ウィンダム・ヒルの掲示板

Photo by Toshiharu Minagawa.

WH-1029
SHADOWDANCE / Shadowfax
Produced by Chuck Greenberg.

Windham Hill Records, 1983


01. New Electric India (G.E.Stinson)
G.E. Stinson ; Guitars
Jared Stewart ; Piano, Keyboards

Phil Maggini ; Bass
Chuck Greenberg ; Woodwinds, Lyricon
Stuart Nevitt ; Drums, Percussions
Jamii Szmadzinski ; Violin

02. Watercourse Way (Chuck Greenberg/G.E.Stinson)
G.E. Stinson ; Guitars
Jared Stewart ; Piano, Keyboards
Phil Maggini ; Bass
Chuck Greenberg ; Woodwinds, Lyricon
Stuart Nevitt ; Drums, Percussions
Jamii Szmadzinski ; Violin


03. Ghost Bird (G.E.Stinson)
G.E. Stinson ; Guitars
Jared Stewart ; Piano, Keyboards
Phil Maggini ; Bass
Chuck Greenberg ; Woodwinds, Lyricon
Stuart Nevitt ; Drums, Percussions
Jamii Szmadzinski ; Violin


04. Shadowdance (Chuck Greenberg)
G.E. Stinson ; Guitars
Jared Stewart ; Piano, Keyboards
Phil Maggini ; Bass
Chuck Greenberg ; Woodwinds, Lyricon
Stuart Nevitt ; Drums, Percussions
Jamii Szmadzinski ; Violin


05. Brown Rice / Karmapa Chenno (Don Cherry)
G.E. Stinson ; Guitars
Jared Stewart ; Piano, Keyboards
Phil Maggini ; Bass
Chuck Greenberg ; Woodwinds, Lyricon
Stuart Nevitt ; Drums, Percussions
Jamii Szmadzinski ; Violin


06. Distant Voices (Chuck Greenberg /G.E.Stinson)
G.E. Stinson ; Guitars
Jared Stewart ; Piano, Keyboards
Phil Maggini ; Bass
Chuck Greenberg ; Woodwinds, Lyricon
Stuart Nevitt ; Drums, Percussions
Jamii Szmadzinski ; Violin


07. A Song For My Brother (G.E.Stinson)

G.E. Stinson ; Guitars
Jared Stewart ; Piano, Keyboards
Phil Maggini ; Bass
Chuck Greenberg ; Woodwinds, Lyricon
Stuart Nevitt ; Drums, Percussions
Jamii Szmadzinski ; Violin


 シャドウファクスは歴史の古いバンドで、1972年に活動を開始し、1976年アルバム『WATERCOURES WAY』でデビューしました。グループ名の由来は『ロード・オブ・ザ・リング』で、魔術師ガンダルフの愛馬から。

 さて、今回紹介するアルバムは、彼ら自身にとってサードアルバムであり、1982年にウィンダム・ヒルと契約してからの2ndアルバムです。日本でのデビューアルバムがこの【SHADOWDANCE】でした。ソロ・アーティストが多いウィンダム・ヒルですが、シャドウファクスはキッド・アフリカに次ぐグループとなります。この頃のウィンダム・ヒルは過去に遡って“良い音楽”を発掘するシリーズLost Lake Arkを立ち上げ、その中にシャドウファクスの1stアルバムが含まれ、ジャケットが変更(シリーズで統一された体裁)されてリリースされています。

 私自身、シャドウファクスといえばリリコンのチャック・グリーンバーグ(1955-1995)のバンド、というイメージを持っていましたが(実際はギタリストのG.E. Stinsonを中心に結成された)、チャックの奏でるリリコンの音を初めて聞いたときは「一体どんな楽器なのだ?」と、非常に興味を覚えたのを、今でも思い出します。最初にシャドウファクスの音を聴いたのは、日本独自の編集アルバム【心の美術館】の中にある“Shadowdance”で、今回紹介するアルバムのにも収録されています。また、【ウィンターコレクション】の中の“Petite Aubade”のバロック的なアプローチには正直感激しました。そしてアッカーマンの【PAST LIGHT】に収録されている、レーベルを代表する曲といっても過言ではない“Visiting”は、バンド以上にチャックの存在をアピールした曲です。続く【THE SHARP OF THE LAND】や【CONFERRING WITH THE MOON】でのアッカーマンとの共演は、チャックにソロ活動のおもしろさをもたらしたのか、日本へもソロで来日し、ウィンダム・ヒルとのコラボレーションを楽しんでいたようです。このアルバムにはソロ楽器がいくつもあって、ギター、リリコン、ヴァイオリンが様々に絡み合い、エキゾチックなハーモニーを作り出しています。

01. New Electric India
 オープニングは、いかにもバンドなら演るダンサブルな曲。

02. Watercourse Way
 1stアルバムに収められた曲のリ・レコーディングで、“Petite Aubade”のような、いかにもウィンダム・ヒルらしいリリカルな曲。ファズを掛けたようなリリコンの音にアコースティック・ギターの絡みが素敵な曲。

03. Ghost Bird
 トーンを低くした笛に合わせ、ベースがメロディラインをユニゾンで奏で落ち着いた雰囲気を出しています。私は映画『ブレードランナー』の中に出てくる雨の中の街中を連想してしまいます。

04. Shadowdance
 日本独自のベスト盤【心の美術館】にもセレクトされていたので、唯一耳にしていた曲。これもやはりエキゾチック。一度聴いたら忘れられないメロディですね。シャドウファクスにはアルバムに1曲は、必ず耳に残るメロディを残してくれますが、このアルバムでは、間違いなくこの曲でしょう。

05. Brown Rice / Karmapa Chenno (Don Cherry)
 「チクタクチクタク・・・」というスティンソンの、リズムに合わせた、歌と言うよりも語るようなヴォイスがフューチャーされた曲。それと絡むようにサックスが絡み、バンド全体へと展開してゆきます。エンディングのドラミングは快速電車のようなリズム。

06. Distant Voices (Chuck Greenberg /G.E.Stinson)
 リリコンとヴァイオリンのデュオに、アコースティック・ギター。高音のリリコンも良いのですが、しっとりと歌わせるこの曲の音域も素敵です。バリトンあたりでしょうか?前後の曲に挟まれたおかげで、この曲の存在が非常にきいています。

07. A Song For My Brother
 エンディングでエレキのソロが延々とフューチャーされ、聞き慣れたロック調へと発展、アルバムは終わります。

 まぁ、ちょっと残念なのは、他のウィンダム・ヒルのアルバムと比べると、(リリコンの割には)抜けのない音に聞こえることでしょうか。そしてバンドとしては平べったい音に聞こえます。アコースティックな音録りに定評が高いレーベルですが、ここまでエレクトリックなサウンドはリリースしていません。もっとグリーンバーグやスティンソンのソロをフューチャーしても良かったんじゃないだろうかと思います。そうだったら、私のこのバンドの印象も変わった(あくまでも私の中では)かもしれません。

 日本デビューとなるこの作品での私の第一印象は、エレクトリック・バンドであること。ジャケットが風景ものではなく、幻想的なアートであること。そしてサンプルとして“Shadowdance”の一風変わった(あくまでもウィンダム・ヒルのサウンドとは異なるという点)ユニークなサウンドを耳にし、自分の求めているフィーリングとは違うなということで、なかなか手に取ることはありませんでした。その後、【ウィンター・コレクション】や、アッカーマンとの共演へ。リリコンという楽器に興味を持ち、ようやくシャドウファクスに手が届いたというわけです。

WATERCOURE WAY (1976; re-released 1985)
Shadowfax (1982)
SHADOWDANCE (1983)
THE DREAMS OF CHILDREN (1984)
TOO FAR TO WHISPER(1986)

FOLKSONGS FOR A NUCLEAR VILLAGE (1988)
The Odd Get Even (1990)
Esperanto (1992)
Magic Theater (1994)
Live (1995)