かみのけ座(髪の毛座)
学名:Coma
20時南中:5月28日

りょうけん座(猟犬座)
学名:Canes Venatici
20時南中:6月2日

 このごろの星空では、春霞のかかる宵にこの星座が目にとまることはほとんどなくなってしまいました。それは「霞」だけのせいではありません。ひとたび郊外に出てみると、しし座はデネボラの東、直角三角形を形作る長い辺の近く、あるいはりょうけん座のすぐ南と言った方が見つけ易いかもしれませんが、なんとなく雲のようなかたまりを目にすることができます。
 郊外のように空気の澄んだところであれば、それほど苦労して見つけ出す存在ではなく、ぼんやりと星空を眺めていると、晴れ渡っているはずの星空にひとかたまりの雲のような姿が気になって仕方ない、という感じになります。そこで双眼鏡を向けたり、目をそらし加減にして見てみると、そこにはひとかたまりの星の群がアルファベットのYという字を形作っていることが分かります。この星の群はMel.111という散開星団で、40個ほどの星が群れている姿なのです。
 この写真にはβとγしか写っていませんが、αも存在しています。しかし、それらを結んだところで星座の形が浮かび上がるわけではなく、この散開星団自体をベレニケの琥珀色をした髪の毛のイメージとして捉えた方が良いでしょう。
 歴史は古く、もともとは“ベレニケの髪の毛座”と呼ばれ、プトレマイオスの48の古代星座はより以前のヒッパルコスの中に存在していました。にもかかわらずプトレマイオスはこの星座を外してしまったのです。それが1602年になってティコ・ブラーエが再びかみのけ座として独立させたため、一般的には新興星座として分類されてしまったのです。

星名星座神話

りょうけん座(猟犬座)
学名:Canes Venatici
20時南中:6月2日
 おおぐま座の北斗七星のすぐ南に位置し、古星図ではうしかい座の牧夫が従えている猟犬の姿に描かれています。それが北の空に位置する大熊を吠え立てているのです。かみのけ座同様新興星座でエドモンド・ハレーの薦めでヨハネス・ヘヴェリウスが制定しました。
 南にいる犬の名をカラ、北にいる犬をアステリオンと呼びます。αの方は別にコル・カロリという名前もあります。これは“チャールズ王の心臓”という意味でハレーが命名しました。古星図ではその位置に王冠をかぶったハートの絵が描かれているのです。これは1649年1月にクロムウェルの清教徒の革命時に処刑されたイギリス王チャールズ1世の息子であるチャールズ2世が、王権復活により1660年5月29日、亡命先のパリからロンドンへ戻り、王位についたのを記念して、のちにハレーが命名したのでした。きっかけはチャールズ・スカーボロー卿がチャールズ2世が王位についたその日、コル・カロリが異常に輝くのを観測し、後年ハレーに話したところ「天も平価を祝福しておられたのであろう」といって、この名を命名したというのです。
 コル・カロリは非常に色の対比が美しい二重星です。白色の主星に5.4等の紫色の伴星が輝いています。

星名へ

★写真をクリックすると星の結び方が現れます。ただし、この結び方には決まりがありませんので、ここで紹介している結び方が正しいというわけではありません。