tupichan's billboard hot 100

 鬼才リック・ルービンは、自らのレーベルを立ち上げた際に力を入れていたハードコアや、ラップなど以外のアーティストを手がける場合、特にジョニー・キャッシュのような伝説的な人物を選んでいるのかもしれません。ミック・ジャガーやドノヴァン、そしてここに登場したニール・ダイアモンド。ジョニーにしても、リック・ルービンが手がけなければ、きっと聞くこともなかっただろうミュージシャン。そして、そのすべてのアルバムが名盤。
12 Songs

Produced by Rick Rubin.



 ニール・ダイヤモンドとリック・ルービン。非ハードコア系を相手にするといっても、ちょっとニールをプロデュースするのはやりすぎ(どんなだ?)じゃないかなぁ、と、漠然と思っていたのですが、これは全く失礼な思い込みで、なんともカッコイイアルバムじゃないの!

 ま、リックが制作したから手を出したものの、それ以外のプロデューサーだったら聴くことのなかったアルバムになっていたでしょう。

 もともと、私のニールのイメージなんて、セレブなおばちゃま相手の大エンターテイメント歌手(全米のコンサート興行ランキングはストーンズやニルヴァーナといったアーティストをも上回ることもしばしば、これは日本では想像も出来ない現象←って、考えちゃうのがいかんのでしょうなぁ)といったイメージしかなく、あの風貌(ヘアースタイルやモミアゲ)を見て遠慮したりしていました。エルヴィスに良く似た歌手、ぐらいにしか思っていませんでした。

 が、よくよく思い返してみれば、ザ・バンドの『ラストワルツ』に出演しているし、ソングライターとしてもかなりのヒット曲の作者でもあります。特に私はビルボードのヒットチャートを趣味にしていますが、ニール自身のNo1ソングを含め、計4曲も頂点に到達するヒット曲を書いているメロディメーカーなのです。

 アルバムに話を戻すと、リック制作ということで、バックのメンツはハートブレイカーズ。全体に漂うのはアコースティックギターであり、本人のリズムギターにマイクキャンベルのギターや、ベンモント・テンチのキーボード(ピアノ、オルガン)がそっとバッキングを勤めています。(ここにトム・ペティが絡んでれば言うこと無しなんだけどナー)  また、このアルバムにはラスト・レコーディングになってしまったビリー・プレストンのハモンドオルガンやキーボードプレイを聴くことができます。“Man Of God”の入り方なんて、完全にツボを得たプレイに身震いが出るほどです。

 さて、このアルバムで一番のお薦め(私が好きな曲)は、“Delirious Love”。ギターのストロークだけでグイグイとリスナーを引っ張ってくれますが、絶対お薦めなのは、通常盤ではなくタイトルを無視したボーナストラックが収録されている盤です。2曲追加されているので、実質『14 SONGS』とするべきなんでしょうが、タイトルはそのままで、曲目のクレジットがありません。しかし、“Men Are So Easy”と“Delirious Love”が追加されていて、そのうち“Delirious Love”には、ビーチ・ボーイズのブライアン・ウィルソンがコーラスで参加しています。しかも、そのコーラスと言えば、洋楽ファンが誰でも期待するビーチ・ボーイズ風にアレンジされたコーラス。このサービスアレンジや、ブライアンを参加させたのは誰のアイデアなんでしょうか?

 なお、こちらのCDは現在廃盤になってしまっているようです。お求めの方は下記のデラックス版のみで入手可能となっています。







Produced by Rick Rubin.


Disk 2のみ曲目を記載します。
(Disk 1は白盤と同一)

12 SONGS -2006-

01. Oh Mary (demo)
02. Hell Yeah (early take)
03. Captain Of A Shipwreck (alternate take)
04. Evermore (early take)
05. Save Me A Saturday Night (alternate take)
06. Delirious Love (early take)
07. I'm On To You (demo)
08. What's It Gonna Be (alternate take)
09. Man Of God (early take)
10. Create Me (alternate take)
11. Face Me (demo)
12. We (early take)

[Bonus Track]
13. Men Are So Easy (alternate mix)



 通常盤がリリースされた翌年、ボーナストラックが追加された『12SONGS』に、デモトラックや別ヴァージョンをDisk2として13曲も追加して2枚組でリリースされました。ジャケットはあいかわらず安っぽく、色を変えて「違い」をうたっていますが、こちらはデジパック仕様。通常盤にはプラケースとデジパックと2種ありました。  もともとがアコースティック主体のアルバムだけに、ほとんどデモトラックの状態で完成された形になっています。どちらにせよ、こんなにも素晴らしいアルバムが日本盤として扱われていないのは、どうなんでしょう。






HOME BEFORE DARK -2008-

Produced by Rick Rubin.



01. If I Don't See You Again
02. Pretty Amazing Grace
03. Don't Go There
04. Another Day (That Time Forgot)
05. One More Bite Of The Apple
06. Forgotten
07. Act Like A Man
08. Whose Hands Are These
09. No Words
10. The Power Of Two
11. Slow It Down
12. Home Before Dark
[Bonus Track]
13. Without Her (Harry Nilson)
14. Make You Feel My Love (Bob Dylan)


 結局はこの作品でリックとのコラボは終わってしまいましたが、なかなか聴く機会を得られなかったアーティストに耳を傾けてくれるきっかけを作ってくれました。今作は、前作の延長といった感じ(トムを除くハートブレイカーズの面々が参加)があり、ジョニーのような企画で進むのかと思っていただけに、ちょっと残念か…

 ニールのアルバムでは唯一のナンバー・ワン・アルバムでした。


Neil Diamond(Billboard chart history)

Neil Diamond(Grammy Award)

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