01. RISING SUN 朝の祈り
02. MORO-RISM モロリズム
03. NEW WAVE 新たなる旅路
04. COSMIC ENERGY 宇宙エネルギー
05. AQUA 無限水
06. MOON-LIGHT 月の光
07. SHIMMERING HORIZON 地平線
08. FRAGRANCE OF THE NATURE 自然の香り
09. INNOCENT PEOPLE 無邪気
10. OASIS オアシス



 喜多郎と言えばNHK特集でオン・エアされた【シルクロード】が代表作ですが、ここで紹介する【OASIS】は私が小学校のころ、友人の影響(彼は冨田勲派だった)で探し当てた、宇宙っぽい音を連想させる電子音楽のレコードでした。
  当時はシンセサイザーという表現よりも電子音楽と呼ばれ、電子という理科系の質感が無機質な音は宇宙や星をイメージさせるのでしょう、この言葉だけで空想の世界へ導いてくれました。

  最初に耳を奪われたのは、FM東京で紹介されていたタイトルトラックの♪Oasisでした。結局、ラジオではフェード・アウトして、全体を聴くことはできませんでした。それでも、そのラジオでは、たった一部分だけの視聴にも関わらず、十分曲の神秘感を味わうことができ、そのままレコード屋に脚を向けさせるだけの楽曲だったのです。

 このアルバムは、長岡秀星のイラストのイメージも手伝って、喜多郎の音楽性がもっとも良く現れているアルバムだと思います。この作品は無機質な宇宙にあって地球がオアシスであることを強く感じさせ、また、感情を持たない電子楽器であるシンセサイザーがこれほど心に響いてくる、暖かみを感じる音楽は無いと思っています。これは喜多郎の人柄(マインド・オブ・ミュージック)が、もっとも良く表現された音楽なのです。そして、その瑞々しいサウンドが、ジャケットに描かれている清らかな水の透明感をも連想させてくれます。

 喜多郎と同年代の音楽家に英国のマイク・オールドフィールドや、映画音楽の作曲家として知られるジェームズ・ホーナーらがいます。

 

喜多郎 -マインド・ミュージックの世界- 喜多郎著/講談社(1981)

喜多郎によせて
 マインド・ミュージックは80年代に生命を与えた・・・南里元子

第一章 シルクロードは永遠に・・・
第二章 マインド・ミュージックの原点 - 人々とのふれあいの中で -
第三章 多元宇宙の旅 - 思い出の地と出来事 -
第四章 喜多郎の軌跡(構成:浅見文夫)

荒野の声・・・ 長岡秀星


 思えば小学生の頃、友人と星空を見上げるのにB.G.M.が欲しいと考えて、友人は「父の知り合いが録音してくれた」というその名もズバリ「宇宙幻想」という冨田勲のカセットを携えてきたのが、私のシンセサイザーとの出会いの始まりでした。
  タイミング良く「天文ガイド」にレコードを紹介するコーナーがあって、そこで喜多郎の「OASIS」が紹介されたのです。時同じくしてFMラジオでニューアルバムの紹介コーナーかなにかで、このアルバムのタイトルトラックが流れてきました。私はそれをテープに録音して、冨田勲と同じ電子音楽という名の音の違いに驚きました。雑誌ではモノクロのジャケットでしたが、実際はオレンジを基調とした幻想的と表現する意外に言葉も思いつかないようなイラスト。このアルバムリリースと、時同じくして本人のペンによるエッセイ集「喜多郎 -マインド・ミュージックの世界- 」が出版されました。

「音楽(レコード)と本が同じってどういうこと!? 読めば音楽が聞こえ、音楽を聴けばエッセイを読んだことになるのか?」

 などと、わけのわからん(当時は本を読むのが嫌いだった)ことを考えたりしていました。民放ラジオだったから、ラジオで聞くことができたのはごく一部分だけになりましたが、ラジオで流れた「オアシス」を持って、エンドレスで(実際この曲には始まりも終わりも持たない不思議な構成の曲です)流していました。そうこうしているうちにフェードアウトした先が聞きたい、アルバムを全部聴きたいと思うようになったのは当然のことです。そして、いよいよホルストの「惑星」の次に自分のおこづかいで買ったレコードが「オアシス」になったわけです。喜多郎のエッセイは、親戚の家の近くの小さな書店で初めて手に取りましたが、パラパラとめくってみた限りでは、自分で勝手に想像して関連づけていた宇宙や星との関わりには一言もふれていなかったことが、その後、この本を手にすることをしなかったのです。 あれから30年以上立って、地元の図書館で見かけた本。手に触れてみると小学生の頃に感じたワクワク感が蘇り、図書館ということもあって早速借りて読みました。
 その後の喜多郎は、グラミーを受賞するなど世界的なアーティストへと成長して行きましたが。




 それにしても、レコード・ジャケットの存在感と言ったら、音質で勝るはずのCDのサイズでは、到底叶いません。