ピアノの貴公子という異名を持っていたフランツ・リスト。私のイメージはヘヴィ・メタル的に、ピアノを使って極限までテクニックに走るピアニスト(作曲家)でした。しかし彼もまた、フィールドに憧れ夜想曲を書いていたという史実があります。 |
フランツ・リストの夜想曲 |
3つの夜想曲「愛の夢」S.541(1850) |
即興曲(夜想曲)嬰ヘ長調 S.191 R.59(1872) |
夜想曲「眠られぬ夜、問と答え」S.203 R.79(1883) |
夜想曲 「夢の中に」S.207 R.87(1885) |
1885年に書かれたS.207 R.87という番号をふられた「夜想曲 〜夢の中に」は、歌曲として1850年に書かれた「3つの夜想曲」に比べると、はるかに地味な存在です。しかし地味である分私にとっては私が感じる「夜想曲」という雰囲気にピッタリの曲想です。 小山実稚恵さんの『ノクターン』には、有名な「愛の夢」の方が収録されましたが、こちらのリスト作品集には地味な方の夜想曲が収録されました。 |
特に第3番は有名なメロディを持っているので、音楽史上の夜想曲中、もっとも有名な夜想曲かもしれません。最初に私が書いた「ヘヴィメタル的」なリストの意外な一面が、この夜想曲でした。そしてこの曲が「夜想曲」であることが知られていないのは驚きでした。夜想曲と言えばショパンの代名詞になってしまっている事もあってか、特にこの第3番を「夜想曲」と呼ばず、独立して「愛の夢 第3番」と呼んでいることも、夜想曲という本来の呼び名から遠ざけているのかもしれません。残念ながら、リストの夜想曲はまとめて演奏、レコーディングされる事の機会に恵まれずにいます。 | ||||
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