星と天界の音楽と(星のソムリエのブログ)

 天球の音楽を追い求めた作曲家はどれぐらい存在するのでしょうか?ここに紹介するアルバムは、太古のピタゴラスの考えに賛同した、もしくはピタゴラスの考えを確かめようとインスピレーションを働かせた作曲家たちの作品をご紹介します。




SPACE & SPHERES - INTUITIVE MUSIC

Wergo: WER6764
邦題に「直観的な音楽」とあるように5人の現代音楽シーンを彩る演奏家たち、すなわちMarkus Stockhausen, Tara Bouman , Stefano Scodanibbio, Fabrizio Ottaviucci, Mark Nauseefらが「直観の赴くままに、4日間に渡って、ディスカッションも無しに奏でた音楽」をまとめたアルバム。

01. ungone
02. 銀の舌の(Of Silver Tongue)
03. 液状の恐怖(The Fluid Thread)
04. ライト・ブライト・ナイト(Right Bright Night)
05. 彼女は空気を浄化した(She Cleared The Air)
06. 再び見えざるもの(Invisible Again)


「宇宙的なサウンドが6つの楽章にわたって続く。ちなみにトランペットを務める Markus Stockhausen は、あのシュトックハウゼンの子息」とは、情報をお寄せいただいたNさんの情報。ありがとうございます。




天球の音楽(ダニエル・ホープ)

 ヴァイオリニストであるダニエル・ホープは、メニューインからカール・セーガンを紹介されて天球の音楽に興味を持ったそうです。

01. 鐘の模倣 / ヴェストホフ
02. アンダンテ / エイナウディ
03. エコーラス / グラス
04. ラシーヌ賛歌 / フォーレ
05. 24のプレリュードから第15曲 / アーヴェルバフ
06. フラトレス / ペルト
07. 『ワイルド・スワン』組曲から『エリザのアリア』/ チェルニン
08. ムジカ・ウニヴェルサリス(天球の音楽) / バラノフスキ
09. スフィアズ(天球の音楽) / G.プロコフィエフ
10. ベルリン・バイ・オーヴァーナイト / M.リヒタ―
11. ビアフラ / バラノフスキ
12. レント / イグデスマン
13. エイナウディ:パサージオ
14. 24のプレリュードから第8曲 / アーヴェルバフ
15. 『平和への道程』からベネディクトゥス / K.ジェンキンス
16. プレリュードとフーガ BWV855 / J.S.バッハ
17. トライスティング・フィールズ / ナイマン
18. ナッハシュピール(ファウスト/エピソードIIから)/ グンダーマン




天球の音楽/ランゴー

 そのまんま「天球の音楽」と題されたランゴーの15曲の小品からなる組曲です。時代背景的には現代音楽の部類に入るでしょうか?この作品は1916年ごろから作曲が始められ(ホルストの『惑星』に影響を受けたか…? 音楽性はまったく違いますが、感性的に… 「そうだ、宇宙だ」って)1919年には完成しています。
  このアルバムはSACDなので、作曲家が描いた音場に近い音響を再現しているのかもしれませんが、残念ながらマルチではないので、奥行きと広がりのみ。ただ、このフォーマット特有のオーディオと感覚は感じさせないので、音楽的には疲れますが同じ空間の中で鳴り響く音としては楽しめます(笑)。

01. 甘い香りの花で飾られた棺の上の光線のように
02. 日没の青い空で瞬く星のように
03. 光と暗闇のように
04. 波の中で屈折する光線のように
05. 美しい夏の朝の日の中で瞬く露の真珠のように
06. 欲望-絶望-恍惚
07. 世界の魂-奈落-全ての魂の日
08. 私は望む...!
09. カオス-破滅-遠くと近く
10. 花が枯れる
11. 涙の中の太陽の一瞥
12. 鐘の響き:見よ!彼は来る
13. 花の福音-遠くから
14. 新しい日
15. 終末:反キリスト-キリスト

 そしてもう一曲「全天球の音楽」と題されたピアノ小品は1948年に作曲されました。こちらは2分弱という短さなので、異端扱いされている彼の作品の中では、比較的親しみやすく聞くことができます。



ファブリチウス

 フランスの作曲家、シャルル・ケクランは、天文学者を志していたというエピソードを聞き知って私の目にとまりました(笑)。ここに納められているのは「星空の詩」は、同郷の天文学者、カミーユ・フラマリオン(1842-1925)の思い出に捧げられた管弦楽のための夜想曲。このあたりも私のつぼにしっかりとはまっているのですが、フィールドやショパンのそれが、私の考える所の夜想曲とは違った意味を持っていますが、ここでは私が求める夜想曲を体現させてくれます。
  なお、ケクランはカミーユ・フラマリオンの天文書を読んで星に興味を持った様ですが、このフラマリオンは火星のカナリ(渓谷という意味)を知的生命、つまり火星人が建設した運河であると主張したことで知られています。また、中世の宇宙観としての挿絵として有名な製作を手掛けた人物でもあるのです。

  もう1曲の「ファブリチウス博士」はヨハネス・ケプラーの娘と結婚した天文学者です。この管弦楽曲で使われているオンド・マルトノ(メシアンの「トゥランガリーラ交響曲」が最も有名な曲)という楽器の存在が、強く現代音楽を意識させてくれます。 

・星空の詩Op.129~管弦楽のための夜想曲、カミーユ・フラマリオンの思い出に捧ぐ
・ファブリチウス博士Op.202~シャルル・ドルフュスの小説にもとづく交響詩

なお、作品129は「星空の詩」の他にも「天球に向かって」「星の散りばめられた天球へ」といった邦訳が用いられることがあります。

 

MUSIC FOR A DYING STAR
01. ALMA MUSIC BOX - ALMA MUSIC BOX No.07
02. mito(クラムボン) - the signals ~くらやみのレクイエム~
03. milk(梅林太郎) - Limbo
04. 蓮沼執太 - #31-#40
05. 伊藤ゴロー - sea ice
06. 澤井妙治 - Waves of The Frequency
07. Steve Jansen - the blossoms close at sunset
08. 湯川潮音 - lost star
09. Throwing a Spoon(トウヤマタケオ×徳澤青弦) - Thoughts of Colours
10. 滞空時間 - Chascon 5850
11. 高木正勝 - あわい
12. Christian Fennesz - alma712

 

MUSIC OF THE SPHERES(天球の音楽)
 英国のキングス・シンガーズ出身のナイジェル・ショートが2001年に創設した「世界最高峰のヴォーカル・アンサンブル」といわれているアカペラ・アルバム。計9名の作曲家の作品を取り上げていますが、私が知っているのはV.ウィリアムズとエルガーのみ。こうしたコンピもので初めて聴く作曲家などに巡り会うことができますが、これもこうした一枚です。オープニングを飾るHerbert Murrillの2曲は、シェークスピアの『十二夜』からの作詞。 ウィリアムズもマリル同様シェイクスピアへの作曲ですが、それ以外の作曲家はシェイクスピアとは関係ありません。(レビュー


星、宇宙がテーマの音楽集星のささやき、宇宙のうた

宇宙と音楽(天文学史と音楽史)

home(一番星のなる木)