星と天界の音楽と(星のソムリエのブログ)

エサ・ペッカ・サロネン/フィルハーモニー管弦楽団(2012)

 
 実はクラシックで映像作品を購入したのは今回が初めてなのです。なので、驚きの連続でした(笑)。このディスクに収録されている音声は以下の通り。
LPCM STEREO(ノーマルな2chステレオ)
DTS MASTER HD
DOLBY DIGITAL 5.1

「惑星」の映像作品としては、ユージン・オーマンディの演奏以来(図書館にて)。そのディスクは通常のステレオで、オーソドックスな演奏シーンのみでしたが、今回は上記したように3種類の音声が選べるほか、様々なヴィジュアルで楽しむことができます。

 LPCM STEREOではノーマルなステレオ・オーディオといった音場。HDでは全体を取り囲むといったサウンド。そしてDOLBY DIGITAL5.1では、各セクションがスピーカーごとに振り分けられているので、遊び心あって聴くには5.1がいいかもしれません。
 演奏自体は、世界で一番多く実演しているという自負もあって、オーソドックスでスケールの大きな演奏だと思います。サロネンも作曲家だから、ホルストのオーケストレーションの奇抜さなんかよくわかっているんじゃないでしょうか。結構淡々とした感じで終えたような感じもしますが…
 ちょっと残念なのは、海王星が終わる前に、コリン・マシューズの冥王星ならぬジョディ・タルボットの「'Worlds, Stars, Systems, Infinity'」が演奏されたこと(うーん、まさに映画音楽(ロード・オブ・ザ・リング」とか…)。英国には、まだ悪しき習慣というのが残っているんでしょうかね。
 ビデオ作品よろしく、映画作品のようにオーディオ・コメンタリーなるものが収録されていて、サロネンと監督をはじめ、ソロ奏者などのおしゃべりも収録されているので、いろいろな楽しみ方があるようです。その特典の中には、Paul Lismanによる各曲の解説があります。1曲終わるたびにクレジットが入るのは「いい加減」にしてほしいのですが、ありふれた解説とはいえ、ここまでこの曲に踏み込んだビデオ作品はなかったので満足度の高いものではないでしょうか。

 映像の方はと言えば(どうしてもオーマンディと比較してしまいますが)なんと37台ものカメラが設置されるという前代未聞とも思える作品に仕上がっています。とはいっても、収録場所は暗幕がぶら下がっているだけの「お金のかかっていない」スタジオになっちゃってるし(全部真っ黒にすれば良いのに…)、オーケストラの中にカメラマンはたくさん動き回っているしで、凝っているようで凝っていないのかもしれません。
 37台ものカメラは、指揮者だけを捉えるアングルをはじめ、ソロ奏者だけの固定カメラから、タリー(カメラを乗せた三輪車)による映像など様々。映像のセッティングではソロ奏者だけを選ぶことができる「マルチアングル」設定など、昔だったら考えられないような設定が見る側で選択できてなかなか楽しめます。私はオーケストラメインでサロネンをP in Pにして見るのが好きです。
『UNIVERCE OF SOUND』というイベントに合わせて収録された演奏で、本番はそちらのイベント。そのさわりだけが特典映像として見ることはできますが、このディスクはスタジオセッションの模様のみです。当日の会場はこの曲をさまざまな角度で疑似演奏することができるアトラクションがたくさんありました。
 この曲には、様々なソロ楽器による見せ場がありますが、今まで音だけで聞き流していた楽器も、映像として確認しながら見ると楽しいと思います。私もコンサートで何度か実演を体験していますが、あっちこっち飛び回るソロ・パートなど目で追うことはできていません(奏者の陰に隠れていることもあるし)。しかし、この作品ではオーケストラの中にカメラが入り込んでくれるので、「見慣れない」楽器などが聴き親しんでいるメロディを奏でる瞬間を目撃すると、一種のカルチャーショックに似た衝撃を受けること多々(私が知らなさすぎなのかもしれません)。
 オケと別録りしているのはオルガン・パートと女声合唱。二種ともレコーディング風景が特典映像に収録されていますが、実に興味深い。これだけでもトリハダものでした。
「見る」といえば、フィルハーモニー管弦楽団にはモデルさんのような美人が何人もいて、それを眺めているだけでも、なかなか(おいおい、笑)。制作者側もそれは心得ているのか、そうした奏者の抜きの多いこと(まぁ、目の保養ということでしょうな)。ハープ2台のアングルが大胆(NHKじゃNGだろう)で、音と絵を両方楽しめるディスクではないでしょうか(笑)。


 嬉しいことに、これを書いているまさに当日(2013/05/14)、英国のRPS AWARDSにおいて、このディスクが「Audiences and Engagement category」を受賞したというニュースが入ってきました。


ウィリアム・スタインバーグ/ボストン交響楽団(1971)
 2018年は、非公式ながらこの曲が演奏されてから100年目にあたります。それに合わせてドイツ・グラモフォンが選んだのはウィリアム・スタインバーグのクアドラ・レコーディングされていた名盤。考えてみたら、グラモフォンが初めてこの曲をレコーディングしたのが、このスタインバーグでしたね。そして10年後のカラヤン。あとはレヴァインとシカゴ交響楽団、ガーディナーとフィルハーニア。
  スタインバーグの演奏は、こじんまりとした雰囲気がとても気に入ってます。カップリングはリヒャルト・シュトラウスの『ツァラトゥストラはかく語りき』。図書館で借りたディスクにはリゲティの『ルクス・エテルナ』がカップリングされていました。


 
 
 
 

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