星と天界の音楽と(星のソムリエのブログ)


 私がギリシア神話に関する曲を初めて聴いたのは、ドイツの作曲家クリストフ・ヴィリバルト・グルック(1714-1787)が作曲したオペラの中のこの小品。最初はオペラの曲とは知らずに親しんでいましたが、いつもの「オリジナル探し」に旅立った時、実はオペラの挿入曲だと知ったのは、ずいぶん経ってからでした。確かホルストの「惑星」のカセットテープの余白に、エアチェックしたのが最初です。確かニコレのフルートで。



Photo by Toshiharu Minagawa

精霊の踊り(1774)
 グルックのオペラ『オルフェオとエウリディーチェ』は1762年に初演されたウィーン版と、この「♪精霊の踊り」が追加されたパリ版(1774)の2つが存在します。ギリシア神話としても星座神話としても有名な物語です。オペラの中ではフルートソロにオケの伴奏で奏でられますが、親しみやすい旋律だけに、様々な楽器による編曲版があるようです。
 もっともよく演奏されるのはオーケストラパートがピアノになった版。つまり、普通に演奏されるフルートとピアノの演奏。他にフィリッツ・クライスラーがヴァイオリンのために編曲した「♪メロディ」と呼ばれる版。他にヴィルヘルム・ケンプが編曲したピアノ・ソロ。

 私の好みとしては、モデルになっているオルフェウスが竪琴の名手として描かれているので、彼のイメージからもハープなのですが、旋律をフルートでもヴァイオリンでも、伴奏はハープに奏でてもらいたいです。


精霊の踊り~フルートとハープが奏でる天上の調べ
ノラ・シュールマン(フルート)、 ジュディ・ローマン(ハープ)

01. 精霊の踊り(グルック)
02. シチリアーナ Op.78(フォーレ)
03. 子守歌 Op. 16(フォーレ)
04. シチリアーナ(バラディス)
05. 朝の歌 Op.15-2(エルガー)
06. アラベスク第1番(ドビュッシー)
07. ジムノペディ第1番(サティ)
08.ジムノペディ第2番(サティ)
09. ジムノペディ第3番(サティ)
10. アヴェ・マリア(J.S.バッハ)
11. シチリアーノ(J.S.バッハ)
12. 「カルメン」より(ビゼー)
13. 亡き王女のためのパヴァーヌ(ラヴェル)
14. 愛の挨拶 Op.12(エルガー)
15. 「ペール・ギュント」朝(グリーグ)
16. 「ペール・ギュント」ソルヴェイグの歌(グリーグ)
17. 牧神の午後への前奏曲(ドビュッシー)
18. メヌエット(ボッケリーニ)
19. タンブーラン(ゴセック)


 ということで、まず最初にお勧めしたいのがNAXOSが企画してくれた、アルバムタイトルもズバリの『精霊の踊り』です。まさにフルートが奏で、ハープが伴奏する… 曲はアルカイックな雰囲気の漂う曲想が収められ、いわゆる癒しの世界を堪能できます。神話が持つ悲劇のイメージをも忘れさせ、音楽が神話の世界から抜け出し、独自の世界を奏でてくれます。

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