星と天界の音楽と(星のソムリエのブログ)

 ここでは、グスタフ・ホルスト(1874-1934)以外の作曲家/演奏家が作曲した「惑星」というテーマのアルバムを紹介します。



 Poul Rovsing Olsen(1922-1982)
01. A Dream in Violet, Op.85
02. The Planets, Op.80 - I Aether
03. The Planets, Op.80 - II Saturnus
04. The Planets, Op.80 - III Jupiter
05. The Planets, Op.80 - IV Mars
06. The Planets, Op.80 - V Sol
07. The Planets, Op.80 - VI Venus
08. The Planets, Op.80 - VII Mercurius
09. The Planets, Op.80 - VIII Luna
10. Rencontres, Op. 67
11. Pour une viole d'amour, Op.66
12. Alapa-Tarana, Op.41
 ポール・ロウシング・オルセン(コペンハーゲン)。東洋的な楽想が漂うと思って調べて見ると、民族音楽の研究家という顔も持ち合わせているようで納得。このアルバムに収められている曲は、どの曲も西洋音楽とは思えないネチョ〜っとした感触があり、どことなくギリシア神話にも合いそうな雰囲気があります。作品80の「惑星」は1978年に作曲された声楽(メゾソプラノ)、フルートとヴィオラ、ギターのための作品集で、楽器編成を見るとドビュッシーを意識したような感じです。メーカーの説明によれば「細密な色彩が施された中世の木版本からインスパイア」されて作曲されたとのことですが、声楽の歌詞は誰のものか不明(恐らく写本から?)。

 この組曲は「エーテル」から始まり土星、木星、火星、太陽、金星、水星、月という順番は、確かに中世のルネッサンス以前まで考えられていた地球中心説に近い天体のならび順です。




 Bent Lorentzen(1935-2018)
01. Sol - The Sun(1982/1996)
02. Luna - The Moon(1985)
03. Mars(1985)
04. Mercurius - Mercury(1995)
05. Jupiter(1995)
06. Venus(1996)
07. Saturnus - Saturn(1996)
 ベント・ロレンツェンは、デンマークの作曲家。オルガン独奏によるこの組曲は、もともと第1曲目のSolが1982年に作曲され(のちに1996に再構成)、のちに楽曲たちをまとめたもの。現代作曲家よろしく不協和音が多用されていて、ロマンチックな雰囲気をもとめると打ちのめされます(笑)。ただし、ホルストは惑星の楽想を占星術やギリシア・ローマ神話の神々の性格に求めましたが、ロレンツェンは、ピタゴラスから始まる天球の音楽を主題とする7つの惑星たち。すなわち太陽と月を含めた5つの天体を選びんでいます。




Almeida Prado(1943 - 2010)
CARTAS CELESTES NO.1:
 Night - Vesper - Venus
CARTAS CELESTES NO.2 :
 Planet Mercury, the closest planet to the Sun
 Uranus, the green-blue planet and its 4 satellites
CARTAS CELESTES NO.3 :
 Mars
CARTAS CELESTES NO.4 :
 Neputune
 Pluto, the furthest planet from the Sun
CARTAS CELESTES NO.5 :
 Jupiter, the gigantic planet
 Saturn, the planet of the rings
 ブラジルの作曲家アルメイダ・プラドの作曲したピアノソロによる作品集『カルタス・セルテス(天体の図象)』は、CDでも4枚分、さらにアンサンブルでも作曲されている作品があり、全曲揃えるとなるともう一枚という大作で、その中には、数多くの星座、銀河などの天体の他、太陽系の惑星を含んでいます。上記の曲目に敢えて番号を振らなかったのは、すべてバラバラのCDに含まれているためです。詳細はコチラのレビューをごらん下さい。この曲以外にも太陽、月、地球、彗星が登場します。




Guido Facchin(1946-)
01. Kronos(Saturno)
02. Zeus(Giove)
03. Ares(Marle)
04. Afrodite(Venere)
05. Hermes(Mercurio)
06. Ouranos(Urano)
07. Poseidon(Nettuno)
08. Plouton(Ade)
09. Gea(Gaia)
 土星〜木星〜火星〜金星〜水星〜天王星〜海王星〜冥王星〜地球をめぐる音の旅(約48分)。奏でている楽器はパーカッションとハープのデュオですが、時おりサウンドマシーンの音やホイッスル(うつらうつらしていたら目が覚めた)、様々な打楽器の音が聞こえて来ます。宇宙(惑星)という一般的なイメージではなく、「その惑星に降り立った」時のイメージでしょうか? なんか映画『猿の惑星』のサウンドトラックのような感じです。作曲は2017/2018。




 James Whitbourn(1963-)
01. The Moon
02. Mars
03. Mercury
04. Jupiter
05. Venus
06. Saturn
07. Sun
 ホルストと同じ英国出身の作曲家、ジェームズ・ウェットボーンが作曲した「7つの天国」と題された組曲は、曲目を見れば望遠鏡が発見される以前の、まだ太陽中心説だった頃の7つの天球がモチーフになっています。目の付け所が、ホルストよりも前を見てます。
  曲順はカレンダー通り(笑)。曲の雰囲気は、恐らく誰もが比較するであろうホルストの組曲を意識しているようで、そこから抜け出すのは難しいのかもしれません(作曲家も聴き手も)。ただし、その書法はユニークで、メインは合唱で、伴奏楽器が器楽ソロというもの(ヴァイオリン、チェロ、フルート、クラリネット、ファゴット、フレンチホルン、ピアノ)。
  私が最初に「どんなかなぁ?」とチョイスしたのは金星で、これはえも言われぬぐらいの、ホルストのそれを凌駕しているのではないかと思えるほどの、ギリシア神話のヴィーナス(アフロディテ)を描いた画家たちのイメージが浮かんでくるようです。私にとっては夕暮れの宵の明星か、東雲の明けの明星を眺めているときの心境。アルバムジャケットも、想像をかき立ててくれる獣帯をあしらったもの。
レビュー

 

 

Jeff Mills
01. Introduction
02. Mercury
03. Loop Transit 1
04. Venus
05. Loop Transit 2
06. Earth
07. Loop Transit 3
08. Mars
09. Loop Transit 4
10. Jupiter
11. Loop Transit 5
12. Saturn
13. Loop Transit 6
14. Uranus
15. Loop Transit 7
16. Neptune
17. Loop Transit 8
18.Pluto
「ホルストの『惑星』から100年、新たな宇宙との遭遇!」というコピーが書かれたボックスに収まったアルバム。この作品の完成を記念して来日公演も行われました。この曲の情報を得たちょうど良いタイミングにコンサートの情報も入り、さっそく足を運んできました(2017/02/22)。演目にはホルストの惑星もカップリングされ(エレクトロニクスと弦楽四重奏というアレンジで)

 

アトラス
01. ハレー彗星〜プロローグ(今泉敏郎)
02. ハレー彗星のテーマ(難波弘之)
03. 冥王星(川村栄二)
04. 火星(難波弘之)
05. 木星(今泉敏郎)
06. 天王星(川村栄二)
07. 海王星(難波弘之)
08. 金星(今泉敏郎)
09. 水星(難波弘之)
10. 土星〜エピローグ(川村栄二)
 ハレー彗星が回帰した年にリリースされたアルバムで、私はタワーレコードの再発で存在を知りました。アルバムタイトルこそ『ハレー彗星』となっていますが、曲目を見れば『惑星』そのもの… しかしその音楽はプログレッシブ・ロックのような激しさと静寂さが同居しています。ゴリゴリとしたベースはクリス・スクワイヤか!?ぐらいの弾けっぷり!結構これだけでも心地よくなってしまいます(笑)そして驚いたのが解説書。なんとアマチュア天文家の藤井旭さん(肩書きは日本天文学会となっています)と、五島プラネタリウムの小林悦子さんが書いているではありませんか!
 さて、肝心のサウンドの方はと言えば、実際に星空を眺めながら見るには少々やかましすぎるキライはありますが、ハレー彗星やら、惑星やらの映像を思い浮かべながら宇宙空間に漂ってみるにはバッチリのサウンド・デザインかと思います。このアトラスというグループは、 全編をシンセ、キーボード類が宇宙空間を浮遊する彗星のごとくサウンドを奏で、天体の運動とか、そうした物理的(動的)な雰囲気をベースを中心としたリズムセクションのアグレッシブな対比が飽きさせません。

難波弘之:キーボード
今泉敏郎:キーボード
鈴木徹:ドラムス
小室和幸:ベース
河野謙一:ベース
瀬川詠一:ギター
 

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