Photo by Toshiharu Minagawa. |
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01.Arioso (BWV156) / Paul McCandless |
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『ウィンター・コレクション』には必ず一曲はバッハの曲が収録され、その神聖な楽曲郡の雰囲気から、バッハのそれ自体がキリストと置き換えられてしまったかのように、レーベルアーティストたちは好んでバッハを演奏しています。そしてついにまるまる一枚分のバッハアルバムが制作されました。遅かれ早かれ制作されるだろうとは思っていましたが、これでウィンダム・ヒルが、クラシックの作曲家を取り上げて、一枚のアルバムを制作したのは2人目。1人目は、アッカーマンが多大な影響を受けたエリック・サティ。そして3人目はモーツァルトです(モーツァルトはImaginary Roadsからも一枚)。 それはさておき、バッハを“音楽の父”と学校の音楽の授業で習った頃は、クラシック自体聞かなかったこともあり、その後も退屈な作曲家に属していました(当時はストラヴィンスキーやドビュッシーを聴き始めた頃で…)。 それがウィンダム・ヒルの多くのアーティストがバッハを取り上げ、それらを聴くにつれ、バッハの良さを理解(でもまだほんの少し)できるようになったと思います。今までは食わず嫌いだったようで、ウィンダム・ヒルで紹介されるバッハの楽曲が、アーティストの独特のアレンジによって、親しみやすく(バッハ・ファンには申し訳ないです)なりました。その経験が、オリジナルの楽曲に耳を傾けさせるきっかけとなったというわけです。 今では私の中でも「まずはバッハありき」みたいなことになってしまったほどで、バッハは本当に奥が深いと思うようになりました。そのきっかけがウィンダム・ヒルの『ウィンター・コレクション』だったというのは、なんとも嬉しく思います。 さて、曲の方は知られた曲ばかりで、それをどうアレンジしているかが楽しみであり、聴きどころとなるでしょう。特にお気に入りは、2曲目のハープとマウス・ハープ、つまりハーモニカによる“アヴェ・マリア”。そしてオリジナルがケルト舞曲じゃないかと思わせるナイトノイズのリュート組曲の“ブーレ”は見事にアレンジされています。そしてさりげなく弾いているようでいて、高度な技巧で奏でているアレックス・デ・グラッシの“プレリュード”。この曲はマイケル・ヘッジスが『ウィンターII』の中でハープギターを使って演奏していた楽曲と同一曲。ここではデ・グラッシが6弦の普通のアコギでなんなく弾きこなしています。聴き比べてみるのも一興です。当然、他のアーティストたちのアレンジも聞き物であることは言うまでもないでしょう。 |
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