかった理由の一つです。しかし『心の美術館』に収録されている曲や、同アルバムの“Purple Mountain”でのスコット・コッスとのデュオ、そして映像作品、『WINTER』で使われていた“Empty Room”が実に印象的で、ようやく手を出したのがこのアルバムということになります。 どちらかといえば、私の中で、アレックスは技巧派に属するのか、ヘッジスと比較する前、私はレーベルの叙情性であるミディアムからスローな曲(Western、Empty Room etc.)を選んで聴いていましたが、最近ではピアノの鍵盤を走り回るようなフィンガリングが独特なスピード感のある曲も彼らしくていいかな、と思うようになりました。 1stに比べると、歌謡性のある曲が増え、ソングライターとしての才能も開花したことと、プロデュースとエンジニアにスティーヴ・ミラーが関わっていることが大きく影響していると思います。レーベルの音を知り尽くしたスティーヴのプロデュースによって、アレックスのスケール感も増したのではないでしょうか。 CD化された現在、ジャケットは白地に変更されています。 〜Discography〜 Other Label; |
|||