1985年からはじまったウィンダム・ヒルの『ウィンター・コレクション』には、多くのアーティストがそれぞれの「冬」そして「聖歌」を提供してくれています。ここでは、そんなアーティストにスポットを当てて、ウィンダム・ヒル・ファミリーとしてのアルバムではなく、アーティスト・ソロを楽しんでみましょう。
  まずはウィンダム・ヒルと言えば、創始者、ギタリスト、プロデューサーのウィリアム・アッカーマンから。ウィルの作品提供は、すべて新曲(録)、あるいはリ・レコーディングで、すでにリリース済みのアルバムから提供は行なっていないので、まさにウィルの『ウィンター・コレクション』としてまとめられるほどです。客演も含めると15曲は、最多です。

- New England Morning/ William Ackerman -
William Ackerman ; Guitars / Joan Jeanrenaud ; Cello
Produced by William Ackerman & Dawn Atkinson.
 

 アッカーマン名義になっていますが、ここでは女流チェリストのJoan Jeanrenaudとのコラボレーション。アッカーマンの描く冬の描写はどことなく、自然の厳しい寒さを感じせずにはいられない音色を“パッヘルベルのカノン”に乗せ、その後に続くJoanのチェロの旋律が寒さの中に宿る温もりを感じさせてくれます。

 

- Abide the Winter / Will Ackerman -
William Ackerman ; Guitar
Produced by William Ackerman, Dawn Atkinson and Cookie Marenco.
 

 ウィルのギターのフィンガリングが、たっぷりと残響を生かして、心地よい響きとなって体に染み込んできます。それは襟を立てて北風をさえぎりながら下をうつむいている足下に、家の窓辺からこぼれる暖かい明かりが行く手にとっての道標となって足下を照らしてくれるかのような気持ちにさせてくれます。あたかもピンと張りつめた冷たい冬の空気に澄んだ音が響きわたるかのような。ふと見上げた暖かい明かりに、家族が待つ我が家をだぶらせて「ほっ」とする瞬間のようです。「冬」にイメージしがちの負の雰囲気を感じさせません。

 

- Just Before Dawn/ William Ackerman -
William Ackerman ; Guitar / Micheal O'Dmhnaill ; Whistle

Produced by Dawn Atkinson.
 

 何という希望に満ちたメロディでしょうか。タイトル通り夜の明けきる前の薄暮の寒さの中に差し込んでくる一筋の光。まさにそんな情景が目の前に広がってくるような曲です。ウィルとホイッスルで共演しているのは、ナイトノイズのマイケル・オドネル(アルファ盤からキャニオン盤に移行した際、ミホールとなりました)。彼のギターの名手ですが、今回はウィルの楽曲ということもあってバンドを連想させるホイッスル。でも、このギターラインをマイケルのギターでも聴いてみたかった

 

- Light And Song / Will Ackerman -
Will Ackerman ; Guitar / Eugene Friesen ; Cello
Produced by William Ackerman & Corin Nelson.
 

 スタジオが完成して間もない頃のレコーディング。『ウィンター・コレクション』は、初期の2枚まではウィル本人も製作に関わっていましたが、そのあとはアーティストとして参加する程度でした(なんとなくアルバムの雰囲気も変化していきました)。このアルバムでも同様。初期のレコーディングで、これ以降、ウィルのスタジオで常連となるチェロのユージン・フリーゼンとのデュエットは、ある意味、エポック・メイキングとなりました。

 

- Emmanuel / Will Ackerman -
Will Ackerman ; Solo Acoustic Guitar
Produced by William Ackerman & Corin Nelson.
 

 ウィンダム・ヒルの冬の名物。ウィンター・コレクションの別ヴァージョン。総合プロデュースは、『ウィンター・コレクション IV』のBrian Keaneこちらにもジャズ・テイストが加わった感触です。
  このアルバムのウィルのレコーディングのみが、新しいスタジオでのレコーディングでした。ウィンダム・ヒルという看板を肩の荷からおろし、アーティストのみの関わりは、ウィルのアーティスト人生の中でも、大きな意味を持った時期となりました。

 

- This Clearness Of Light / William Ackerman -
William Ackerman; Guitar

Rob Eberhard Young; Guitar / Eugene Friesen; Cello
Produced by William Ackerman & Corin Nelson.
 

 ウィルの秘蔵っ子としてレーベルからソロ・アルバムをリリースしたロブを迎え、前回のコンピレーションで初デュオを組んだチェロのユージン・フリーゼンとストリングス・トリオ。

 

- Solstice / Rob Eberhard Young -
Rob Eberhard Young; Guitars / Will Ackerman; Guitars
Produced by William Ackerman & Corin Nelson.

 

 この曲の名義はRob Eberhard Young 。しかし、クレジットを見ればウィルの名前を見つけることができます。Robのデビューアルバムに収録されたElizabethと同一の曲(曲名だけ変更された)

 

- In This Still Forest / Will Ackerman -
Will Ackerman ; Guitars
Produced by Will Ackerman.
 

 ウィンダム・ヒルの冬の名物。ウィンター・コレクションの別ヴァージョン。総合プロデュースは、『ウィンター・コレクション IV』のBrian Keaneこちらにもジャズ・テイストが加わった感触です。
  このアルバムのウィルのレコーディングのみが、新しいスタジオでのレコーディングでした。ウィンダム・ヒルという看板を肩の荷からおろし、アーティストのみの関わりは、ウィルのアーティスト人生の中でも、大きな意味を持った時期となりました。

 

- Impending Death Of The Virgin Spirit / William Ackerman -
William Ackerman; Guitar

Produced by William Ackerman & Corin Nelson.
 

 アルバムが『REUNION』だったから、あえてソロをレコーディングを選んだのでしょうか? 同窓会的な内容の冬の物語。

 

SIMPLE GIFTS -2000-
- Omwvoyo / Will Ackerman & Samite -
Will Ackerman; Guitar / Samite; Voice
Charlie Schneewels; Flugel Horn
Produced by William Ackerman.
 

 Samiteのヒューマンな多重ヴォーカルをフューチャー、フリューゲル・ホーンも遠い記憶を呼び起こしてくれそうです。

 

- Beneath The Trees/ William Ackerman & Philip Aaberg -
William Ackerman; Parlor Guitar / Philip Aaberg; Piano, Keyboard
Produced by Dawn Atkinson.
 

 盟友フィリップ・アーバーグとのデュオ。レコーディングはColin NelsonとGary Henry。ミキシングはSteven Millerが手がけています。

 

A WINDHAM HILL CHRISTMAS -2002-
- What Strangers Are These / Will Ackerman & David Cullen -
Will Ackerman; Baritone Guitar / David Cullen; Guitar
Produced by Dawn Atkinson.
 

 旧友 David Cullenとの共演。ウィルは普段のギターと違って、バリトンを奏でています。

 

A WINDHAM HILL CHRISTMAS II -2003-
- I Wonder As I Wander / Will Ackerman & David Cullen -
Will Ackerman; Baritone Guitar, Hopi Drum / David Cullen; Guitar, Bass, Keyboards
Produced by Will Ackerman.
 

 

 

A WINDHAM HILL CHRISTMAS I'LL BE HOME FOR CHRISTMAS -2003-
- Yazala Abambuti / Samite, David Cullen, Philip Aaberg & Will Ackerman -
Samite; Voice / David Cullen; Guitar
Philip Aaberg; Piano / Will Ackerman; Lead Guitar
Produced by Will Ackerman.
 

 

 

A WINDHAM HILL CHRISTMAS THE NIGHT BEFORE CHRISTMAS -2005-
- The Green Trees Of Winter / Will Ackerman -
Will Ackerman; Parlor and 6 String Guitars
Noah Wilding; Voice / Jeff Oster; Trumpet
Produced by Will Ackerman.
 

 Will のソロ名義となっていますが、Noah WildingとJeff Osterがバックを努めています。

 

GREY SKY AND BITTERSWEET/ Ann Sweeten-2007-

- A Winter's Reverie/ Ann Sweeten -
Ann Sweeten ; Piano / Will Ackerman ; Guitar
Produced by Will Ackerman.

 

 冬の幻想… どことなく暖かみを感じるのは、実際には冬じゃない季節に冬を想像しているのかもしれません。どんなに辛い体験でも、時間が経って振り返ってみると、結構美しい記憶として感じることがあるように。ピアノの音色も、ギターの雰囲気も、何かを懐かしんでいるようです。

 

WHAT THE WINTER SAID/ Kathryn Kaye -2013-

- The Close of Another Year/ Kathryn Kaye -
Kathryn Kaye ; Piano
Will Ackerman ; Guitar / Tom Eaton ; Bass / Jeff haynes ; Percussion
Gus Sebring ; French Horn


- The Holly Bears a Berry/ Kathryn Kaye -
Kathryn Kaye ; Piano
Will Ackerman ; Guitar / Charlie Bisharat ; Violin

 

 Willがプロデュースしているアーティストの一人Kathryn Kayeとの3枚目のコラボのなかの曲。アルバムタイトルが「冬」そのものなので、参加曲数は一気に増えます(笑)。このアルバムには、ウィルの名曲?「ブリックレイヤー家の美しい娘」のピアノ版がKathrynのピアノソロのアレンジで聞くことができます。



REFLECTED IN A FLOWING STREAM -2016-
- Winter's Deepest Sleep/ Kathryn Kaye -
Kathryn Kaye ; Piano
Jeff Oster ; Flugelhorn / Will Ackerman ; Guitar
Produced by Will Ackerman.
 

 アルバムそれ自体は冬をテーマにしているわけではありませんが、冬をテーマとした楽曲が収録されています。それもカウントに入れてしまいましょう(笑)。Kathrynは2019のアルバムで、ピアノ・ソロでもを取り上げています。

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