星と天界の音楽と(星のソムリエのブログ)

ROSETTA/ Vangelis -2016-


 


01. Origins (Arrival) - はじまり(探査機到着)
02. Starstuff - 星の材料
03. Infinitude - 無限
04. Exo Genesis - エクソジェネシス(外因説)
05. Celestial Whispers - 天のささやき
06. Albedo 0.06 - アルベド(反射能)
07. Sunlight - 太陽光
08. Rosetta - ロゼッタ
09. Philae's Descent - 着陸機フィラエの降下
10. Mission Accomplie (Rosetta's Waltz) - 任務達成(ロゼッタのワルツ)
11. Perihelion - 近日点
12. Elegy - 哀歌
13. Return To The Void - 無限空間に還る

 日本の「はやぶさ」に先を越されること2年、ヨーロッパの欧州宇宙機関(ESA)も彗星探査機「ロゼッタ」をターゲットとしたサンプルリターン計画。このミッションにインスパイアされて制作したという、久々のオリジナル(ドキュメンタリーとかのサントラと関係なく、という意味)。

 前回の天文ネタは2001年の『MYTHODEA』以来で、その時はNASA。

 そうした作品で考えると 一体何年振りで、何のアルバム以来?などと考えてしまうのですが、彼の多作ぶりにはあきれてしまうぐらい。今作はそれぞれに曲名があり、小品というところからも非常にわかりやすいのではないかな、と思います。彼の創作意欲の根源は宇宙(天)にあり、混沌(カオス)を調和(ハーモニー)に変えていく神聖な力でありその行為は、人類を高め、鼓舞し、癒やすことにあるようです。

 ヴァンゲリス曰く“3歳か4歳の頃、家のピアノを弾いていると、その曲はどこから来たんだと訊ねられた。私は天を指差し、上からと答えた“

 まるで映画『未知との遭遇』のワン・シーンを思わせるエピソードですが、ヴァンゲリスのイメージにぴったりの逸話が示すように、ヴァンゲリスの宇宙への大いなる好奇心と深い愛情は、現在に至るまで、そしてこれからも続いていくことでしょう。

 今までサントラのような作品は、実は敬遠していて(あの『ブレードランナー』でさえ!)、今回のように映像を伴わない作品の方が好きだったりします。その理由は簡単で、彼の描いた映像ではないから。なので、こうした純粋な音楽のアルバムだと、かえって彼の思い描く映像はどんなものなのだろうと、逆に映像が欲しくなるのです。

 70年代はロックのカテゴリー(レコード屋さんに並ぶ場所)に分けられていた時代を髣髴とさせる激しい曲から、リリカルな曲がアクセントになってます。昔から変わらない“ヴァンゲリス節”は健在。また、国内盤(?)の曲目を見ると、6曲目は過去の作品と照らし合わせて「反射率0.06」とした方が良いのではないかと思います。つまり、1975年にリリースされた『ALBEDO 0.39(反射率0.39)』は地球が太陽の光を反射させる割合を物語っているので、今回のアルバムの曲名も ♪Albedo 0.06 -反射率0.06 とした方がファンとしてはオマージュとして聴くこともできるのではないかと思います。ちなみに意味はロゼッタが探査目標としたチュリュモフ・ゲラシメンコ彗星の太陽光の反射率のこと。

 このアルバムの発売日は、探査機が任務を終え、彗星に墜落してミッションを終了させる日に合わせてリリースされたようです(やるなぁ)。

 

コスモスのページヴァンゲリスのページ

星、宇宙がテーマの音楽集

天文学史と音楽史home(一番星のなる木)