てっきり曲間に語りがあるのかと思っていたら、演奏に被ってきます。オケとナレーションの音のバランスに注文はありますが(土星のクレッシェンドなどで特に)、こういう企画が好きな人や、ラジオドラマとかが好きな人には特に気にならないかもしれません。
これを聴いていて「あれー?」と思ったのが、「ギリシア神話」と言っておきながら、登場する神々の名前はすべてローマ神話名。もっとも曲の原題が英語(つまりはローマ神話名)だから、登場する神々がローマ神話名で登場するのは当然のことかもしれません。とはいうものの、土星はギリシア神話名で登場します。だったら「ギリシア・ローマ神話」とした方が良かったのに、と思いましたが、ターゲットが幼い子供を想定しているのなら、あまり細かいことを気にするものじゃありません(笑)。とはいいつつも、だったたら土星もそのままサターンで言ってくれればとぼやいてもみたくなります。
さて、このアルバムが土星で終わっているのには訳があります(と思います)。ギリシア・ローマ神話の時代には、惑星は土星が最遠の惑星でした(天王星の発見は1781年、海王星の発見は1846年、そして冥王星は1930年で、ホルストが組曲の完成を成し遂げた後の発見です)。だからこの物語も土星で終わらせているのでしょう。ちょっと感心させられました。クラシックファンには物足りないかもしれません(演奏もかなりの力演だし)が、神話の好きな方(私)、星の好きな方(私)にはこうしてくれて良かったと思います。演奏は、英国的な香りを漂わせ、なかなかの好演です。こうなるとフル演奏を聴いてみたくなります。
現代作者が、ギリシア神話のその後のエピソードを、独自の視点から描いた物語。あってもなかなか存在しない、ギリシア・ローマ神話の朗読もの。それはそれで貴重な一枚といえるかもしれません。
お店などで見かけることのない企画ものですが、検索を掛けるとあちこちの図書館で借りることが出来るようです。ちなみに私は地元の佐倉市の図書館で発見、借りました。皆さんも地元の図書館を検索してみましょう!
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