ニール・ダイヤモンドとリック・ルービン。非ハードコア系を相手にするといっても、ちょっとニールをプロデュースするのはやりすぎ(どんなだ?)じゃないかなぁ、と、漠然と思っていたのですが、これは全く失礼な思い込みで、なんともカッコイイアルバムじゃないの!
ま、リックが制作したから手を出したものの、それ以外のプロデューサーだったら聴くことのなかったアルバムになっていたでしょう。
もともと、私のニールのイメージなんて、セレブなおばちゃま相手の大エンターテイメント歌手(全米のコンサート興行ランキングはストーンズやニルヴァーナといったアーティストをも上回ることもしばしば、これは日本では想像も出来ない現象←って、考えちゃうのがいかんのでしょうなぁ)といったイメージしかなく、あの風貌(ヘアースタイルやモミアゲ)を見て遠慮したりしていました。エルヴィスに良く似た歌手、ぐらいにしか思っていませんでした。
が、よくよく思い返してみれば、ザ・バンドの『ラストワルツ』に出演しているし、ソングライターとしてもかなりのヒット曲の作者でもあります。特に私はビルボードのヒットチャートを趣味にしていますが、ニール自身のNo1ソングを含め、計4曲も頂点に到達するヒット曲を書いているメロディメーカーなのです。
アルバムに話を戻すと、リック制作ということで、バックのメンツはハートブレイカーズ。全体に漂うのはアコースティックギターであり、本人のリズムギターにマイクキャンベルのギターや、ベンモント・テンチのキーボード(ピアノ、オルガン)がそっとバッキングを勤めています。(ここにトム・ペティが絡んでれば言うこと無しなんだけどナー)
また、このアルバムにはラスト・レコーディングになってしまったビリー・プレストンのハモンドオルガンやキーボードプレイを聴くことができます。“Man Of God”の入り方なんて、完全にツボを得たプレイに身震いが出るほどです。
さて、このアルバムで一番のお薦め(私が好きな曲)は、“Delirious Love”。ギターのストロークだけでグイグイとリスナーを引っ張ってくれますが、絶対お薦めなのは、通常盤ではなくタイトルを無視したボーナストラックが収録されている盤です。2曲追加されているので、実質『14 SONGS』とするべきなんでしょうが、タイトルはそのままで、曲目のクレジットがありません。しかし、“Men Are So Easy”と“Delirious Love”が追加されていて、そのうち“Delirious Love”には、ビーチ・ボーイズのブライアン・ウィルソンがコーラスで参加しています。しかも、そのコーラスと言えば、洋楽ファンが誰でも期待するビーチ・ボーイズ風にアレンジされたコーラス。このサービスアレンジや、ブライアンを参加させたのは誰のアイデアなんでしょうか?
なお、こちらのCDは現在廃盤になってしまっているようです。お求めの方は下記のデラックス版のみで入手可能となっています。
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