ウィンダム・ヒルの掲示板

FOREST/ George Winston -1994-
 

01. Tamarack Pines
02. Forbidden Forest
03. Troubadour
04. The Cradle
05. Cloudy This Morning
06. Last Lullaby Here
07. Mon Enfant (My Child)
08. Too Much Between Us
08. Returning
09. Graceful Ghost
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10. Walkin in the Air
11. Buuilding the Snowman
12. The Snowman's Music Box Dance
13. Love Song to Ballerina
14. Lights in the Sky
15. Japanese Music Box
16. Night Sky

 ピアノという楽器が“木”でできているということを意識させてくれるアルバムです。 特にオープニングの“Tamarack Pines”での、ピアノ弦をミュートさせた独特の奏法による木を叩くような音を聞くと、まるで木霊を呼び起こしているような錯覚に陥ってしまいます。早朝の森、雨上がりの森、夜の森、春の森、夏の森、秋の森、冬の森… 。いろんな森の表情が大なり小なり描かれています。でも、こんな情景、実際に体験したことがなければ思い浮かべることもできないし。つまりは、弾き手も聴き手も、同じ体験をして初めて、この作品を楽しむことができるのかもしれません。それぞれの場所で、体で感じ、肌に触れる森の空気。これらは説明してもらってわかる感覚ではないし、聴くことで追体験できるわけでもありません。

 でも、こうした様々な森の表情を経験したことのある方なら、どんな場所(電車の中でのウォークマンや都会を走るカーステレオでさえ)でも、 どんな環境の中で彼の音楽を聴いていても、自分が体験した心の森の表情を思い出し彼の音楽と重なり合うことでしょう。

 もしもそういった体験がなくても、限りなく自然の中で聴く環境を整えてみればよいのです。たとえば家の中でなら窓を開けたままにして外気をたっぷり入れてみるとか。とくに雨や雪の日なら、暖房もかけない方が効果的。ひんやりとした環境が森に抱かれているのと同じ環境を生み出すはずです。そしてスピーカーから聞こえてくるのは、もはやジョージのピアノではなく、森の、木々の、歌そのものとして聞こえてくるのではないでしょうか。

 ジョージは1980年に四季四部作という構想で『オータム』(1980)から『サマー』(1992)を完成させました。このアルバムがリリースされたとき、ジョージは次なるトリロジーとしてモンタナ三部作をスタートさせました。つまり『フォレスト』、『プレインズ』そして『モンタナ』(最近のインフォメーションでは、モンタナの次の作品『モンタナ〜ナイト』を完成させて四部作にするのかもしれません。2009年?)です。こちらは5年間隔でリリースされました。

 ジョージの描く自然画(スケッチ)は、聴き手の自然観とあいまって、さまざまな情景を彼の奏でる音楽と共有することができ、故郷の自然に触れているような、あるいは小さな季節を見つけられるような、そんな気にさせてくれるのではないでしょうか。

 このアルバムは、前半と後半にモンタナの自然を描き、中間には世界中の子どもたちから大人まで人気のあるレイモンド・ブリックス原作の『ゆきだるま(スノーマン)』の音楽が挿入されています。特に“Walkin in the Air”は美しくも、もの悲しい旋律に、だれしもが物語の情景を思い出してしまうかもしれません。
 また『モンタナ三部作』には、それぞれ日本のメロディが演奏され『フォレスト』では“Japanese Music Box”が収録されています。これは熊本県五木村に古くから伝わる“五木の子守歌”として知られる曲。トレイシー・シルヴァーマンが監修している『ON A STARRY NIGHT〜星降る夜に』にも提供されています。 なお、このアルバムは1995年の第38回グラミー賞でBEST NEW AGE ALBUMを受賞しました。



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