夜の10時になると、僕は無意識のうちにNHK第2放送(693kHz)の“気象通報”にチューナーを合わせてしまう。高校生だった頃、部活の顧問から「星を見ることができないときは、せめて気象通報でも聞いて、天気図でも書けるようにしておけ」と言われていたこともあって、「簡単な気圧配置でいてくれよぉ」と願いつつダイヤルを合わせていたことを思い出す。
しかし星が見れないときというのは、たいていは曇り空だから、前線だのなんだのと複雑な気圧配置の場合が多いのである。というのも、この天気図をつけるときというのは、夏休みとかのキャンプのときの恒例行事だったから、山の天気は夕方から荒れ出すのが常だったのだ。だからキャンプに行ったときは、一度として晴れた記憶がなく、テントやバンガローの中で、雷のゴロゴロいう雷鳴や、そのときに発生する電波ノイズを気にしつつ、聞き逃すまいと必死になって聞いていた。
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