Photo by Toshiharu Minagawa. |
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01. The Wall And The Wind |
私がもっともウィンダム・ヒルらしいと思うアルバム。それが今回紹介するアッカーマンの『CHILDHOOD AND MEMORY』です。一番好きなアルバムとか、彼の最高傑作、といった基準ではなく、レーベルの音楽性からパッケージに至るまで、このアルバムが、最もレーベルを代表するアルバムではないかと思っています。 アッカーマンの3rdアルバムは、1曲を除く全てがギターソロでレコーディングされていますが、1st、2ndとは違って、ギターの響きにこだわった録音のため、それまでのレーベルの作品集とも異なり、今日聴くことのできるウィンダム・ヒルらしい音がつまっています。 この時期のアッカーマンは多忙で、 アレックス・デグラッシの『SLOW CIRCLE(1009)』、 ロビー・バショウの『 ART OF THE ACOUSTIC STEEL STRING GUITAR 6 &12(WH1010) 』、 ビル・クイストの『PIANO SOLOS OF ERIC SATIE(WH1008) 』などの制作の傍ら、自らのレコーディング、そしてウィンダム・ヒルの名が一躍世界に知れ渡るきっかけとなるジョージ・ウィンストンとの出会いがありました。 特にこのアルバムが好きな理由として、ジャケットの入道雲。自分の幼年期の思い出を呼び起こしてくれるような一枚。そしてアルバムコンセプトが幼少の頃の思い出。アルバムに収録された1曲1曲が、心のタペストリーとなって、目をつぶるとはっきりと見えてくるようです。 前作までは、カントリー的な乾いたギターによるシンプルなスタイルから、今回はバンジョーに持ち替えてみたり、妻のアンを想う切ない気持ちを、フルートのデイヴ・ロスに歌わせてみたり。今までにない表現がウィルの、そして聴き手の幼心の心象を描きだします。今回はセルフ・プロデュースという自由さがプラスに作用して、音の響かせ方、演奏など、のちのアッカーマンのスタイルが、このアルバムで確立したような感があります。ギターという楽器の持つ温もりが、ここまで染み渡るのは、誰もが心の中にしまってある子供の頃の思い出の琴線と共鳴したからに他なりません。 アルバム全体に漂う、まるで印象主義の作品を聴いてでもいるかのような響き。特に“雨の日曜日”は、私が雨男であり雨好きということもあり、子供の頃に体験した光景が目の前に広がります。窓を伝う雫越しに見える雨情を眺めながら、 「森の動物たちはどうしているんだろう?」 「友達は何をしているだろう?」 と、ちょっぴりセンチメンタルにも浸れる雰囲気を持っています。 |
〜Discography(Amazon へリンクします)、♪(レビュー)〜 IN SEARCH OF THE TURTLE'S NAVEL (1976) IT TAKES A YEAR(1977)♪ CHILDHOOD AND MEMORY (1979) PASSAGE (1981)♪ PAST LIGHT(1983)♪ CONFERRING WITH THE MOON(1986)♪ IMAGINARY ROADS (1988)♪ THE OPENING OF DOORS(1992)♪ WILL ACKERMAN / A WINDHAM HILL RETROSPECTIVE(1993) SOUND OF WIND DRIVEN RAIN (1998)♪ HEARING VOICES(2001)♪ RETURNING(2004/Mary's Tree)♪ PURE(2006) MEDITATIONS(2008)♪ NEW ENGLAND ROADS(2010) ♪ FLOW(2017)♪ WAS IT THIS LIFETIME -Pieces for Guitar 1995-2011(2019) ♪ FOUR GUITARS(2019)♪ PROMISE / FLOW(2019)♪ BROTHERS(2021)♪ POSITANO SONG(2022) |