星と天界の音楽と(星のソムリエのブログ)

20時南中:6月26日

 この星座の起源は古く、紀元前8世抒情詩人ホメロス作とされる『オデュッセウス』の中で、この星座のことを取り上げています。

尊いオデュッセウス喜んで、
風を受けて帆を張った
こうしてかれは、眠りもやらず、プレイアデスと
おそく沈むボオテス(うしかい座)と
また車とも呼ばれ
いつも同じ場所をぐるぐると廻り
オーリーオーンを見張り
これだけがオーケアノスの沐浴にあずからぬ
くま座の星アルカスを見つめつつ 坐って巧みに進路を取った
この星を尊いカリュウプソは
左手に見て海を渡るように命じたのだ
(第5歌262〜281行)

「オデュッセイア」中野哲郎訳より
(京都大学学術出版会/ISBN987-4-8140-0422-5)
 この星座の学名「Bootes(ボーテス)」は、ギリシア語Βοωτηζ(牛を動かす)のローマ音写で、Βουζ(牛)とωθειν(動かす)が語源とするのが定説となっています。日本語の「うしかい」座はその訳となりますが、この学名の前半は英語でなじみの深いbeaf(ビーフ)と同じ語源を持つのです(ビーフはラテン系のフランス語から英語に入った言葉)。

 それ以外にもBootesには「大声で叫ぶもの」という意味もあるところから、この単語を大声で熊を追う猟犬を勇気づけるための勢子の掛け声という解釈もあります。

また、1等星であるアルクトゥルスが「熊の番人」という意味を持つことから、学名のボーテスを「牛を動かす」は誤訳で、熊の後を追う関係から、「大声で叫ぶもの」を主張する学者もいるほどです。しかし、うしかい座が手に引いているりょうけん座のに対の姿を見れば、なるほどと思える絵姿が浮かび上がってくるのではないでしょうか。


★写真をクリックすると星座線が現れます

 この星座の姿で、私が最も印象深かったのは、長い尾をなびかせた百武彗星(c/1996B2)が通り過ぎていったときの情景です。


  確か、この日(1996/03/22)は全国的に天気が悪かったと聞いていますが、私が「それでも行くぞ!」と2時間近く掛けて行ったのを覚えています(あとで後悔したくなかったし…)

 車で観望地へ向かう途中、車のフロントガラス越しに見えていたヘール・ボップ彗星とは違って、全く見えなかったのは不安要素でしたが、 養老渓谷について見ると、最初のうちは雲越しにアルクトゥルスと彗星の頭部だけがぼんやりと並ぶ異様な姿でした。

 しかし、いのりが届いたのか、撮影準備をしているうちに、きれいに晴れ上がり見事な姿を現してくれたのです。

  古くは1858年にドチナ彗星も、その雄大な尾をなびかせて通過していった記録が残されていますから、うしかい座は彗星が好む星座なのかもしれません。






「沈むに遅きボーテス」名残惜しげに沈んでいく
2023年8月17日 22h40m
Canon EOS 6D




「沈むに遅きボーテス」も登ってくる時は横倒しなので「スッ」と登場(笑)
2025年2月26日 23h03m
Canon EOS 6D



2023年2月22日 00h07m
春の夫婦星
Canon EOS 6D

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