星と天界の音楽と(星のソムリエのブログ)


「M31」tupichan 1988

歴史(天文学史・科学史など)


もどるhome(一番星のなる木)


 星のソムリエを取得してからは、地元以外での講座が増えました。その際、企画元の担当の方から「今度はこんな話をして欲しい」といったリクエストを受けるのですが、まったく手つかずだったジャンルのリクエストを受けるたびに「これはもっともっと幅広い知識が必要だな」と痛感するようになりました。その時に思い出したのがカール・セーガンの言葉です。

「宇宙を知るためには、すべてのことを知る必要がある」

  実際には、セーガン博士が学生の頃、自分の担当教授からいわれた言葉だったらしく、そのことを読んでハタと思い出したのが、セーガン博士の『コスモス』の幅広いジャンルに渡るエピソードの数々。「なんでこれが宇宙と関係があるんだろう」といった疑問が、各エピソードの中に、かならず一つはありましたが、彼が恩師から受けた言葉を読んで納得。自分もそうであるべきだと思い、今は様々な、およそ天文とは直接関係ないだろうといった本にまで手を出しています。

 嬉しいのは、そうしたことを良く講座が終わった後に言われることです。「星の話を聞きにきたのに、音楽と関係があるとは思ってませんでした」とか、「最近読んだ小説が取り上げられていて、思わず引き込まれました」とか。

 かねがね思ってたのですが、関係ないと思われることにも、必ず宇宙と関わっているということ。確かに、この世のすべてはビックバンという一つの場所から始まったわけですから。
  なので、今さらながら、そういった本に手を出している次第です(笑)。ここでは直接的な天文史を始め、畑違いのようであるけれど、ちょっとは関わるような書籍も紹介します。ただ、そうした本を読んでいると、意外な繋がりがエピソードとして紹介されていたり、「へぇぇ、そうだったのか」

 なお、ここで並んでいるリストの順番には意味もなく(出版順とかなく…著者順とかでもなく…)、私の本棚に、その時並んでいた順番です。




★天文学史★
表紙 タイトル/著者/出版社(出版年)/ISBN  


天文学の歴史(新天文学講座12)
薮内清編
恒星社(1954初版/1978第6版)

 長い長い天文学の歴史を、コンパクトに(といっても270ページ越え)まとめ、巻末には島村福太郎氏Oまとめた「現代天文学の動向」が巻末の付録として「現代天文学年表」としてまとめられています。歴史本なので宇宙論(宇宙の将来を語る)とは対極の位置にいる、ため、よほど新資料が見つからない限り、塗り替えられることのない学問のため、写真や文章などはいささか古く感じられますが、却って調べる側としては、そこがよかったりするので、ページを開くたびにプーンと漂う昔の図書館の匂い(カビ臭?)とタッグを組んでいて、なんだか懐かしさを感じてしまう本です。(左の表紙は箱)

もくじ
天文学史(現代天文学講座15)
中山茂/編
恒星社(1982)

 上の『天文学の歴史』は、タイトル通り歴史の流れをざっと足早に紹介してくれましたが、こちらの中山氏が編集しているは、まえがきには「意識的に前書と違うものにしよう」とのことです。個人的にはこの本が出版された前後の現代天文学のあたりより、やはり「暦」に重きを置いた編集が特徴で、でかもしれません。その後氏の著作はたくさん読むようになりましたが、天文学史や暦が絡むような本を探す場合には、中山氏の名前が私の一つの指標になりました。(左の表紙は箱)

もくじ
現代天文学史
天体物理学の源流と開拓者たち
小暮智一/著
京都大学学術出版会(2015)
第1部 天体分光学
第1章 「新天文学」の開幕
第2章 星の分光分類とHD星表

第2部 星の構造と進化論
第3章 星の進化論とHR図表
第4章 熱核反応と星の進化論

第3部 銀河天文学と宇宙論
第5章 銀河と星雲の世界
第6章 銀河系の発見
第7章 宇宙論の源流

第4部 現代天文学へ
第8章 日本における天体物理学の黎明
第9章 現代天文学への展開
天文学の歴史
ヘザー・クパー、
ナイジェル・ヘンベスト共著
東洋書林(2008)
東洋書林から姉妹書に『ギリシア神話の世界』がありますが、こちらも同じように重厚な体裁で、ずっしりと重く、そうした重量に似合った濃い内容です(笑)。

 『ギリシア~』と違って、ハードケースに収められ、気軽に手にして読むという雰囲気は全くなく辞典的な感じですが、内容はカラーなどの図版が多く収録されていて、さすが「ビジュアル版」とうたっているだけあり、重たくなってしまっているのは仕方ありません。また、ビジュアル版とは言っても、美しい天体の写真を豊富に載せているのではなく、歴史的な人物や事象などを解説するイラストなどが多く、それらを求めてしまうと、ちょっと路線が異なってしまうかもしれません。しかし、ここまで「天文学の歴史」だけにこだわった一冊は、これまでにはなかったものです。そういう意味でも、宇宙を、星を眺めるときに、自分たちの歴史を振り返ることができる読み応えのある書物であることは間違いありません。
天文学史
桜井邦明/ ちくま書房(2007)
 人類が誕生して最初に芽生えた学問が天文学であるという話を良く耳にしますが、人類が辿ってきた天文学の歩みを「天文学史」と名づけて、時代毎にエポックメイキングとなった事柄や人物にスポットを当て、コンパクトにまとめられています。そうした歴史がポケット(に入れるには少々厚めの文庫なのでいささか無理はありますが)に入り、気軽に読めるというのは非常に嬉しいものです。
 私の興味は「近代天文学の夜明け」と言われる時代の動き。特にコペルニクス以降、ニュートンまでの天文学に惹かれます。これは「近代への移行期」(P93)と「近代の天文学I」(P166)で読むことができました。非常にわかりやすくまとめられていて、おもしろく読むことができました。

 この本は1990年に出版され、2007年に文庫化されたものです。文庫ということで携帯に便利ですが、体裁が私が慣れているレイアウトと違って、左開横組です。
銀河の時代―宇宙論博物誌〈上〉
ヘザー・クパー、
ナイジェル・ヘンベスト共著
東洋書林(2008)
 
銀河の時代―宇宙論博物誌〈下〉
ヘザー・クパー、
ナイジェル・ヘンベスト共著
東洋書林(2008)
 






★天文学と宗教★
表紙 タイトル/著者/出版社(出版年)/ISBN  
科学と宗教との闘争
アンドリュー・ディクソン・ホワイト/著
(森島恒雄/訳)
岩波新書(1939/改版1968)
1344-31940-6945

 特に天文学はプトレマイオス〜コペルニクスといった流れから発展し、占星術と離ればなれになった歴史があります。結果だけを楽しむのもいいですが、私はどうしてもその根幹を知りたくなってしまいます。というわけで、こうした歴史も星のガイドの時に取り入れるようになり、キリスト教徒の関わりにも手を出すようになりました。この本はもともと小著『科学の戦い』を元に大著『科学と神学との戦い』を部分的に取り入れた合体本のような内容とのこと。目次を見ると6つの「〇〇の分野で」という章があり、天文学は第二章に登場します。地動説からガリレオまでのキリスト教との関わりに触れています。そしてどういう経緯で(キリスト教が)受け止めていったか。天文書ではそこまで追いかけてくれていないので、かなり楽しめました。






★天文学史(読み物)★
表紙 タイトル/著者/出版社(出版年)/ISBN  
星を近づけた人びと(上)
斉田 博/著
地人選書(1984)

 
星を近づけた人びと(下)
斉田 博/著
地人選書(1984)
 
それでも地球は回っている
近代以前の天文学史
青木満/著
ベレ出版(2009)
ISBN978-4-86064-223-5
 天文学史を勉強するなら、まず第一にお勧めしたいのがこの書。私が星のソムリエ講座で「地球はいつから丸く、動くようになったのか」というタイトルを取り上げるようになったのは、この本の影響が大です。
宇宙を測る 宇宙の果てに挑んだ天才たち
キティ・ファーガソン著
加藤賢一、吉本敬子共訳
ブルーバックス
ISBN4-06-257361-X
「宇宙の端までの距離は測れるのか?」
  古代から宇宙の果てに思いを馳せながら、宇宙の広さを測り続けて来た驚くべき天才たちの物語として、ブルーバックスシリーズの中で取り上げられた一冊。小柄ながらゆえにコンパクトにまとめられた「宇宙の距離」の物語が、そのジャンルの天文学史とてテンポよく読み進めることができます。あとがきにはホーキングの理論やブラックホールの解説などを得意とするサイエンスライターとして紹介しています。(レビューへ






★科学史★
表紙 タイトル/著者/出版社(出版年)/ISBN  
科学はどのようにしてつくられてきたか
いたずら博士の科学教室
板倉聖宣/著
仮説社(1993)

 著者が「日本人はどのようにして自然を理解し、それをよりよくりかいするためにどのようにして西洋の科学をとり入れてきたか」ということを念頭に、科学思想史をわかりやすく解説してくれています。
 ちょうど、日本人の天文観を読みあさっていた時に巡り会った本で、 地動説、大地が球体など、いつ、どのようにして日本人は知るようになったのかなど、今では誰もが当たり前に思っていることを、当時の人たちが知るきっかけなど教えてくれました。
ギリシア思想とアラビア文化
初期アッバース朝の翻訳運動
ディミトリ・グタス/著
山本啓二/訳
勁草書房(2009)
ISBN978-4-326-20045-0
 ルネッサンス前夜。8世紀のアラビア・ルネッサンスを呼び起こしたアッバース朝の詳細を解説してくれています。天文学の保護と発展も、この時期のアラビア文化に大きく恩恵を受け現在に至っています。西洋天文学の礎となった時期にも関わらず、天文学からはこの方面へのアプローチはあまりなかっただけに、これは目からウロコがボロボロ落ちてしまいました。
古代の科学史
現代文明の源流として
ジョージ・サーストン/著
好田順治/訳
河出書房新社(1981)
1010-058105-0961
第1章 ユークリッドとその時代
第2章 トレミー(プトレマイオス)とその時代
第3章 ギリシャ科学と文化の終焉




OU科学史 I
宇宙の秩序
C.A.ラッセル/編
渡辺正雄/監訳
(成定薫、大谷隆昶/訳)
創元社(1981)
ISBN4-422-40011-8
科学史の中でも、特に興味があるのは天文学ですが、この書は三部作の中の第1作目で、





もどる(ほしのほん)home(一番星のなる木)