毎年8月12日〜13日頃をピークに“ペルセウス座流星群”というのが活動する。いつもなら亀崎とかの近所で見ることにしているのに、日々見づらくなるこの辺りの星空に嫌気がさして、とうとう今年は市内を抜け出すことにした。
遠くから聞こえてくる花火の音や、祭囃子の音につられて外に出てみると、すでに頭上には“夏の大三角”があった。そんな星空を見上げていると、時々隣家の屋根の上の方が色とりどりに染まり、かすかに火薬の臭いが漂ってくる。僕は花火が賑やかに夜空を飾りだし、近所の人が夏祭りに出かけるのを横目に出発の準備を始めた。僕にとっての夏の花火は、音だけでも楽しめるから、特に手を休めて鑑賞する必要もなく、聞いているだけで十分「夏らしさ」が味わえると思っている。
しかし地元の花火は規模が小さいし、なかなか連発もないので、いつ終わったかわからないこともしばしばだ。だからしばらく音が聞こえないと、気になってそのときばかりは夜空を仰いでしまう。そして「もう終わり?」と、思わせておいてから、またドォンと上がったりするので、それを合図に再び準備の手が動き出すといった具合。
そんな花火もようやく終わると、しばらくはその余韻を惜しむかのように団地内にはまだ花火の臭いが残っている。そんな祭りの喧騒のなか出発したのに、目的地である養老渓谷に着いたのは夜半近かった。さっきまでの祭りの騒々しさが耳に焼き付いているので、こんなに静かな所にやってくると、まるで別世界のような気がして、なんだか落ち着かない。それでも、しばらく星座たちの姿を静かに眺めていたら、僕の心をなだめるように天界の物語を語りかけてくれたので安心することができた。
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