星と天界の音楽と(星のソムリエのブログ)

 石田五郎(1924-1992)さんとは、中学の時の図書館で出会った『天文台日記』に始まり、晩年の大学でお世話になっていました(このことは後で知ってビックリしてしまいました)ここで紹介する本は、天文学の本と言うよりは、星との対話を楽しむ(天)文学者的な視点で綴る面白さに気づかせてくれた作品を紹介します。

 

星の歳時記
 タイトルが素敵ですね。まずそこに惹かれてポツリポツリと読み始めました。初版発行は昭和33年なので古書で手に入れ、昭和42年生まれの私が最初に手に取ったのはちくま文庫から再販された文庫本。その文庫本には新旧の歳時記が掲載され、前半には雑誌『ニュートン』に連載していた『新・星の歳時記』が収録されています。




天文台日記
(ちくま少年図書館18 監修:湯川秀樹・松田道雄・臼井吉見)
文庫版
(中央文庫BIBLO)

星の世界にかける天文学者の夢と生活

 私たちがぐっすり眠っている真夜中、巨大な望遠鏡の王様となって、熱心に星空を観測している人たちがいる。ヒルと夜が逆さまの彼らは、日々どのような生活を送っているのだろうか? 分光器のファインダーをのぞき星と静かに対話する時、彼らが夢見るものは? 天文学の歴史で興味深いエピソードや、瀬戸内の四季おりおりの風物を織り込んで、天文台での人と生活をいきいきとつづる。(本書の外箱に書かれた紹介文より)


 中学校の図書館では、ある時期、読書が流行ることがあり(特に読書週間というのではなく)、その時に見つけた『天文台日記』。野尻抱影の『星三百六十五夜』のように毎日の日記ではありませんが(中には二~三行でつづられている日もあり)、中学生にはおよそ理解できないような、というよりも天文台を訪れなければわからないような情景があって、当時は「なんとなくムズカシイ」とさえ思ってしまったほどです。

 その後、折を見つけては読み続けていくうちに、星のこととは全く関係のない話題に詳しかったりして、藤井旭さんの『ふじい旭の新星座絵図』と併せて星の世界は視野が広い、と思ったものでした。特に音楽を聴きながら星を見るというのは斬新で、それ以降、友人と深夜喫茶で聴く「星を見ながら聴く音楽」を探し続けています。

1月1日:元日・セレスの発見
1月2日:南極老人星(カノープス)
1月3日:ファインディングマップ・深夜喫茶
1月4日:初ヴィジター
1月5日:赤い星
1月6日:
1月9日:吸収線・スペクトル型
1月10日:
1月13日:特異星
1月14日:食変光星・イロハガルタ
1月22日:ニュートン観測・現像
1月23日:
1月24日:
1月25日:冥王星
1月26日:
1月27日:
1月28日:
1月30日:シリウスの伴星
1月31日:
2月1日:
2月2日:
2月3日:
2月4日:
2月5日:
2月6日:
2月7日:光のすじの向こう端の・・・・
2月8日:
2月11日:
2月20日:小宇宙
2月21日:
2月26日:セイファート小宇宙・アイアイ
2月27日:
2月28日:
3月2日:ドラムスコ
3月3日:天文観測心得
3月4日:ホール・イン・ワン
3月5日:
3月6日:
3月7日:ガストロノミー
3月8日:
3月13日:ウィリアム・ハーシェル
3月15日:山歩き
3月18日:コンパクト小宇宙
3月19日:
3月22日:
3月23日:
3月25日:
3月28日:
4月1日:
4月4日:モズラ
4月8日:
4月11日:
4月12日:
4月16日:
4月17日:
4月18日:
4月19日:
4月20日:
4月27日:
4月28日:
4月29日:ワラビ採り
5月1日:
5月5日:
5月7日:モズのひな
5月8日:
5月14日:
5月15日:カーリュー・リヴァー
5月19日:球状星団
5月22日:不二川晴れ
5月28日:



6月1日:メッキ作業
6月2日:
6月3日:
6月4日:
6月6日:星の世界へ
6月7日:
6月8日:
6月11日:
6月17日:
6月18日:
6月19日:六地蔵
6月20日:
6月21日:
6月22日:
6月25日:
7月1日:
7月2日:台風襲来
7月3日:ハギハラテレスコープ
7月4日:
7月7日:七夕
7月8日:
7月9日:
7月12日:
7月14日:
7月16日:
7月20日:赤外線観測
7月21日:
7月25日:
7月26日:ガラス切り
8月4日:
8月8日:
8月10日:
8月17日:
8月18日:
8月23日:
9月1日:ドーム修理
9月6日:
9月11日:
9月13日:
9月19日:
9月20日:
9月21日:ベーキング
9月22日:
9月25日:
9月27日:
10月1日:初スバル
10月2日:
10月3日:フラワー・カード
10月4日:
10月9日:フレアー・スター
10月13日:
10月14日:体感予報
10月19日:創立記念日
10月26日:
11月3日:コリメーター
11月10日:畑中忌
11月11日:チホ・ブラエ
11月16日:乾板測定
11月20日:
11月21日:
11月25日:ドーム故障
11月20日:
11月30日:かに星雲
12月4日:
12月8日:
12月16日:リック天文台
12月20日:ベテルギウス
12月24日:
12月27日:
12月29日:ニコライ・クスミッチ
12月30日:
12月31日:日はすぎ去りて・・・・





岡山の天文気象(石田五郎・佐橋謙)

『天文台日記』を読んだら、ぜひ読んでおきたい(?)のが、この小さな文庫にまとめられた『岡山の天文気象』です。佐橋謙氏との共著となっていますが、前半「岡山の天文」後半「岡山の気象」と二部構成になっています。当然私は前半の石田さんの執筆された方を目当てに古書にて購入しました。なので、グラシン紙でカバーされています(個人的にも読み終わった本からグラシン紙を掛けていきますが、この本は書店の方で施してくれているので、とても奇麗。
 この小さな文庫に綴られているのは、さすがに『天文台日記』が中学生向けに書かれていることを考えると、ちょっと天文台の 専門分野である解説がメインとなっているので難しいと判断したか、もしくは1980年に出版されたので、収録しなかった未収録分か、といった感じです。
はじめに
安倍晴明
竹林寺山への道
岡山天体物理観測所
東洋一の大望遠鏡
望遠鏡の原理
反射望遠鏡
主鏡と副鏡
赤道儀
天文学者
ニュートン観測
直接写真
カセグレン観測
クーデ観測
九一センチ反射望遠鏡
太陽望遠鏡
ハギハラ望遠鏡
観測の最適地・岡山
建設から観測へ
光害白書
未来への展望
倉敷天文台
本田彗星
岡山の隕石
(1)明治三十五年の隕石
(2)明治四十年の隕石
(3)富田隕石
(4)高見島隕石
岡山県内の天文施設
(1)
(2)県立児童会館プラネタリウム
(3)津山科学教育博物館プラネタリウム




 斉田博さんの「天文意外史」を引き継ぐカタチ(とはいっても、VOL18~VOL30と、ずいぶん間が開いてしまいましたが…)で、『星の手帖』に「天文史」を連載してくれています。

 
Vol.31 特集「ハレー彗星全情報」 天文史1「3代目は楷書がき」~ジェームズ・ブラッドリーの場合
Vol.32 特集「太陽系起源を探る」 天文史2「フラウンホーフェル線の発見者の短い人生」
Vol.33 特集「惑星観測」 天文史3「毒殺された天文学者」~レギオモンタヌスの場合
Vol.34 特集「天文学最前線とVLBI」 天文史4「ファイノメナ」の天域 ~ギリシアの天文詩人アラトス
Vol.35 特集「躍進する太陽研究」 天文史5「ラプラス侯爵の栄光の生涯」
Vol.36 特集「アマチュアと天文学」 天文史「大プリニウスの博物誌」

 

 似たような企画で、1990年に日本放送出版協会(NHK)から出版された『NHKサイエンススペシャル 銀河宇宙オデッセイ』にも宇宙発見史というコーナーを担当しています(どういう経緯で執筆されたのかは不明です)。
  この本は、SFXを駆使して宇宙を解き明かすというドラマと平行して出版されました。あとがきにはカール・セーガンの『コスモス』を意識した演出だったと書かれていました。のちのち『コズミック・フロント』へと続くことになります。

 

Vol.1「太陽系からの旅立ち」 宇宙発見史1「天文学はタレスに始まった」
Vol.2「超新星爆発」 宇宙発見史2「ハレニズムの天文学者たち」
Vol.3「ブラックホールとの遭遇 宇宙発見史3「天文書 アルマゲストの使命」
Vol.4「ET・宇宙人との交信」 宇宙発見史4「中世をくぐりぬける」
Vol.5「宇宙の大構造」 宇宙発見史5「反射望遠鏡の世紀」
Vol.6「宇宙誕生の時」 宇宙発見史6「色光が宇宙を拓く」
Vol.7「地球への帰還」 宇宙発見史7 「反射望遠鏡の復権」

 

 最近ネットで検索していたら発見したのですが、石田さんは1975年には、この手の伝記物の書き物をされていたようです。中央公論社から出版されていた月刊誌『自然』の1975年の中で、全12話の天文史を執筆されていました。『自然』はすでに廃刊となってしまっていたため、最初は古書などで探しましたが、なかなか見つからず。 とうとう思い立って国立国会図書館に行ってきました。

 
『自然』1975年1月 史伝でつづる天文外史-1「サモスのアリスタルコス-古代の地動説 」
『自然』1975年2月 史伝でつづる天文外史-2「ニコラウス・クザヌス--中世と近世との接点」
『自然』1975年3月 史伝でつづる天文外史-3「ペトルス・アピアヌス--コペルニクス前夜」
『自然』1975年4月 史伝でつづる天文外史-4「チホ・ブラエ--銀の鼻の怪物」
『自然』1975年5月 史伝でつづる天文外史-5「ヨハネス・ヘヴェリウス--ブルジョワジ-の天文学」
『自然』1975年6月 史伝でつづる天文外史-6「ジョン・フラムスチ-ド--王立天文台の草分け」
『自然』1975年7月 史伝でつづる天文外史-7「エドモンド・ハリ---ロンドン児の天文学者」
『自然』1975年8月 史伝でつづる天文外史-8「ウィリアム・ハ-シェル--幸運の星をとらえた音楽家」
『自然』1975年9月 史伝でつづる天文外史-9「ヨハン・ティティウス--惑星の距離についてのフィロゾフィ-」
『自然』1975年10月 史伝でつづる天文外史-10 「ウィリアム・パ-ソンズ--古城バ-・キャッスルの巨砲 」
『自然』1975年11月 史伝でつづる天文外史-11 「オルヴァン・クラーク--レンズ磨きのア-ティスト」
『自然』1975年12月 史伝でつづる天文外史-12 「エドワ-ド・ピカリング--20世紀への接点」

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