★ピエール・ブーレーズ指揮/春の祭典/ペトルーシュカ
『火の鳥』は全曲版のため、三大バレエとのカップリングができるのは、この『春の祭典』と『ペトルーシュカ』となるようです。もっとも、最近では2枚組みとしてカップリングされることも珍しくはありませんが。
ブーレーズの1969年にレコーディングされたこのアルバムは、当時のリスナーを驚愕させたそうです。今聞くと、現代のレコーディング技術の向上もあり、それほど驚かないのかもしれませんが(たとえばビートルズの『サージェント・ペッパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』がカルチャーショックだったというレビューをあちこちで見かけますが、ビートルズ世代ではない人がそのアルバムを聴いて、「どこがそんなに凄いんだ?」と、思うのと一緒でしょうか?)当時としては難曲だった「春の祭典が」、複雑なリズム、楽器構成、不協和音と原始的なリズムの連続が、心地よい変拍子音楽として初めてレコードとして誕生したのです。
このレコード以降、今度は「春の祭典」がオーケストラの試金石として試され、この曲を演奏できる指揮者、オーケストラが一流かそうでないか、と言われるまでになってしまったのです。
今ではコンサートのレパートリーとして人気があり、こぞってオーケストラが取り上げるようになりましたが、その道を切り開いてくれたのが、このブーレーズの1969年に制作されたレコードだったわけです。ブーレーズも、それを意識してなのか、再びレコーディングをグラモフォンと結んでから1991年にクリーブランドを起用し、数段音質も良くなりました。
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