イメージ的に、もっと使われても良かった(と思う)のが、グスタフ・ホルストの組曲『惑星』。そのものずばりのタイトルが嫌われたのか、それとも作曲者の遺言がネックになって、遺族からの許可が下りなかったからか(セーガン博士がトミタ・サウンドをパイオニアに搭載するときの手法を持ち出したのか?)あまり使われていません。もっとも使われたのは第7曲の“海王星”でした。

 ホルストの『惑星』は、作曲家アーノルド・バックスの実弟クリフォード・バックス(1886-1962)から占星術を紹介されことに端を発しました。地球、太陽、月を除く太陽系の惑星を書き上げましたが、当時はまだ冥王星が発見されていなかったので作曲されず、また1930年に発見された後も、ホルストにしてみれば海王星までの構成でインスピレーションを受けていたため、追加もせずにきました。そしてカール・セーガンが産まれた翌年に没しています。
 2000年になって、英国のコリン・マシューズが補足という意味で「冥王星」を書き上げますが、2006年の天文連合の討議により冥王星を「惑星」の定義から外したことにより、意外なところで話題になってしまったのは記憶の新しいところ。


 ホルスト本人の遺言では、組曲で全曲通して演奏されなければならない、いかなる編曲(編成の変更、特に楽器の数やコストの掛かる合唱団の有無など)も認めないと残しているために、冥王星を追加する必要はないでしょう。

惑星に関しては、コチラのページもご覧下さい。

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組曲『惑星』火星

 エピソード5【赤い惑星のブルース】で、いきなりウェルズの迫真の迫ったナレーションと共に、何者かが水滴の地球をつぶさに観察をしています。


 全米を震撼させたオーソン・ウェルズのナレーションによる『宇宙戦争』(
02m05sごろから)。迫り来る恐怖を煽るかのごとく、ホルストの火星は絶妙の効果を表現しているのではないでしょうか。
(日本語版のこのシーンでは、ヴァンゲリスの浜辺の少女≠ェ使われ、この正反対の雰囲気に驚かされました)

なお、火星はエピソード5で出まくりです。

地球を監視する何者かの眼
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組曲『惑星』金星 

 組曲の中でも最も美しいアダージョ楽章であるこの曲は、宵の明星として輝く金星の姿を、愛と美の女神の象徴として描いた音楽の中でもっとも美しい曲ではないでしょうか。コスモスではそういったシーンでは使われていませんが、遠く離れた金星を光の持つ美しいスペクトルによって正体を見極めるという内容で、ほんの僅かですが顔を覗かせます。

エピソード4【 Heaven and Hell】(36m34sごろから)。

美しい光のスペクトル
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組曲『惑星』土星

 エピソード3【宇宙の調和】12m56〜)。セーガン博士が荒野の中でただ一人、視聴者である私たちのために火をおこしてくれます。

 夜空を仰げば様々な星の並びがパターンとなって、様々な民族、地域によって表情豊かな星座として生まれ育ちました。そして退屈で恐ろしい夜のお供になってくれることを説明してくれます。
 残念なことに星座は、天文学という領域ではほとんど語られなくなってしまっただけに、博士に語り部となってもらい、北の空に浮かび上がった星座物語を聴くのは、とても贅沢なことなのかもしれません。なお、セーガン博士の好きな星座は(なんと私と同じ!)かんむり座だということです(コンタクトにヒントが出てます)

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組曲『惑星』海王星

 7曲ある組曲で、最後に演奏されるこの曲には舞台裏から女声のヴォカリーズが加わります。ホルストが当時思い描いた、太陽系の深淵。まるで天界からの呼びかけのように神秘的な響き。その曲が、天文学者を悩ませた惑星の動きを説明する神秘的な模型と共に聞こえてきます。
 エピソード3【宇宙の調和】の中で
、天文学の分岐点となる「天動説と地動説」を説明する模型。まるでゴロゴロと回転する歯車音のように静かに流れて出します22m30s〜)。
 このエピソードでは、先の土星が使われる直前にもたき火のお供として聞こえてきます。日没が過ぎて、今も昔も神秘的な瞬間に併せて(
11m00s〜)。

 エピソード5【赤い惑星のブルース】06m13sごろから)にもローウェル天文台を訪れる博士をサポートするように聞こえてきます。

アンドレ・プレヴィン指揮/ロンドン交響楽団

 
 コスモスの曲目リストで参考にさせてもらっているサイトによるとアンドレ・プレヴィンの演奏だということです。作曲者が英国人だけに、この曲の十八番(おはこ)は英国の指揮者とオーケストラということになるようですが、はたしていかに?プレヴィンはユダヤ人で、のちにアメリカ国籍を取得した作曲家兼ジャズ・ピアニストとしての知名度のあるミュージシャンです。

 他にこの曲で私が良く聴くのはボールトメータレヴァイン 、そしてカラヤン でしょうか。ここで紹介した指揮者は、レヴァインを除き、二度以上レコーディングをしています。


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