からす座

森の中を散歩していたら
うっかり帰る時間を過ごしてしまった
空に残る陽の光を頼っていたのに
その陽も傾き
あたりは夕闇につつまれてしまった
森が真っ黒なシルエットとなって僕を取り囲んでいる
それでも不思議なことに
空の方はぼんやりと薄明るいままだったから
空に浮かんでいる変わった形の雲に気を取られていると
「カァカァ」と声がして真っ黒なカラスがその中を飛んでいった…
とたんに視界が開けた
その夜 からす座が「先ほどは失礼いたしました」
と星空から鳴いていた。

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