星のまたたき

いつまでもくれることのない黄昏どき
窓辺にひじをついて空に浮かぶ雲を眺めていたら
スルスルとヒモが降りてきた
ちょうど良い高さで止まったかと思ったら
ヒタヒタと足音が近づいて 怪しげな黒ずくめの男がやってきた 
そいつは辺りをきょろきょろうかがいながら
そのヒモをカチンと引っ張った
とたんに外は真っ暗になり 
星がひとつふたつ チカチカという音を立てて輝きだした
ヒモはまたスルスルと空に昇り
それに気を取られているすきに男も雲のように消えていた
仕方がないので目覚ましのゼンマイを巻くと天球がゴロゴロと回りだし
飲みかけのシガーが灰皿で煙を立てているのが目に入った。

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