星を眺めているとき、星空の中か音楽が流れてきたらどんなだろう… と、思うことがあります(しょっちゅうだけど…)。静かな音楽ならフィールドとかショパンとかのピアノがぴったりなんでしょうが、あまりにもメロディが美しすぎると、かえって気が散ったりします
(私の場合)。 20世紀に入って、シェーンベルグから始まった12音階などの無機質な音楽は、まるで数学で宇宙が図られる時代の申し子のように、無機質な宇宙空間を漂っているかのようです。そんな無機質な宇宙「空間」を感じさせる音楽を作り出してくれているエストニアのウルマス・シサスクがいます。 『黄道十二宮Op.50』や『星空(第1集「北半球の星空Op.10」・第2集「南半球の星空Op.52」)』というピアノ曲集。地上から、神秘的な星空に望遠鏡を向けてから、星空を描き出したいと考えるようになってから、すでに現代天文学や、電波天文学、ディープフィールドの領域に達してしまっているようで、ちょっと取っつきにくい音楽かもしれません。でしょうか。 とはいえ、太陽系の惑星軌道から計算して得られた音階を発表し(まるでケプラーのよう)、趣味で天体観測を行う傍らで、そこから得られた感性を作曲に反映させ、今も88星座を完成させるべく作曲を続けているようです。 シサスク曰く「何百万年もの起源を持つ音楽を聴けるようにした」とのこと。コクトーがドビュッシーに対して謳った詩も、これと同等な表現をしていて、非常に楽しみであります。 |
黄道十二宮 Op.50/Urmas Sisask |
「ZODIAC Op.50(黄道十二宮)」 |
シサスク本人の演奏によるアルバム。「天空の大六角形」は、Peep Lassmann、Rein Ranna、Vardo Rumessen、Lauri Väinmaa、Urmas Sisask & Lauri Väinmaaらが交代しながら演奏しています。 |
星空 (北半球の星空 Op.10/ 南半球の星空 Op.52)/ Lauri Vainmar |
第1集は北半球の星座、第2集は南半球の星座を描いています。
2枚ともラウリ・バインマーが録音しFinlandia Recordsからリリースされていますが、現在は廃盤。この曲集に関する詳細はコチラのサイトが詳しいです。 「北半球の星空 Op.10(全29曲)」 01. みずがめ座(夢)/02. こぎつね座(不安) /03. いるか座(結合) /04. おおいぬ座(性急) /05. かみのけ座(転変) /06. くじら座(あこがれ) /07. アンドロメダ座(力) /08. うしかい座(回転) /09. うさぎ座(孤独) /10. はと座(動き) /11. おうし座(鋭利) /12. へび座(出現) /13. や座(動揺) /14. からす座(吹雪) /15. こと座(幸福) プレアデス 16. エレクトラ17.マイア 18.タイゲタ 19. アルキオネ 20. メローペ 21. アステローペ 22. ケレノ 23. おひつじ座(緊張) /24. へびつかいい座(破局) /25. こぐま座(平和) /26. こいぬ座(混乱) /27. オリオン座(凝固) /28. うみへび座(永遠) /29. ペルセウス座(瞑想) |
「南半球の星空(全26曲)」 01. カメレオン座(推進力)/02. はちぶんぎ座(停滞)/03. テーブル山座(野火ー解放)/04. とびうお座(変容)/05. ケンタウルス座(啓発)/06. 唐ンなみじゅうじ座(悪夢) /07.はえ座(解放)/08.エリダヌス座(前進ー虹のむこうの非物質化への道)/09.みずへび座(明確な対比)/11.くじゃく座(“魚たち”正反対の事物間の争いと和合の慣例)/12. みなみのさんかく座(二等辺の対比)/13. コンパス座(ブラウン運動)/14. ふうちょう座(調和) ギリシャ神話「アルゴナウタイ」:アルゴ船座の神話より3つの断章 15. とも座(静寂)/16. ほ座(嵐)/17. りゅうこつ座(一陣の風) 組曲「4つの銀河幻想」 18. 第1部;大マゼラン銀河/19.第2部;小マゼラン銀河/20.第3部;コールサック(石炭袋)/21. 第4部;宝石箱 22. きょしちょう座(放浪)/23. さいだん座(豊富)24. かじき座(霧の中の喜び)/25. とけい座(膨張)/26.レチクル座(永遠の生命ー永遠の世界へと消えていく) |
銀河巡礼〜北半球の星空 / 吉岡裕子 |
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シサスクの楽曲を日本人ピアニストが演奏しているとは思ってもみませんでした。レコーディングは八ヶ岳のスタジオ。ジャケットのように星空の美しい下にあるスタジオなのではないでしょうか。もしかしたら星空を眺めつつ、あるいはレコーディングの合間にセッションが行われたのかもしれません。曲目はLauri Vainmarと同じです。 私が最初に聞いたバインマーの作品集と比べ無機質さを感じなかったのは機材や使用楽器にもよるかと思いますが、とても聞きやすいと思いました。もっとも、20年近く前に聞いたときは、こうした「天球の音楽」に慣れていなかったということもあるでしょう。 さっそく、ご本人とコンタクトをとり、しっかりサインをいただきました(笑) |
A SPACE ODYSSEY / ZOFO |
ホルストの4手連弾版『惑星』をメインに、シサスクの『天の川』、クラムのマクロコスモス第4集の『天体の力学』からの抜粋、そしてラングの『グラヴィティ』の4曲が収録されたアルバム。こうした選曲でホルストを聴くと、この曲が20世紀の作品には聞こえてこないほど古典に聞えてきます(笑)。 このデュオはスイス人のEva-Maria Zimmermannと日本人の中越啓介のコンビ。 |
エイヴェレの星たち Op.142/ 舘野泉 |
シサスクから、親交の深い舘野泉に献呈された『エイヴェレの星たち Op.142』
嬉しいことにSACDです。透明感のある北欧の空気をパッケージしてくれる優秀録音(まだ聴いてませんが、期待値大!)。現地の歴史的建造物にあるベーゼンドルファーによるレコーディングとのこと。 01. エイヴェレに降る星 02. エイヴェレに降る惑星 03. エイヴェレに降るオーロラ 04. エイヴェレにかかる月 05. エイヴェレに降る彗星 06. エイヴェレに降る隕石 |