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今回このコーナーで取り上げるのは、(もしかしたら日本で始めて取り上げる?)レーベル初期にリリースされつつも、直後に自身のレーベルを立ち上げて、そちらに移籍してしまったため、ウィンダム・ヒルのカタログからすぐに外れてしまったアルバムです。
ウィンダム・ヒルといえば、風景画をジャケットにしたものが多く、「風景が音になる。音が風景になる」という印象が強いのですが、ファーストアルバムとなるウィルのアルバムも、このリンダのアルバムも共に本人のポートレイトというのも、今にして思えば面白い関係があるかもしれません。ウィルのアルバムは今もってレーベルの歴史の中でも取り上げられる一枚なので、目にする機会も多く、なんの違和感もありませんが、2枚並べて飾ってみると、「これがウィンダム・ヒル」とは、なかなか想像しづらいかもしれません。 ♪ ♪ ♪ リンダ・ウォーターフォール(Linda Waterfall, 1949-2019)。 ウィンダム・ヒルの2作目にカウントされるフォークシンガーのリンダ・ウォーターフォール。地道にコンサートを続け、アルバムもコンスタントにリリース、活動を続けていました(通算13作品)。ウィンダム・ヒルからは、このアルバム一枚のみ、そして以降、特にレーベルとは関わりを持っていません。ウィリアム・アッカーマンとはスタンフォード大学からの旧友で、彼がリンダを引っ張ってきました。 手元にあるアルバムには、これといったインフォメーションもなく、ウィルとは大学時代からの友人といったぐらいの情報しかありませんが、「いい音楽を作る」ことがレーベルのポリシーだった頃の作品です。へんな表現をしますが、駄作でもなければ傑作でもない、部屋の中にある空気のように、自然に歌が歌われ、ギターが奏でられるのを聴くことができます。そうです、ウィンダム・ヒルは2作目にして、すでにフォークシンガーのアルバムを作っていたのです(ペダル・スティールなど多用しているのでカントリー寄り)。 後にヘッジスやヒグビーたちはオープン・エアーというウィンダム・ヒル参加の別レーベルからヴォーカルアルバムをリリースしていますが、初期のレーベルにはジャンルや音楽性を無視して、「いい音楽」をウィンダム・ヒルから発信していたのでした。 リンダのソロ名義になってはいますが、その雰囲気からは気の合う仲間と制作したような感じで(かといって、アッカーマンも参加しているわけではない)、1993年のパティ・ラーキンのような楽しさあふれるアルバムに仕上がっています。 〜Discography〜 最後に、アルバムにクレジットされたウィルとリンダの間柄を示すメッセージを。 I would also like to thank William Ackerman of Windham Hill Records for his friendship and enthusiasm. |
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